2007年12月号

(株)丸協食産(長崎県)
ホルモンを手軽に食べる“食文化”を日本に定着させたい
〜Big Company が目標ではない、
SQFを活用して Good Company を目指す〜


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牛・豚・鶏肉およびバラエティミートの加工卸を主業務とする(株)丸協食産(長崎県佐世保市大塔町、松尾淳一社長)は、昭和49年(1974年)に佐世保市稲荷町で(有)丸協食産として創業。昭和63年に株式会社に改組。以来、「新鮮、安全、美味しい食肉および畜産副生物(ホルモン)をお客様にお届けする」「日本にホルモンを手軽に食する食文化を普及させたい」という理念の下、食肉の素材を十分に生かした、合成添加物を極力使用しない食品作りに努めている。平成13年にはHACCPの考え方を取り入れた第3工場を操業開始。同工場は、平成17年9月にSQF2000認証を取得した(審査登録機関はSGSジャパン(株))。
 「父親が養豚業、母親がホルモンの小売業を営んでいたため、私が幼少の頃の食卓には、頻繁に畜産副産物(ホルモン)が並んだ。しかし、魚や肉とは違い、当時ホルモンは一般の家庭の主婦には人気がない商品だった。母は、ホルモンを煮込んだり、カレーの具にしたり、衣をつけて揚げるなど、さまざまな調理方法で食べさせてくれた。そのため、こんなにうまいのになぜ人気がないのだろう?と不思議に思っていた。答えは簡単で、一般消費者にとってホルモンは見た目が悪くグロテスクな、料理の仕方がよくわからない食材だったからである。それならば、見た目がきれいになるように加工し、あらかじめ調理しておいて、家庭では簡単な調理だけで食べられるようにすればよいと考えた」(松尾社長)。

01  平成13年に竣工した第3工場では、設計段階からHACCPの考え方を取り入れ、平成17年にはSQF2000認証を取得した。松尾社長は「どれだけ自社が厳しい衛生管理に取り組んでいても、他社が食品事故を起こせば、何らかの影響は受けることになる。そのときのリスクを最小限に留めるためには、私どもの会社を含め全国の食品製造会社が第三者による認定を受ける必要があると感じていた。SQF2000は、HACCPの考え方をベースに、ISO9001の考え方を取り入れた規格である。まずHACCPがあり、そこに品質管理のマネジメントシステムを取り入れるというのは、『理想的なマネジメントの在り方』であるように思われたので、取得に取り組むことにした。しかし、認証取得はあくまでもスタート地点に過ぎない。内部監査やSGSジャパンの審査を繰り返し受けていく中で、認証取得時よりも仕組みの『質』は向上しているという手応えがある。今後も着実なレベルアップを続けていきたい」と語る。




 

2007年11月号

◎(株)富士物産(山梨県)
斬新な発想と確かな調理技術でホテル・結婚式場など
『プロの料理人』の顧客満足に応える
〜信頼の“土台”としてHACCPを導入〜


ホテル、レストラン、結婚式場などを対象とした業務用食品の加工販売、各種燻製品の製造販売を主業務とする(株)富士物産(山梨県南都留郡富士河口湖町)は2007年5月、富士山麓にHACCPの考え方を取り入れた新工場を竣工した。1979年に「医食同源」をコンセプトに設立された同社ではClassical(クラシカル、伝統)、Contemporary(コンテンポラリィ、現代的)、Creative(クリエイティブ、独創性)の「3つのC」をキーワードに、「エレガントかつスタイリッシュな商品づくり」に努めている。
 フードサービス業界では近年、限定された作業スペース、調理スタッフの人員不足などさまざまな問題に直面していることから、経営の合理化・効率化のために「アウトソーシング」の考え方を取り入れる企業が増えている。富士物産では、そうした問題を抱えるホテルやレストラン、結婚式場等を主な顧客としたアウトソーシング業を展開している。
HACCP導入の背景について、関口博社長は「今後も取引先からの信頼を維持するためには、自社製品の安全性についてきちんと責任を持たなければならない。そのためには、HACCPに取り組むことが最低限の条件と考えた。どれだけ確かな調理技術があっても、斬新なメニュー提案ができても、衛生レベルの低い工場では取引先の信頼は得られない。将来のことを考えると、万全の衛生管理ができる工場が必要であると判断した」と説明する。導入の経緯について衛生管理部のトーサック路子部長は「当社は一般的な食品工場のようにライン製造ができる工場ではない。そのため、HACCP導入に際して難しさを感じることも多かった。最初は戸惑いや疑問も多かったが、まずは衛生管理の基礎であるPP(Prerequisite Program;一般的衛生管理プログラム)を一歩ずつ着実に構築することから始めた」と語る。

