神奈川・川崎市の日本食肉流通センターで10月8日、9日の2日間、『第30回ちくさんフードフェア・ジャパンミートピア2011inかながわ』が開催された。国産食肉などの試食・販売、地域物産展のほか、「がんばろう!東北応援フェア」として東北産牛肉の野外バーベキューコーナーや、イベントも催された。
本誌関連では、畜産団体・地域物産展コーナーには、(社)日本SPF豚協会(北島克好会長)がブース出展したほか、高山市・飛騨ミート組合では、飛騨牛の串焼きやスライス肉を販売。その他、静岡県・三和畜産では国産豚肉スライス、加工品を販売。栃木県・日光いなかマルシェではSPFポークのスライスなどの販売が行われた他、全国味めぐりコーナーにおいては、栃木県・栃木しゃも協議会、静岡県・おらんピッグ、栃木県・とん太ファミリー、愛知県・豊橋養鶉農協、群馬県・JA高崎ハム、沖縄県・丸一ミート、神奈川県・神奈川県肉連が出展。美味しいお肉料理に舌鼓を打つ家族連れの姿が多く見られた。
10月30日、「食肉・花き市場まつり2011」が、愛知名港花き地方卸売市場(名古屋市中央卸売市場南部市場北隣)で開催され、当日は愛知県産豚肉やブランド牛「みかわ牛」の焼肉無料試食や割安価格での販売のほか、生花の切り花や鉢物、球根といった花材の販売が行われた。
市場でのイベントとあって、豚、牛、花きの出荷者の代表がそれぞれステージに上がり、生産現場の様子を紹介。豚については(株)知多ピッグ(愛知県知多市)の都築周典社長が講演し、農場内の様子をスライドで紹介しながら、豚の飼育の様子や飼料の種類、生産から出荷までの流れを解説した。
10月22〜23日、第25回岐阜県農業フェスティバルが、岐阜県庁周辺にて開催された。
数ある店舗の中でも特に人気が高かったのは、岐阜県畜産研究所と(有)カタノピッグファーム、中濃ミート事業協同組合が共同出展した新開発のブランド豚「瑞浪ボーノポーク」。牛肉のようにサシが非常に多く、冷めてもパサつきのないもっちりとした食感と、通常の豚よりも強い旨みが特徴で、味にもとことんこだわっており、瑞浪ボーノポーク生産振興協議会の早瀬敦史会長は「毎日食べるものだからこそ、いつでも美味しい物を安く販売し、日本一厳格な整合性のある豚を追求していきたい」と述べている。
(株)森本工房で自慢の手作りソーセージやベーコンなどが販売され、好評を博したほか、岐阜県飼料用米利用促進協議会がクイズブースを設置。その他にも若者のための就農支援コーナーや、子ども限定のひよことのふれあいコーナーなどさまざまなブースが設置され、イベントは始終活気に満ちあふれていた。
愛知県豊田市で銘柄豚「三州豚」を生産するトヨタファームは、母豚飼養頭数1300頭をほこる、東海地方でも有数の大規模農場。月産2500頭の子豚を生産する繁殖部門を担う豊田農場に加え、渥美半島の田原市に肥育部門を担当する田原農場のツーサイト方式で「三州豚」を生産している。といっても生産されるすべての子豚が三州豚になるわけではなく、8割は岐阜県や三重県といった隣県の肥育農家に販売され、残り2割が渥美農場で飼育され「三州豚」として出荷されるのである。
トヨタファームは工場や畑に囲まれ、道路を1本渡れば小学校や住宅街があり、農場の前が通学路になっているほか、近隣の工場の従業員が散歩するなど、常に人の目にさらされている状況。また、農場のすぐそばには用水路や川が流れており、カヌー教室や魚の放流などの取り組みが行われていることから、臭気対策や排水対策は非常に気を使う。
すべての部屋に細霧装置を設置しており、一定間隔で噴霧し、気温を下げるとともに、噴霧される水にメンソールを組み合わせることでマスキング消臭を行い、臭いの大幅な軽減に成功している。飼料に微生物資材を加えることで、豚の腸内環境を整え、排せつされるふん自体の臭いを減らしている。ふんの処理は三友機器(株)の竪型コンポスト「SK−65」を4基設置。併せて脱臭装置を取り付け、臭気の減少に努めている。また、コンポスト内を高温に保つことで有害菌が死滅し、良質なたい肥を作り出している。たい肥は無料で近隣の野菜農家に提供しているが、時には噂を聞きつけ遠方から家庭菜園用に譲ってほしいと農場を訪れる人も多いとか。
