2005年12月号
◎鹿児島県黒豚生産者協議会
おいしさと消費者の信頼を追求する「かごしま黒豚」 ―厳格な組織体制と飼養管理に裏打ちされたブランド
かごしま黒豚証明書制度でおいしさに信用をブラス
安全でおいしい黒豚肉の生産促進と「かごしま黒豚」の銘柄を確立するため、生産者らにより平成2年10月に「鹿児島県黒豚生産者協議会」(沖田速男会長)を設立。平成17年7月現在の正会員数は234名となった。この協議会に加入している県内の黒豚生産者グループによる黒豚の年間出荷頭数は約27万頭(平成16年)で、県内黒豚出荷頭数の約65%のシェアを占めている。消費者およぴ流通関係者と密接な情報交換を行い、「高品質なかごしま黒豚を消費者間で確実に届ける」生産・販売体制の整備を図っている。
また平成4年4月には、「かごしま黒豚証明書制度」を開始し、黒豚生産者協議会会員が出荷した「かごしま黒豚」を対象に証明書を交付。黒豚生産者協議会会長が各生産系列の責任者の申請に基づき、かごしま黒豚の生産系列名(生産者名を含む)およぴ証明者番号(連番)を印刷のうえ交付し、出荷時に処理年月日などを記入して枝肉セットあるいは部分肉のパッケージに添付される。なお、かごしま黒豚の出荷量と販売量の整合を確認し、適正な流通体制を維持するために、販売店などに対し黒豚肉の販売後の証明書返還を依頼している。
このような証明書を添付し販売店まで流通することにより、生産農家が生産物(黒豚肉)に対して自信と責任を持つとともに、かごしま黒豚のおいしさに信用をプラスできるという大きな利点がある。
かごしま黒豚のブランド産地・販売店を摘定
鹿児島県を代表する農畜産物に対して、県や生産者団体で構成するブランド推進本部会議が「かごしまプランド」の産地指定を行っており、かごしま黒豚や鹿児島県黒牛をはじめ、加世田市のカボチャ、東串良町のピーマンなど12品目18産地が指定されている。平成17年7月1目現在、かごしま黒豚のプランド産地として15生産系列が指定されており、「かごしまブランドマーク入りの証明書」を添付する。平成16年の黒豚出荷頭数42万7000頭のうち約34%の14万7000頭がかごしまプランドの黒豚として出荷されている。
さらに、かごしま黒豚ブランド産地が出荷し、かごしま黒豚証明書が添付された黒豚肉を年間一定量以上取り扱っており、添付された証明書を95%以上返還できる販売店、料理店については、「かごしま黒豚販売指定店」として黒豚生産者協議会の指定が受けられる。現在、全国325店(平成17年度)が指定されている。
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2005年11月号
◎栃木県大田原市・(株)ヒラノ
PHF・NON−GMO飼料原料とハーブが育む「香彩豚」
―さらに味、質、安全・安心追求し、自らで販売も
千葉、栃木、茨城、群馬、福島の5県にまたがり原種豚農場を含め自社農場が14農場、預託農場が52農場、母豚保有頭数は1万1,000頭、肉豚の年間出荷頭数は約20万頭と国内トップクラスの規模を誇る企業養豚、(株)ヒラノ。生産・出荷する肉豚はランドレース種(L)、大ヨークシャー種(W)、デュロック種(D)の三元交配豚で、脂肪交雑(サシ)を高めるなど、より高品質化を目指し「LD×D」の肉豚の生産・出荷も始めている。すでに豚肉のブランド化も進めており、ハーブ入りの飼料を与えた「香彩豚」、麦を多給した「麦豚」、カテキン入り飼料を与えた肉豚などがすでに販売されており、それぞれ好評を得ている。
こだわりのトンカツ店オーナー“ぞっこん”
「香彩豚」については、平成13年9月から出荷が始まり、現在、月間500〜600頭が出荷されている。
指定生産農場は、桜井農場(佐原市、肥育豚3,450頭)、今関農場(山武郡蓮沼、2,200頭)、八日市場農場(八日市場市、2,500頭)の(株)ヒラノの3肥育農場。全農千葉県本部を通じて販売されており、千葉県食肉公社でと畜された後、全農千葉県本部の協同会社の一つである(株)千葉エーコープミートの千葉ミートセンターでカット、部分肉にして都内のスーパーや千葉県内のトンカツ店、割烹料理店などに納められている。