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2007年10月号

◎(株)ユニバース(青森県)
青森県で急成長を続けるスーパーマーケット
顧客満足と従業員教育を徹底、北東北に39店舗を展開


青森県八戸市に本部を置く(株)ユニバース(三浦紘一社長)は、青森県・岩手県・秋田県で39店舗のスーパーマーケットを展開しており、売上高の91%を「食品」が占めている。会社設立は1967年と、スーパーマーケット業界では“後発”でありながら、 同社の2007年4月の決算は、営業収益が866億円(前年比105.3%)、経常利益高が25億万円(前年比98.1%)。バブル崩壊前の実績から、約16年間で実に約4倍近くまで営業収益を伸ばしている。スーパーマーケット業界では「売上対経常利益率が3%を超えると優良企業」と言われているが、ユニバースの過去10年間の平均は3.1%を維持している。2007年には東証二部に上場した。
ユニバースのスローガンは「customers, our priority(私たちはいつでもどこでもお客様最優先)」。同社の経営陣は、スーパーマーケットの最新動向を学ぶため、毎年米国の大規模店舗を視察。価格、品揃え、陳列、サービスなど、「地域に支持される店舗づくり」のノウハウを吸収している。また、ユニバースの社員として必要な知識と技術が身に付けられるよう、徹底的な教育システムを確立。年間の教育費として1億6000万円を投入している。
ユニバースが展開する全39店舗のうち、14店舗がスーパー・スーパーマーケット(S.S.M)と呼ばれる大規模食品スーパーマーケットで、安全・安心の食品を提供するためにHACCPの考え方を採用。またユニバースの三浦社長は「食品を取り扱うスーパーマーケットにおいて、食品衛生の確保は非常に重要な課題。衛生教育にも注力しなければならない」という方針を明確に掲げており、衛生検査や衛生指導については(社)青森県薬剤師会衛生検査センターに依頼している。同社の営業企画部品質衛生検査グループ長の小澤寛治氏は「衛生検査の専門機関に衛生指導をお願いしたことで、検査結果に基づいた問題点の指摘、原因の追及ができるようになり、この2年間で店の衛生環境の改善は大きく進んだ」と、その成果を強調する。また、青森県薬剤師会衛生検査センターの担当者(食品衛生インストラクター)は「検査結果を基に、どのような過程で、衛生管理の改善に結びつけるかが大切である。そうした意味では、衛生管理で最も重要な要素は『人』であると思う。ユニバースさんの場合は、トップの方針が明確に掲げられ、その方針を実現するための教育体制が整っている。現場調査に立ち入った際、従業員の皆さんのモラルの高さを感じた。強烈なトップダウンの下で急成長を遂げた会社なので、衛生管理に関しても『いつもまで経ってもなかなか改善されない』という“停滞”が許されない雰囲気がある。トップダウンという仕組みの長所が、良い方向に作用していることを感じる」と、同社の取り組みを評価する。
 ユニバースでは、今後は年3店舗程度ずつ新規に出店していく計画である。また、目標として「60店舗以上、売上高1200億円超」を掲げている。他社との差別化を図りつつ、既存店舗の改装や新店舗の出店などを進めることで、今後も「地域住民の生活に欠かすことができない食品スーパーマーケット」として、さらなる成長を目指していく。