鋤柄氏はこのような環境の中で「養豚業を続けるためには、地域貢献を果たしていくしかない」と考えていた。また、「農業をより身近な職業として知ってもらいたい」との思いから、幼稚園や小学校の見学、中学校の職業体験などを積極的に受け入れてきた。
こうした取り組みを続ける中で知ったのが産業廃棄物を利用したエコフィードの存在である。愛知県はパンや製麺、お菓子などの食品工場が多く、そのどれもが小麦を原材料とするものが多い。以前から飼料に麦を給与することでおいしい豚肉ができるとの理念のもと、養豚業のさらなるイメージアップとして計画していた豚肉の銘柄化の特徴付けに、エコフィードを用いることを考えた。
集められる産業廃棄物はパン、うどんを中心に、乾麺、生麺、パスタといった製麺や、シュークリームの皮部分、ビスケット、クッキーなどのお菓子も利用。小麦が中心になることで、脂の色身がはっきりとした白色になり、赤身にはキメ細かなサシが入ることで、食べた時には脂の旨みが広がる。また、肉の成分検査を実施することでおいしさの科学的裏付けも取っている。飽和脂肪酸やオレイン酸といった旨みが一般の国産豚肉にくらべ多いほか、リノール酸が少なくヘルシーなのも特徴だ。
鋤柄氏は「農業に対するイメージアップを目指し、豊田市の野菜、花きの生産農家や畜産農家の若手を集め、『夢農人(ゆめノート)とよた』という組織を立ち上げ、消費者に積極的なアピールを行っています。「三州豚」のブランド展開は始まったばかりですが、農畜産物=食品を作るという仕事に誇りを持ち、子どもたちに将来の夢は農家と言ってもらえるような仕事にしていきたいと思います」と大きな夢を語る。
食肉脂質評価装置も出展分析展2011/科学機器展2011
「来て・見て・わかる 確かな技術」のキャッチフレーズで9月7日〜9日の3日間、「分析展2011(第49回)」と「科学機器展2011(第34回)」の合同展示会が幕張メッセで開かれた。この合同展は、「研究、開発、分析の入口から出口まで」の最新機器の情報を発信する展示会として、ラボ用分析機器・理化学機器、物理量・物性・工業量計測機器、環境用分析機器・計測機器・試験機器などを紹介する企業約500社(団体)が出展、3日間で2万5000人が来場した。
今回の出展の中で本誌関連として興味深かったのは、紫外吸収検出器、可視吸収検出器、波長可変紫外分光検出器、波長可変可視分光検出器など検出機器メーカーである(株)相馬光学(本社・東京都西多摩郡日の出町、浦信夫社長)の食肉の脂質測定装置。この装置は、宮崎大学の入江正和教授らの肉質評価に関する研究に用いられ、その研究成果は、(社)中央畜産会主催の平成21年度畜産大賞研究開発部門で最優秀賞を受賞している。
「光学的手法による食肉脂質評価装置の開発〜品質向上を目的とした産官学連携による肉質の客観的評価法」と題し研究を行った入江教授ら産官学のグループ は、光学手法に着目し、脂質特性の基礎研究、光学装置の試作・改良を繰り返し、食肉ラインで脂質を迅速かつ安全に評価できる小型で安価な光学装置の開発に成功した。原理は、出射用光ファイバを通じて、肉の内部に光を入れ、脂質特性が異なれば光の散乱、屈折、透過、反射等の光学現象も異なることを応用しており、その光情報を受光用光ファイバで受け、分光器により各波長に分けられる。その後コンピュータで分光解析を行い、さらに数学的な統計解析処理(多変量解析)をして、迅速に推定する。装置を安価で迅速な携帯型のものとするために、挿入型プローブから完 全非破壊となる接触式プローブに変更。さらに利便性と正確性を追求した結果、可視光の代わりに近赤外分光技術に行き着き、測定部である光ファイバ・プローブの形状や配列、光学部のノイズの軽減やパーツの選択などに種々の工夫を凝らし、安価で迅速な携帯型光ファイバ装置を開発し、より精度を向上させ、実用化にこぎつけた。