「香彩豚」の特徴は、なんといっても、PHF(ポスト・ハーベスト・フリー)でNON-GMO(非遺伝子組み換え)のトウモロコシとマイロ、キャッサバ、大麦を主体に配合し、さらに数種類のハーブを添加した専用飼料が給与されていること。
「まず肉色が非常に良く、豚肉特有のにおいがなく、柔らかい。しかもヒラノ1社で生産しているため飼い方や飼料などが統一されており、一定品質のものが出荷されます」と全農千葉県本部米穀畜産事業部次長の麻生和さんは「香彩豚」の優位性を強調する。
千葉市問屋町にあるトンカツ店「和らく」はユーザーの一つで、オーナーの都筑敏廣さんは出荷が始まった当初から「香彩豚」に惚れ込み、メニューに取り入れている。「和らく」は平成12年2月に開店し、開店当初は別のブランドポークを使っていたが、さらに味や肉質の追求をしていく中で「香彩豚」に巡り会い、以来、ロースカツなどに「香彩豚」を用い、人気を呼んでいる。
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2005年10月号
◎福島県・うつくしまエゴマ豚普及推進協議会
エゴマ給与で肉と脂肪の柔らかさ、甘さ抜群
α‐リノレン酸を豊富に含んだうつくしま「エゴマ豚」
年間3000頭を出荷
人の体に良いとされる「α−リノレン酸」が豊富に含まれた福島県のブランドポーク「エゴマ豚」が注目を集めている。
「エゴマ豚」は、福島県の系統豚「フクシマL」(ランドレース種)に愛知県の系統豚「アイリス」(大ヨークシャー種)、国の系統豚「サクラ203」(デュロック種)を交配して作られたLWDの三元交配豚で、約1力月間、シソ科のエゴマ(じゅうねん)を飼料に3%以上混ぜ食べさせて肥育するのが特徴。エゴマには、人の体に良い脂質「α‐リノレン酸」が豊富に含まれており、それが豚肉に移行し、栄養面だけでなく、肉は柔らかく、旨みがあり、しかも脂肪の甘みも引き出されている。「フクシマL」は昭和58年〜平成3年までの8年間で造成し、県内の養豚農家に供給してきたが、生産性などを高める目的で遺伝改良を加え、「フクシマL」の2代目として「フクシマL2」を造成(平成7年度に造成開始、15年10月に完成)し、昨年8月から養豚農家に供給を開始した。
「『フクシマL2』から生産された『エゴマ豚』も来夏には出荷される」(福鳥県畜産試験場肉畜部副主任研究員の綱中潤さん)とのこと。「エゴマ豚」はまず、県内2軒の農家が平成15年7月から、さらに1軒が同年9月から、そして翌年初頭にはもう1軒、全部で4軒の養豚農家が生産するようになり、年間約3000頭が出荷されている。
「エゴマ豚」は、「フクシマL」、「フクシマL2」の高繁殖性、高産肉性、ロース芯が太いなどの特長を最大限発揮するとともに、エゴマ種実の添加により肉質や味の差別化が実現した。
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2005年9月号
◎(財)東京都農林水産振興財団青梅畜産センター
脂肪とサシにこだわった東京生まれのブランドポーク
おいしさ求め、一頭ずつ丹念に育てる「TOKYO X」
北京黒豚のうまさに魅せられて
東京生まれのブランドポークとして注目を集めている「TOKYO X」。平成11年秋から出荷が始まり、現在は年間約5600頭にまで増えた。
「トウキョウX」の生みの親が東京都畜産試験場(現・(財)東京都農林水産振興財団青梅畜産センター)で場長を務めた兵頭勲さん(現・東京都農業会議参与(経営構造コンダクター))。「東京都という農家戸数、生産量が少なく、しかも規模拡大もできないところで、養豚をやっていくには、やはり高品質な豚肉を生産していくしかないと考え、付加価値を付ける方法として、交雑育種で肉質、味の極端に良いものを作ろうと開始したのがきっかけでした」と兵頭さんは開発の理由を説明する。
系統造成の具体的方法は、「北京黒豚」の雄2頭・雌5頭(中国北京市)、「デュロック」の雄4頭・雌15頭(鹿児島県、宮崎県)、「バークシャー」(鹿児島県・英国)の雄5頭・雌16頭を基礎豚として造成を開始。平成2年〜9年まで、それら3品種の交配を繰り返し、肉質などについてBLUP法という統計遺伝学的手法を用い遺伝的能力(子に伝える親の能力)を科学的かつ正確に推定して選抜しながら、5世代で「トウキョウX」を完成させた。
