鶏卵肉情報 進化するブランド

2017年6月25日号

◎石川養鶏場
北海道産トウモロコシで旨味成分を向上
羊蹄山の麓で生まれる「ぷるっとたまご」


北海道を代表する名山・羊蹄山の麓で「ぷるっとたまご」を生産する石川養鶏場(倶知安町、石川尚基代表)。きれいな空気、おいしい湧水という恵まれた自然環境の中で、石川氏が研究を続けているのが地元産の飼料だ。

「できるだけ自然に近い状態のものを鶏に提供する」という信念の下、これまでのnon-GMOトウモロコシのほか、昨年からは北海道産のトウモロコシを導入した。国産飼料による自給率の向上や循環型農業による地産地消といった理念に加えて、採用の決め手になったのは「同じ栄養価の原料でも、鮮度の高い近くのものを食べた鶏は力が違う」という石川氏の思いと科学的な根拠だ。

それまでも、イワシなどの青魚を中心とした高CPの魚粉、発酵処理した魚粉、大豆粕、ワイン粕など、「卵にどれだけ味が乗るか」をテーマにさまざまな技術と材料を取り入れてきたが、道産トウモロコシを使ってからは旨味成分が一般卵の300%にまで向上したという。



2017年5月25日号

◎グリーンファーム
鹿沼産米配合の「かぬまの真珠卵」
国内産中心の飼料で自給率の向上を


飼料用米を給与することで卵黄色が白くなるのを補うためパプリカなどで調整する生産者も多い中、栃木県鹿沼市のグリーンファーム(梅園茂代表)は敢えて白い卵黄を前面に打ち出し、平飼いの「かぬまの真珠卵」としてブランド化を図っている。

もともとは、「田圃でとれた米を鶏に食べさせ、鶏から出たふんを田圃に戻す」という循環型養鶏を目指していた同じ鹿沼市の岩出正行氏が始めた取り組みで、「可能な限り国産飼料で養鶏をしたい」と考えていた梅園氏が共感し、鹿沼産米を中心とした飼料体系での鶏卵生産が始まった。飼料には米のほか、麦、ふすま、ぬかなどを自家配合している。

販売当初は白い黄身が敬遠され、「気持ち悪い」や「味が薄そう」などと顧客からの反応も散々だった。しかし、米ぬかに含まれる成分が移行することで真珠卵にはビタミンEが一般卵の2倍、旨味の基であるオレイン酸も豊富に含まれるなど、味と栄養が評価され、販路は徐々に広がっていく。特にスイーツでは白い卵黄が逆に「加工しやすい」と評判を呼び、真珠卵を使ったプリンは店舗展開を拡大している。



2017年4月25日号

◎(有)昔の味たまご農場
卵白のコシが強い「昔の味たまご」
料理の美味しさと仕上がりを考える


「生で美味しいのは当然。料理の仕上がり、それが自慢です」。卵のパックにも直売所の看板にも、個性的なイラストとともにそう紹介されている「昔の味たまご」。生産する(有)昔の味たまご農場(神奈川県相模原市)の田中紘社長の息子である亮氏は「料理後の美味しさや仕上がりの良さまで考えて生産している」という。

東京・神谷町のイタリアンレストラン「トスカーナ」などを展開する(株)イタリアンイノベーションクッチーナの四家公明社長が「卵白のコシと香りがほかの卵と比較して圧倒的に強い。それにより卵黄のコクが引き立ち、料理の味をぐっと良くしてくれる」と評価しているように、「琥珀色をした卵白のコシがさまざまな料理の味を引き立てる」(田中亮氏)。琥珀色なのは、卵白にビタミンBが多く含まれているため。

白身のコシの強さを示すちょっと珍しいエピソードは「コンソメづくりに失敗しない」というもの。亮氏は「コンソメは野菜などの具材を細かく刻んで卵白で固めるのだが、その際、卵白のコシが弱いと崩れてしまう。しかし、昔の味たまごは水溶性卵白が少なくコシが強いため、フレンチの料理人から『これに替えてからコンソメづくりに失敗がなくなった』といわれた」と説明する。