単なる小型化、低価格化ではなく、光学最新技術を導入し、非破壊(枝肉で適用可能。脂肪面に接触させるだけで、アルコール消毒可能)、迅速簡易(スイッチを押すだけで、測定は瞬時、数秒後、モニター画面に脂肪酸組成値(オレイン酸、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸)、融点などの予測値を自動表示し、バッテリー駆動(冷蔵庫内である程度長時間の利用が可能)という特性を有し、さらに最新の機種では畜種ごとの脂質専用プローブ(牛枝肉用、豚枝肉用)などの考案や、脂質評価のためのソフト部の改良(異常値の検出と再測定の指示)など肉質評価専用装置としての工夫を随所に施している。
この装置は、全国31都道府県での食肉市場で採用され、和牛枝肉に対して精度、有効性が実証されている。
第10回グルメ&ダイニングスタイルショー
食の専門見本市「第10回グルメ&ダイニングスタイルショー秋2011」が9月6日〜9日の4日間、東京・有明の東京ビッグサイトで開かれた。
今回のテーマは、「新しい世界との交流“日本の食の地域ブランド”の創造と発見」。農畜水産物、加工食品、菓子、酒類・飲料、冷凍食品、惣菜など食品全般、キッチン家電、キッチン用品などの雑貨類などが出展され、生産者の顔が見えるこだわりの食品コーナーも設置され、消費者の関心が高い「健康・安全・安心」へのニーズに応える生産者の顔が見える日本各地のこだわり農畜産物・加工食品の集中展示も行われた。本誌関連で、「前田美豚」(前田ビューティー・ポーク)、「甲州信玄豚」、「球磨の黒豚」などのブランド豚肉の出展があったので紹介させていただく。
前田美豚
福島県食肉卸売(株)(本社・福島市北矢野目、長沼修次社長)が取り扱うのが「前田美豚(まえだびとん)」(前田ビューティー・ポーク)。
もともと福島県南相馬市で養豚を営む前田光雄さん(母豚約300頭)が生産していたが、原発事故で立ち入りが全面禁止されたため、福島県白河市表郷に生産拠点を移動。種豚にこだわり、飼料や飼育環境などに細心の注意を払い育てた「前田美豚」の肉質はきめ細かく、脂身に旨みが凝縮されあっさりしている。
甲州信玄豚
オオタ総合食品(株)(本社・山梨県中巨摩郡昭和町、多田勝社長)が甲府市の養豚農家(年間2300頭出荷)が生産した「甲州信玄豚」を販売する。飼料には「きなこ」を配合し、さらに体重45キログラムの豚から成長の度合いに合わせた量の「皮むき大麦」を給与。出荷まで何段階にも分けた飼料を与え、さらに65キログラム以降の飼料には抗生物質を配合していないという。
球磨の黒豚
白髪岳の麓で20年以上、黒豚の生産を行ってきた(株)球磨の黒豚。酵母菌を配合した飼料を生後3カ月〜6カ月以上与え、9カ月以上もの間肥育している。脂の甘み強く、赤身にサシが入り柔らかく濃厚な味に仕上がっている。
「20年ほど前から養豚を営んでおり、現在は150頭ほどの母豚がいます。生産から販売まで行っている中で、特に農場では豚の健康状態が維持できるよう飼養管理を徹底し、肉質や味のさらなる向上に努めています」と取締役の椎葉聖さんが力強く話してくれた。
8月2日、3日の2日間、東京・有明の東京ビッグサイトで「アグリフードEXPO2011」が開催された。今年が6回目の開催で、国内農業や国産農産物に対する消費者の注目が集まる中、共同出展を含め562社(団体)が出展し、農商工連携や6次産業化事業なども利用した全国各地のこだわりの農産物、加工食品が紹介された。また今回は、輸出ビジネスの専門家が無料でアドバイスする「海外取引相談コーナー」が設けられ、海外への販路拡大や輸出を行う中での課題の解決方法などについて具体的なアドバイスも行われた。さらに昨年好評だった「国産農産物応援イベント」を今回も開催し、俳優の永島敏行氏率いる青空応援隊が、多くの出展製品の中から選りすぐった品々を出展者の想いも交え楽しく紹介した。本誌で紹介するブランドは以下の通り。
・(株)アーク(岩手県)/「館ヶ森高原豚」「風と土と太陽の豚」「飼料米放牧豚」
・ポークランドグループ(秋田県)/「十和田高原ポーク『桃豚』」「こめ豚」
・太田産商(株)、(株)管与(山形県・秋田県)/「エコの森『笑子豚(えこぶー)』」
・(有)敬友農場(山形県)/「敬華豚」「山形敬友農場金華豚」