体型は北京黒豚、バークシャー種の体型を残しており、腿はやや寂しいが肩の部分は充実し力強い体型となっている。肢蹄は丈夫で、毛色は、茶に黒班、黒、茶色のものを標準としながら、中には白い斑点の見られる個体もあり、脂肪がのり丸みのある北京黒豚の特徴が出ているものもある。
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2005年8月号
◎広島市安佐北区/(株)大栄ファーム
選りすぐりの種豚から生まれる高級ブランドポーク
「幻霜ポーク」のライバルはもはや高級和牛
度肝抜かれる産肉性と肉質
広島市安佐北区安佐町久地で種豚場を営む(株)大栄ファーム(広島市安佐北区安佐町)。大栄ファームの親会社は、(株)大栄クリーナー(広島市佐伯区五日市町、高島一義社長)という産廃処理企業で、ここの高島社長が地域における食品のリサイクルを真剣に考え、食品残渣を飼料化。熊本県で30年以上の実績を持つ有力なブリーダーを場長に招き、4年前、養豚(種豚場)経営に乗り出した。大栄ファームでの選抜基準はやはり、なんと言っても「産肉性と肉質」。大ヨーク(W)、ランドレース(L)、デュロック(D)ともに、骨が太く、背中や後躯が広い。肋張りが良く、筋肉が柔らかい。全体の体の輪郭も非常にきれいである。さらにモモの面積が極端に大きい。後ろ足の先から背中までの4分の3に肉がついている状態で、スネはわずかに4分の1程度。産肉性の高さが伺える。誰もがそのすばらしさに度肝を抜かれる選りすぐりの種豚が、広島県内の4軒の養豚場に供給され、ブランド豚「幻霜ポーク」が生産されている。
大栄ファームには場長自らが厳選した、いずれ劣らぬW、L、Dの純粋種とF1が約1000頭。4軒の農家には、LWあるいはWLのF1母豚とデュロックの雄をセットにして提供し、さらに大栄ファームが独自開発した「幻霜ポーク」専用飼料の配合方法も指導し肥育を委託し、大栄ファームが肥育豚と枝肉を買い取る仕組みになっている。「もう格付けの時代は終わった」と、場長は言う。自分達の目で評価し、お互いの利益を確保しながら最高級の豚肉を届けていくことの重要性を強調する。
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2005年7月号
◎(株)平田牧場/山形県酒田市
LDBを中心とした銘柄豚肉『平牧三元豚』 直販体制で築いた商品力武器に外食事業展開
最も優れた三元交配―LDB
平牧三元豚とは系統のはっきりした3つの純粋種を交配して作った豚。健康な豚を作ることを第一に考えて品種改良。ランドレース種(L)、デュロック種(D)を交配した母豚に、バークシャー種(B)を止め雄にしたLDBにたどり着いた。平田牧場ではもともと脂肪交雑や脂の旨味など肉質に定評のあるバークシャー種(いわゆる黒豚)にこだわって育種改良を進めてきた。鹿児島黒豚の原種を導入したが、黒豚だけでは安定しない。LWD(ランドレース種+大ヨークシャー種+デュロック種)等と比較しても、やはりLDBが一番安定性が高く、かつ美味しかったという。三元交配というと一般にLWDが普及しているが、平田牧場では生活クラブ生協との直販を通じてお客様のダイレクトな声に応えてきた歴史がある。
「生活クラブ生協の食べ物に対する考え方は『安全』『健康』『環境』の3つ。一見、美味しさとは関係がなさそうに見えるが、そうではなかった。一つひとつ、お客様に求められている豚肉は何か、真剣に応えてきた。生協とああでもない、こうでもないと模索していく中で、LDBこそ最も優れた組み合わせであるという結論に達した。平牧三元豚は脂が非常にのったサシのある、しかしクセのないジューシーな味わいの豚であり、強健性もあるため品質も非常に安定して供給できる豚が生み出された」(高瀬周企画広報課長)。