2017年3月25日号

◎紀州うめどり・うめたまご協議会
梅干しを活用した「紀州うめたまご」
梅酢を配合し鶏の腸内環境を整える


梅干しの生産量が年6万トンと全国の6割を占める和歌山県。梅干しは和歌山が誇る特産品の一つだが、紀州南高梅の産地・南部町では、梅干しづくりの過程で出る梅酢の処理に悩まされていた。そこで、夏場に弱った鶏に梅酢を飲ませるという地域独特の風習を生かし、飼料に梅酢を配合して誕生したのが「紀州うめどり」と「紀州うめたまご」だ。

梅酢のエキス「紀州梅そだち(梅BX70)」を配合した飼料と鶏の健康との関連性を和歌山県畜産試験場養鶏研究所で調査したところ、クエン酸やリンゴ酸、ポリフェノールなどの有機酸を豊富に含む梅酢は鶏の腸内環境にも好影響を与えることが確認されたという。 これを機に、和歌山発のブランド鶏肉とブランド鶏卵をつくろうと2006年に生産者らで組織されたのが紀州うめどり・うめたまご協議会。事務局を務める中田直希氏((有)中田鶏肉店専務)は「うめどりもうめたまごも、梅干しの消臭効果で臭みが非常に少ない」という。



2017年2月25日号

◎伊藤忠飼料(株)
投書箱に「ぐでたま置いてください」の声
人気キャラとコラボで、卵売場に季節感を


サンリオの人気キャラクター「ぐでたま」。いかにもやる気がなさそうな、ぐで〜っとした卵の不思議なキャラクターが登場したのは、同社が2013年に開催した投票企画「食べキャラ総選挙」。総選挙では2位を獲得し、2014年にTBS系の朝の情報番組「あさチャン!」の番組内ショートアニメに登場するや、たちまち20代、30代の若い世代を中心に注目を集め、2016年夏に行われた投票企画「サンリオキャラクター大賞」では4位入賞を果たすなど、現在も高い認知度と支持を得ている。

伊藤忠飼料の「ぐでたま」が、数多のキャラクター商品と違うのは、卵そのものの商品力と企画・提案力だ。同社は「鶏卵は商品の改廃が少ない上、シーズン商材も存在しないため、1年を通して変化に乏しく、季節感がない」として、卵売場の活性化をコンセプトに「ぐでたまを四季(イースター、土用の丑、ハロウィン、クリスマス)の期間限定パッケージで展開すること」を提案。おまけのぐでたまシールやパッケージ、キャラクター自体の人気も相まって、販売は初年度から毎月右肩上がりで伸びていったという。



2017年1月25日号

◎大木養鶏場
見た目のブランド戦略と濃厚な味わい
HE-BARA NO MEGUMI


直売所の看板や化粧箱にデザインされたオレンジ色は、15を超えるという濃厚なカラーファンをイメージしている。「見た目も大事なので」という大木孝一氏が代表を務める(川崎市)のブランド卵「HE−BARA NO MEGUMI」は、農場のある川崎市菅生ヶ丘がかつて「稗原(ひえばら)」という地名で、地元の人が「へぇーばら」と呼んだことにちなんでいる。以前は「へぇーばらの恵み」と称していた卵を、大木氏が「世界的な某有名ブランドのロゴを意識して」アルファベット表記に変更した。見た目を重視した形だが、化粧箱入りの贈答用卵の販売拡大につながるなど、こうした姿勢は一つのブランド戦略になっている。

29歳で家業を継いだ大木氏は「カッコよく農業をしたい」としてブランド戦略を進め、直売所を兼ねた作業所もガレージ風に改装するなど、見た目のイメージを重視してきた。しかし、学生の頃に食べた月見うどんがきっかけで卵が食べられなくなった経験を基に「最高の卵を自分でつくりたい」という思いから、鶏種や飼養方法などの研究を続けてきた結果、HE−BARA NO MEGUMIは今では多くの人々に支持されるブランドにまで成長した。



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