・(有)伊豆沼農産(宮城県/)「伊達の純粋赤豚」
・全国地養豚協会(東京都ほか)/「地養豚」
・(株)フリーデン(神奈川県ほか)/「やまと豚」
・JAかとり東庄SPF豚研究会(千葉県)/「東の匠(ひがしのたくみ)SPF豚」
・旭食肉協同組合(千葉県)/「千葉県産いもぶた」
・(株)ヒラノ(栃木県・千葉県)/「香彩豚」「茶美豚」「笑顔大吉ポーク」
・菜の花養豚出荷組合(千葉県)/「菜の花うまし(旨脂)ポーク」
・(有)長島養豚(埼玉県)/「むさし麦豚」
・古代豚(R)白石農場(埼玉県)/「古代豚(R)」
・群馬県食肉品質向上対策協議会(群馬県)/「上州麦豚」
・(株)日光いなかのマルシェ(栃木県)/「日光HIMITSU豚」
・富士農場サービスグループ(静岡県)/「LYB豚」「満州豚」
・ふじのくにWorldWideFarmプロジェクト(静岡県)/「萬幻豚」
・(有)三和畜産、とんきい(静岡県)/
「ふじのくに『浜名湖そだち』」「フジキンカ『プレミアムきんか』」
・(株)幻霜ファーム、(株)ニチレイフレッシュ(広島県ほか)/「幻霜スペシャルポーク」「霜華桜ポーク」「銀華桜ポーク」「幻霜庵弁当」
・(株)サンショク(三重県)/
「さくらポーク」
・(株)ベルクミート(熊本県)/「肥後の燻」
日照時間が日本一であることにちなんで「晴れの国」とも呼ばれる岡山県は平成8年「おかやま黒豚」の生産に乗り出し、「地元で生産された高品質な豚肉」として好評を博している。
「おかやま黒豚」は、県内の指定生産農家7戸が生産しているバークシャー純粋種の豚肉。指定農家で生産され、岡山県営食肉地方卸売市場に出荷、公益社団法人日本格付協会の格付がされた黒豚だけが「おかやま黒豚」を名乗ることができる。
赤身は白豚にくらべ色味が濃く、繊維が細かく柔らかで、調理した時に硬くなりにくく旨味が濃いのが特徴。また黒豚特有である甘味が詰まった脂身は、食べた時にクドさがなく、臭みが少ない。なお、販売店にはおかやま黒豚認定証が置かれているほか、おかやま黒豚のシールが表示されている。 生産農家の中には、精肉だけでなくハム・ソーセージといった加工品の販売店や、県産黒豚を使ったメニューを中心としたレストランを開くなど、独自のブランド展開を行っているところもあり、消費者からはいずれも好評を得ているという。
「おかやま黒豚」の種豚は雄雌ともにすべて岡山県農林水産総合センター畜産研究所から供給されており(人工授精用精液の供給も行っている)、現在は原種豚となる雌30頭、雄11頭が飼育されている。
「おかやま黒豚」の歴史は古く、昭和53年に同センターが鹿児島県からバークシャーを導入したことに端を発する。当時、県としてさまざまな品種の研究を行っていた岡山県は、県産豚として一般豚との違いを出すために黒豚の肉質に注目。平成8年には本格的なブランド化を目指し、イギリスから直接バークシャーを導入して生産体制の確立を図った。
原種豚の導入後も、豚の能力を維持するため、(有)黒豚振興エージェンシーや(農)富士農場サービスといった国内の種豚場から定期的にバークシャーを導入し、純粋種としての能力維持・向上につとめている。
バークシャーの体型はずんどう型で足が短めであり、また鼻、足、尾に白い毛が生える「六白」も注目されるポイント。このような特徴を踏まえ、子豚は60日齢を区切りに乳房の数や体型をもとに種豚として育成選抜し、漏れた豚は肥育用として販売する。その後5〜7カ月齢は敷地内で放牧し、雌は7カ月齢、雄は8カ月齢で供給される。
今後も種豚の安定供給を続けていくほか、農家の協力のもと、供給後のフィールド試験として繁殖成績を中心にデータを取り、成績向上に役立てていく方針だ。
「おかやま黒豚」のさらなる知名度向上を目指し、岡山県では試食会など消費拡大イベントを行っており、参加した消費者からは牛肉に「負けないくらいおいしい」「クセがなく食べやすい」といった声が聞かれるなど反応は上々だ。
また、岡山県では平成18年から「おかやま黒豚」の輸出事業を展開。主な取引先は香港で、年間1・5トンほどを輸出している。さらに、今後は銘柄について生産面・流通面での条件付けだけでなく、オレイン酸やリノール酸といった成分の含有量など、科学的データに基づいた品質の認証制度の構想があり、県産の銘柄豚としてさらなる差別化と品質向上が計画されている。