肉質は品質第一の自社格付基準を採用。一般に市場格付けの基準となっている、日本食肉格付協会(日格協)の規格は「産肉効率や生産者応援の格付け方法であって、消費者のほうを向いていない。例えば枝重ひとつ取って見ても日格協は80キロまでは上である。うちは78キロで止めている。たったの2キロでも豚を大きくすれば生産者は儲かる。でも例えばベーコンにするにはサイズが大きすぎるし、トンカツにしてもロース芯が大きくなって、同じグラム数なら薄っぺらいカツになってしまう。品質とは規格を出来るだけ狭めて、安定して供給すること」(齋藤昇生産本部長)だと説明する。
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2005年5月号
◎三重県津市大里睦合町・(有)OK牧場
長年の産直基礎に、さらにこだわる安全・安心 「豚歴」で特定JAS取得と農場管埋を合理化
伊勢自動車道の芸濃インターを下りて5分も走ると、前に大きな駐車場を持つ「大里ミートセンター直販所」(津市大里陸合町)の茶色い建物が見えてくる。その建物のすぐ後ろには加工工場、さらにその背後に巨大な農場が広がっている。そのことに果たして初めてやってくるお客さんがすぐ気づくのだろうか―駐車場でそんなことを思いながら3月末に(有)OK牧場(小菅朗男社長)を訪れた。ユニークな名前を冠するこの牧場は、今年2月18日で生産情報公表豚肉JAS規格(特定JAS)の「生産工程管理者」の認証を東海地区第一号で取得した、安全・安心について先進的な取り組みをしている会社である。豚肉を加工するグループ会社の(有)大里ミート(小菅伸一社長)も現在「小分け認定」を取得手配中で、夏頃には東海地区の小売店で特定JASマークを貼った豚肉が販売される予定だ。
OK牧場グループは本場の大里農場を中心として三重県内に上野、伊勢、伊賀上野、磯部、安濃、鈴鹿にそれぞれの農場と大内山に一貫の協力農場を持ち、母豚1700頭の規模を誇る。スリーサイト方式を採用し、本場(大里農場)で繁殖、上野で離乳、それから各肥育農場へという流れが形成されている。オールインオールアウトを実施して衛生的な豚舎環境を維持している。種豚はコツワルドー本でオールAI。出荷は150日齢で115kg.と早すぎるほどだが、豚が健康ということでもある。年間出荷頭数は今期が約4万頭。環境対策も万全で今年2月には2億円を掛けて農場に尿処理施設を完備した。ふんは堆肥化して同社の所有する15町歩の畑に施肥し、野菜やイチゴの生産・販売も手掛ける。
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2005年4月号
◎沖縄県・金武町/ZUKEYAMAファーム
独自の飼料配合と酵素で育つ「琉球長寿豚」 物づくりへのこだわりを凝縮した特選豚肉
高コストになっても「安全でおいしい豚肉」届けたい
肉豚作りに関しては、当然ながら相当なこだわりを持ち、現在、銘柄豚「琉球長寿豚」の第一人者である。「琉球長寿豚」は白あがりのしまりの良い脂肪と、獣臭についてもほとんど無い、コクと旨みをあわせもつ特選豚肉。品種はランドレースと大ヨークを掛け合わせた母豚に、デュロックの雄豚を掛け合わせたもので、飼料に関してのこだわりも相当なもので、取引先の飼料メーカーとも季節に合わせ度々打合せを行い、独自の配合を行い、また特別な酵素などを新たに追加、飼育を行っているとのこと。肥育期間においても肉の熟成を考慮し、少し長めの210日としている。
瑞慶山良信さんが養豚、とりわけ物作りにこだわりを持つ理由としては、自分自身の体をこわしたことも挙げられる。内臓疾患、特に肝臓を悪くした関係から「食の安全性」を追求、薬剤は極力使わず、さらに、現在、自分自身が使っている酵素に着目。
酵素を使えばより健康でおいしい豚肉ができるのではと考えた。そのため生産コストも相当高いものとなっている。しかしながら安全でおいしい豚肉を消費者に届けたいという気持ちが強く、その思いが凝縮したものがまさに「琉球長寿豚」であり、クセもなくさっぱりとおいしい豚肉に仕上がっているのも頷けるところである。
地域の畜産物フェア等にも積極的に参加し、自分の作った豚肉を出品し、直接消費者の反応を自分の肉作りに反映させようと心掛けている。物作りへの熱心さが伝わってくるとともに職人気質そのものを感じる。