6月7〜10日の4日間、東京江東区・東京ビッグサイト東展示棟で「FOOMA JAPAN 2011/国際食品工業展」((社)日本食品機械工業会主催)が開催された。「つくります! 美味しい未来」をテーマにした同展示会は、食品機械・装置および関連機器に関する技術ならびに情報の交流と普及をはかり、併せて食品産業の発展に寄与することとし、「食の安全・安心」に関心が高まる中、食品機械の最先端テクノロジー、製品、サービスを通して、「食の技術が拓く、ゆたかな未来」を提案することを目的に開催されている。3月11日の東日本大震災以降、次々と大型展示会が開催延期を発表する中、予定通り開催された同展示会では節電対応で開催時間こそ短縮されたものの、会期中は国内外から645社(2783小間)が出展、4日間の会期中に延べ8万9813人(海外693人)が来場した。
食肉関連では、(株)なんつね(大阪府藤井寺市)が新型スライサーを数点出品した他、次世代システムの提案として、同社のパック詰め機『リブラ』とロボットアームをコラボさせたパック詰機が参考展示され、デモンストレーションを行った。ハンバーグやミートボールの成形機などを取り扱う(株)タカミ(兵庫県西宮市)では、重量誤差が少なく練れが少ないハイグレードな食感に満足する成形機や最新型エマルジョンメーカーなどを展示。
(株)寺岡精工(東京都品川区)では、トレイを使わず商品にあわせて真空パックやガス充てんなど対応できる「ノントレイ包装機」や原料配合作業でのミスを防止する「原料トレサビリティシステム」などを紹介。パック、ラベル印字、検査、仕分けまでの機器を一連のラインで連結し、わかりやすく展示した。
(株)エコノス・ジャパン(静岡県菊川市)は「パルスジェッター」に「パルスビーマー」を組み合わせた新製品「プリフォームエアー洗浄・殺菌システム」を発表。殺菌ランプ長1000oの「パルスビーマー」や、フィルム殺菌や流水殺菌などの新たな用途を紹介するとともに、非加熱殺菌の新用途や導入の可能性を提案した。また、過熱水蒸気を用いたラベル収縮装置「エコシュリンカー」、炭酸次亜水製造装置、エア洗浄装置「パルスジェッター」も紹介。エコシュリンカー導入事例やエネルギー削減例も、来場者の注目を集めていた。
なお、併催された「がんばれ東北物産展」では、被災された東北地方の名品・食品を集めた即売会を実施。売上の一部は、中央共同募金会を通じ被災地へと送られる。
豚肉関連では、(有)村幸が岩手県産の豚肉を使った「やわらかポークシリーズ」を出展。同社は岩手県盛岡市内で飲食店『むら八』を2店舗展開。岩手県産の豚肉の中から良質肉を厳選し、伝統の熟成法で柔らかく美味しい素材をギフトセットとしても提供しているという。使われている豚はいわておいしいブランド食材である「佐助豚」。二戸市・久慈ファームで生産されるこの豚は、キメ細やかな肉質で、細部までバランスよく入った脂が特徴――豚肉本来の味が楽しめると好評だ。
一般社団法人日本養豚協会は、東日本大震災で被災し、避難所生活を強いられている人たちに少しでも元気を出してもらおうと、4月25日、129名が避難生活を強いられている岩手県下閉伊郡山田町船越の「青少年の家」で、翌26日には岩手県大船渡市末崎町平林の「大船渡ふるさとセンター」で、岩手県産の豚肉と野菜を使った豚汁の炊き出しを行い、それぞれの施設で避難所生活を送る人たちに振る舞った。
この炊き出しには、岩手県の被災者に地元の豚肉と野菜を使った豚汁をお腹いっぱい食べてもらいたいとの思いが込められ、JPPA筆頭副会長で(有)コマクサファーム社長の遠藤啓介氏の陣頭指揮のもと、岩手県、福島県、秋田県、群馬県、埼玉県の養豚生産者とJPPA事務局の総勢20人により実施。岩手県八幡平の「自然休養村・なかやま荘」の料理長の指導を受け、「コマクサ杜仲茶ポーク」80sを使った豚肉たっぷりの豚汁が、山田町の青年の家で300食、翌26日の大船渡市ふるさとセンターでは500食が準備された。
遠藤筆頭副会長は「炊き出しはJPPAの志澤勝会長のたっての希望でもあり実施したもの。新潟県中越沖地震の際には豚のしゃぶしゃぶを提供しましたが、今回は被災者の方々が夕方帰ってきたときに温めなおしてもらえるよう豚汁にしました。豚肉たっぷりの温かい豚汁を食べて元気になっていただきたい」と話してくれた。
東京電力(株)福島第一原子力発電所の事故により、福島県産の野菜などで暫定基準値を超える放射性物質が検出されたため、原子力災害特別措置法第20条第3項に基づき、3月23日付で福島県産の非結球性葉菜類および結球性野菜およびカブ、茨城県産の原乳およびパセリについて出荷制限が指示されたなどの報道がなされている。
福島県については喜多方市、磐梯町、猪苗代町、三島町、会津美里町、下郷町、南会津町で産出される原乳が、群馬県については全域で産出されるホウレンソウとカキナが4月8日付けでそれまで設定されていた出荷制限が解除されたが、安全性になんら問題のない他の野菜などに対しても買い控えが続いており、このままでは農業への被害は大きくなる一方。そこで、福島、茨城産の野菜などの安全性を理解してもらおうと、両県の農家や農業団体が中心となり、「買い控えを吹き飛ばせ!福島・茨城の農家を応援しよう」キャンペーンを、有楽町駅前の交通会館マルシェ(農産物産直市場、東京交通会館ビル1階ピロティ部分)にて4月1日〜5月8日の日程で開催。農家、農業団体などが消費者に直接説明しながら、安全性が証明されている産地の農作物や和牛などの直売を行った。
政府は3月31日、暫定基準値を超える放射性物質が検出された野菜などの出荷停止について、その後の検査で3回連続、基準値を下回った場合には、都道府県単位ではなく、基準値を下回った地域ごとに解除する方向で検討を始めたが、今は流通企業を含めた食品業界全体が一致団結し、正しい情報の共有・普及に努め、風評被害などの防止に尽力しなければならない時である。
また、農林水産省では野菜、牛乳・乳製品、肉・卵、魚介類、食品流通などに関してQ&Aの作成・公表などの取り組みを行っているが、今後も引き続き適正な情報開示と十分な説明責任を全うすることが、震災後の復旧の過程においては絶対的に不可欠である。
以下に、農林水産省のQ&Aの一部などを紹介する。
全国でも屈指の生産量を誇るちばの豚。県内では、香取、海匝、山武地域を中心に年間におよそ100万頭が全国に出荷されている。
千葉県では1月19日、生産者団体や食品製造業者ほか、流通業者、学識経験者、消費者など、県内の「食」に携わる関係者で構成する「ちばの『食』産業連絡協議会」と連携し、「ちば 大地と海の恵み商談会」を幕張メッセ国際会議場コンベンションホールで開催した。同商談会は、県産農林水産物の輸出拡大などを目的に行われているもので、今年度は、生産者や食品関係事業者と食品関連産業や輸出関連企業との持続的な提携関係の構築を通じて、農林水産物の首都圏や海外への販路拡大を視野に入れて開催された。
今年の全出展数は輸出促進ゾーン、米、畜産、ちばエコ、JA、野菜、水産、加工品、種苗、研究の各分野から95団体が出展。そのうち、畜産ブースでは、アイ・ティーエスファーム(株)関東事業所、LLP菜の花フーズ、県産牛肉知名度向上対策協議会、JAかとり東庄SPF豚研究会、(有)ジェリービーンズ、匠味豚(小川畜産食品)、千葉北部酪農農業協同組合、(株)林商店肉豚出荷組合、(有)ブライトピック千葉、マーガレットポーク研究会、本埜ブランド米研究会の11団体が出展。その他、加工品ブースでもハム・ソーセージといった商品が並んだ。
また、千葉県では日ごろから、安全・安心がモットーの年間約100万頭を生産・出荷する千葉県の豚肉を多くの皆様に知ってもらうために名付けた千葉県産豚肉の共通名称「チバザポーク」をキャッチコピーにして県産豚肉のPRを行っている。
知多半島の先端に位置する南知多町に農場を構える家田畜産では、母豚100頭の一貫経営で、知多ハッピーポークを生産している。
知多ハッピーポークは、種豚に愛知県の系統豚であるアイリスW2、アイリスL2と、愛知県と岐阜県が共同開発したアイリスナガラを用いたWLD種の豚肉。