現在では関東地区を中心に業者からの引き合いも多く、大変人気の高い銘柄豚として位置付けられるまでに至っている。
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2005年3月号
◎沖縄県名護市・(株)我那覇畜産
琉球在来種「アグー」から生まれる高級ブランド 夢馳せた「やんばる島豚」に全国が注目
幻種の保存にも活発化
名護市街から車で約30分。山間の集落からさらに奥、名護岳の麓に(株)我那覇畜産(名護市大川、我那覇明社長)がある。養豚を始めて30年余り、現在、母豚500頭の(繁殖から肥育までの)一貫経営を営む。我那覇畜産の特徴は、なんといっても琉球在来豚「アグー」を使って「やんばる島豚」を生産していること。
「アグー」とは、14世紀後半に中国から沖縄に伝来したといわれる黒豚で、純粋種の「アグー」は成長しても60キロ程度と非常に小型で、産子数が少ないため、肉量が多く繁殖性が高い白色系の大型種に押され、数が激減。今や「アグー」は県全域で130頭しかいない幻種と化した。絶滅の危機に瀕したこともある。
しかし、その栄養価や味における価値が認められるようになり、最近では県産ブランドとして、さまざま機関や組織が種の保存と繋殖のための研究を行っている。そのなかの一つ、「琉球在来豚アグー保存会」の理事も務める我那覇さんが、「やんばる島豚」に乗り出したのは3年ほど前。「アグー」と、黒豚としてお馴染みのバークシャーを交配して作った肉豚に、沖縄北部の呼称「やんぱる」(「山原」が由来といわれる)の名を付した。
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2005年2月号
◎群馬県新里村・蕪木(かぶらぎ)養豚
“魔法の水”が生む最高級の肉質 脂の美味しさも絶品「かぶちゃん豚」
緻密な栄養設計と「魔法の水」が秘訣
「水が良くなければいい豚肉は作れない。自分で食べてうまい豚を作りたい」と蕪木養豚(群馬県勢多郡新里村板橋238)代表の蕪木博美さんはこだわり続けてきた。 父親の代から養豚を始めて40余年、現在、母豚約150頭の一貫経営を奥さんのはるみさんと二人で管理しているが、すでに長男は種豚の導入先であるサイボグで技術研修中、長女は近隣の養豚場で繁殖を担当しており、後継の準備も万全整っている。
蕪木さんがブランド豚の生産に取り組んだのは十数年前。出荷先の市場からドリップが出るというクレームがあり、その解決に頭を悩ませていた。そのとき救世主となったのが父親の代から取引のあった資材メーカーの某氏。配合飼料にその某氏が緻密な栄養設計を施したサプリメントを添加することで、ドリップは解決していった。
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2005年1月号
◎茨城県鉾田町・(有)石上畜産
肉屋出身ゆえに、その上を追求する まさに手塩にかけた「石上極豚」
常に自分の豚肉の評価を聞く
「もともと肉屋だから肉がよくわかる」。養豚を始めて約32年、それ以前は父親の代から続く食肉の卸・小売業を営んでいた(有)石上畜産(茨城県鉾田町、母豚800頭)の石上征二社長はこう豪語する。肉屋の視点で自らブランド豚を仕上げ、豚カツ専門店などの調理人をうならせる。極上の豚肉にふさわしく、その名も「石上極豚」。
2004年9月8日に東京食肉市場で開かれた第20回昭和畜肉研究会銘柄豚枝肉共進会では、出品された445頭の中から見事、最優秀賞を獲得し、1キロ5,206円の最高値でセリ落とされた。ちなみに、その時の枝肉は、雌で枝量が77キロ、と体調91センチ、背腰長66センチ、幅34.5センチ、背脂肪は2.1センチの均整のとれたものであった。
石上征二社長は、本誌2004年9月号で紹介した(有)石上ファーム(茨城県鉾田町、母豚3000頭)の石上清泰社長の実弟で、清泰社長も昭和7年から食肉卸業を営んでいたが、昭和40年代に美味しい豚肉を作ろうと養豚を開始。征二社長も同じ頃、本格的な養豚経営に乗り出したのである。
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