特に赤身のおいしさに注目してほしいと語る生産者の家田喜久夫さん。「近年の消費者の嗜好は、さっぱりとした脂身のおいしさを求める傾向がある、脂身は仕上げ期の飼料の影響が大きく、皆さんも飼料の配合を検討しながら脂身について取り組まれていると思うが、脂身はおいしいのが当たり前で、うちの豚肉は赤身のコクで勝負したい。しゃぶしゃぶではなく、焼肉、すき焼きといった料理で食べてほしい」と話す。
平成16年に、喜久夫さんが先代の引退を機に本格的に就農し、現在は喜久夫さんと息子の典和さんの二人を中心に、娘の静香さん、先代夫婦と、親子3代にわたって生産に取り組んでいる。家田畜産におけるこだわりは、先代の教えを守った生産を続けることである。種豚、母豚ともにすべて自家更新しており、一腹ごとの飼育を徹底している。また子豚期には特に時間をかけ、分娩舎で育てる期間を長くとり40日齢、17キログラムを目安に離乳豚舎に移動させる。こうすることで増体率の良い活気溢れる健康な豚に育つのだという。
先代の時代から毎日ていねいに豚舎を掃除し、清潔な環境の維持を徹底。一腹単位でステージを移動するごとに、各豚舎の部屋について清掃、水洗い、消毒、乾燥、石灰散布を、ストール舎を含め全ステージで欠かさず行っている。
知多ハッピーポークの生産スタート時より、JAあいち経済連の江口獣医と生産面での良きパートナーとなっているJAあいち知多営農部畜産センターの平木章男氏の指導により、離乳後事故率はほとんどない0・2%を維持。抗生物質は少なく、最低限のワクチン接種だけにとどめている。出荷前にはどの豚もしっかりと育ち、バラツキがほとんど見られないから驚きだ。
飼料にはJA経済連の専用飼料を使用。この飼料は2010年より飼料米を配合するようになり、豚肉の食感と後味がさっぱりした風味になり、さらに食べやすい肉になったという。
知多ハッピーポークの販売を一手に担う守田精肉店では、販売開始当初より、ブランドのロゴマークを作成、シールやポスターを作り販促に努めてきた。守田社長は販売スタート時について「販売を開始した当初から、獣臭さが少なく旨みのある肉質と、先代から一生懸命に生産に取り組む姿に信頼感を持つことができた。牛肉と違い、豚肉は見た目で勝負できるものではない。我々は食肉卸業として、枝肉を慎重に吟味し販売している。品質に対して信頼があるからこそ、今まで続けることができた」と振り返る。
今後、家田畜産では母豚規模を150頭に拡大する計画で、こだわりの生産体制を受け継ぎながら、銘柄の浸透と飛躍に向けて努力を重ねている。
富士宮市に拠点を構える農事組合法人富士農場サービス(桑原康代表)では、「消費者に喜ばれる豚肉を創る」をキーワードに、常に品種改良・改善を心がけ、遺伝的に健康で美味しい豚肉の安心提供を目指している。同場で平成11年に作出され好評を博しているLYB豚は、親豚のランドレース(L)・ヨークシャー(Y)・バークシャー(B)の頭文字を取ってネーミングされたもの。
このLYB豚のようなおいしい豚肉作出を新たに試みて、系体・個体選別を行った結果、15年前にLY種を作出、生産を開始した。この豚は中ヨークシャー種の遺伝形質をそのまま受け継ぐ「富士幻豚」として、飲食店を中心に着実にファン層を拡げつつ、日本の「食」の一端を担うブランドとして浸透しようとしている。
富士幻豚は、富士農場サービスの農場のうちの5農場で生産されている。桑原氏によると、富士幻豚は「脂が厚い」のが特徴の一つ。また、中ヨークシャーの血統が入っているため、肉も柔らかくおいしいという。
富士幻豚の出荷体重は115〜120キログラム程度だが、飼育期間が7カ月齢と通常の肥育豚より1カ月から1カ月半ほど長い。また、ゆっくりのんびりとした環境で大切に飼育されており、年間出荷頭数は約1000頭程度だという。
さらに、富士幻豚の旨みを構成する要素のうちの一つ、豚肉の味を決定する「飼料」についても気を遣っているが、まだ飼育農場によって給与飼料に若干のバラつきがあるため、今後は小麦10〜15%程度、粉砕したサツマイモ7〜10%配合した飼料を給与するよう、すべての農場で富士幻豚の飼料として統一していく予定である。
富士農場サービスでは、今後もLYB豚とならぶ二大ブランドとして、富士幻豚の生産をしていきたいとしている。
富士幻豚の総販売元であるエリアライブ(本社:東京都目黒区)は、静岡県を中心に地元では有名な隠れた名品、各種畜産物、ジビエ類、魚介類、無農薬野菜類、果物類、その他加工品など、厳選した食材の業務用販売業ならびに小売業を手掛けている。創業者である佐野圭吾氏が静岡県富士宮市出身ということもあり、地元である静岡県の産物を取り扱うことはできないかと地元の生産者らを訪れていたところ、富士農場サービスが作出した富士幻豚に出会った。
佐野氏によると、富士農場サービスで生産された富士幻豚の肉質は、「甘みのある脂を持ちしつこさがなく、食べた時に口の中で溶けるように感じる」という。しかし、最大の特徴は交配に桑原氏の中ヨークシャー種を用いているということであろう。
中ヨークシャーの特別交配種である富士幻豚は、東京や大阪などを中心に、レストランなどの飲食店へ販売されており、「富士幻豚の肉質の良さ、食味の良さをさらに啓蒙しておいしい中ヨークシャーの系統を復活させたい。海外へも進出して『made in Japan quality』を発信していきたい」と佐野氏は意気込みを語る。
まだまだ発展途上のブランドであるが、さらなる拡大を図っていく予定である。
(社)日本養豚協会(JPPA、志澤勝会長)の青年部会と流通消費部会が主体となり、平成22年11月20日、21日の両日、東京・日比谷の日比谷公園で国産豚肉のおいしさや安全・安心を消費者へPRするイベント「俺たちの豚肉を食ってくれ! 2010」を開催した。このイベントは過去3回、新宿アルタ前広場、お台場パレットプラザにおいて単独で開催されたが、4回目となる今回は、「第1回食と農の祭典”―ファーマーズ&キッズフェスタ2010」に出展する形をとり、両日ともに天候にも恵まれ大勢の親子連れで賑わった。ちなみに、「ファーマーズ&キッズフェスタ2010」の公式来場者数は2日間で5万8500人に上った。
20日はJPPA青年部会が、21日はJPPA流通消費部会がそれぞれ主体となりイベントを運営し、初日は北海道、秋田県、岩手県、茨城県、神奈川県、石川県、静岡県、鳥取県、愛媛県、長崎県、宮崎県、沖縄県の12道県のJPPA会員が生産した銘柄豚肉10キロずつを4回の合計120キロ、2日目は埼玉県、千葉県、神奈川県の首都圏3県の銘柄豚肉30キロずつを3回の合計90キロを、会場のキッチンカーで豚しゃぶに調理し、1万300皿もの豚しゃぶを来場者に試食提供した。
ステージに上がって銘柄豚肉をPRした(有)萱農場(岩手県)の勝部信平さんは、豚に芋やイオン水を与えて、丹精こめて豚を育てている様子を紹介。上野養豚(長崎県)の上野活樹さんは、「自分がおいしいと思うものを食べてもらおうと常に味を確かめており、健康に育ったおいしい豚肉を全国の皆さんに届けられるよう頑張りたいです」と意気込みを語った。
初日には毎年恒例となった国産豚肉ソーセージを使用した「特大ホットドック早食い大会」も5回実施され、事前エントリーと当日エントリー合わせて55名が、各レースで用意された豪華賞品(豚肉5キロもしくは1万円ハム・ソーセージギフトBOX)をかけて早食いを競った。
2日目は、50名以上の小学生たちが参加してのじゃんけん大会が開催されたほか、埼玉県・千葉県・神奈川県産の豚肉加工品の販売テントも設置され、そこでも国産豚肉のおいしさがPRされた。
今回の開催に当たってJPPA青年部会長の阿部秀顕さんは、「とにかく、おいしい豚肉を積極的に食べてもらう、こうしたイベントを行うことも養豚家がやるべきことだと思いますし、それが我々のやり甲斐にもつながってくると思います。今回のイベントには全国から若手養豚家が120名以上集まってくれ、とても感謝していますし、みんなの意識が変わってきていると思います」と熱い思いを語ってくれた。
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