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2007年9月号

◎(株)プレコフーズ(東京都) 
安全・品質・鮮度を妥協なく追求、「食の楽しみ」と「笑顔」を創造する
〜「食肉衛生のスペシャリスト」を目指す総合食肉卸売業


鶏肉や豚肉などの食肉類の加工・販売を主業務とする(株)プレコフーズ(高波幸夫社長、本社・東京都大田区)は本年4月27日、本社配送センターと東東京配送センターで、(財)日本品質保証機構(JQA)のISO9001-HACCP認証取得企業として登録された(ISO9001-HACCPの登録範囲は「鶏肉製品、豚肉製品、牛肉製品、その他家禽畜肉製品の企画、製造及び配送」)。今秋には西東京配送センターでも認証を取得する予定である。
 ISO9001-HACCPに取り組んだ背景について、HACCP管理責任者の小林治氏(社長室室長)は「食品企業として、『安全』『品質』『鮮度』を何よりも大事に考えている。中でも安全性確保は徹底して努めなければならない責務であることから、まずはHACCPに取り組まなければならないと考えた」と説明する。  同社の主力商品は、鳥取県の「大山鶏」と、同社オリジナル銘柄鶏の「総州古白鶏」。いずれも、毎日産地から入荷される新鮮なと体を、低温クリーンルームで解体・加工している。総州古白鶏を開発した経緯について、西東京配送センターの塔野巌センター長は「鳥インフルエンザの問題が起きたときに、『常に想定外のリスクは起こり得る』という危機感を抱いた。鶏肉以外にも、岩手県産の銘柄豚「岩中豚」も人気が高い」としている。
 ハード面では、さまざまな工夫が施されている。大きな特徴として、施設内全体の徹底した温度管理、交差汚染の予防を考慮した明確なゾーニング、ワンウェイを基本とした動線管理などが挙げられる。小林氏は「顧客のほとんどが小規模の飲食店営業の食鳥加工施設で、ここまでのハードを揃えた企業は、全国でも少ないと自負している」と話す。しかし、最新鋭の施設設備を導入しているものの、けっしてハードに依存した衛生管理を行っているわけではない。同社西東京配送センターの塔野巌センター長は、「ハードは、コストをかけてアイデアを出せば、ある程度は整備できる。しかし、それを取り扱うのは『人』である。作業者の衛生意識を高め、安全・品質という共通の目標を目指して取り組まなければ、ISO9001-HACCPという仕組みを効果的に活用することはできない。また、HACCPではCCP管理に集中することになるが、そのためには5S(整理、整頓、清潔、清掃、習慣づけ)を中心としたPRP(前提条件プログラム)が重要であるということを痛感した」と話す。
 前出の小林氏は「食品メーカーにとって、『人』の管理こそが最も重要で、かつ最も難しい問題であると感じている。社員全員が品質に対して明確な共通意識を持つ仕組みとしてISOを導入した。会社が掲げている『安全』『品質』『鮮度』という経営理念を実現し、社員の一人ひとりがスローガンで謳っている『食品衛生のスペシャリスト』であるよう、今後もISO9001-HACCPの継続的改善を怠らず、お客様に『食の楽しみ』と『笑顔』を提供できる企業でありたいと思う」と、今後の目標を語った。

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2007年8月号

◎佐賀県・社団法人佐賀県畜産公社
ISO22000導入で職人の《技術》と《考え方》を標準化、
確かな技術を次世代に継承
〜自社の工程や施設に最適な「自分たちのための仕組み」を確立


「佐賀牛」などのと畜、加工、配送などを主業務とする(社)佐賀県畜産公社(佐賀県多久市南多久町大字下多久)は2007年4月20日、(財)日本品質保証機構(JQA)からISO22000の登録を受けた。同公社では、これまで以上に安全・安心を提供できる「佐賀牛ブランド」の確立に向けた取り組みの一つとして、ISO22000の認証取得に取り組んだ。ISO22000の登録活動範囲は「と畜解体および食肉処理加工、食肉製品の製造および配送」で、フードチェーンの広い分野を登録対象としている。
 佐賀県畜産公社は、県が建設した食肉センターの業務全般を運営管理するために、県、市町村、農業団体、食肉事業連、関係出荷団体等の出資により設立された社団法人で、食肉畜流通合理化の拠点施設としての役割を担っている。また、地域の畜産振興に寄与することにも取り組んでいる。
 公社が取り扱う家畜の中で、最も有名なブランド「佐賀牛」。佐賀牛とは、JAグループ佐賀管内の肥育農家で飼育された黒毛和種で、(社)日本食肉格付協会の定める牛取引規格において、歩留まり等級が「A」、肉質等級が「4」以上、BMS「No.7」以上のものだけを指す。柔らかい食感の赤身肉と美しい霜降り、甘みとコクのある味わいなどが特徴である。また豚についても現在、佐賀県ブランドの確立を目指しており、県や農家が共同で育種改良等の研究を推進しているという。
 
 與田光春専務理事は、ISO22000に取り組んだ背景として「食の安全・安心を確保することが、すでに『時代の要請』『社会的な要請』となっている。また、当公社では、生産者が育てた大切な家畜を加工し、流通している。牛の場合、生産者が2年半もの歳月を費やして、一頭一頭、真心を込めて肥育したものである。そうした『生産者の心』を考えると、生半可な気持ちで取り扱うことは許されない。最善の加工技術、最善の衛生管理技術で取り扱い、最高の状態で消費者にお届けすることが我々の使命である。食品を取り扱う組織として、安全性確保がより最優先的な課題であると考え、ISO22000の認証取得を目指すのがベストな選択肢であると判断した」と語る。
 公社では「HACCPはソフト運用を重視して構築する仕組み。ソフトは、自分たちの施設に合わせて構築することができる」という考え方の下、自分たちの作業に最適の手順を構築した。今後については「認証取得をゴールとせず、しっかりとPDCAサイクルを回していき、ISO22000を自分たちの仕組みとして定着させ、次世代へと継承していきたい。」とのこと。




 

2007年7月号

◎岐阜県・飛騨ミート農業協同組合連合会(JA飛騨ミート)
《飛騨牛》の処理・加工・販売でISO22000認証取得
今後はISO9001の要素をISO22000マニュアルの中に取り込み運用


全国的な知名度を誇る「飛騨牛」の処理、加工および販売を主業務とする岐阜県高山市の飛騨ミート農業協同組合連合会(JA飛騨ミート)は3月20日、ISO22000の認証を取得した。審査登録機関は(社)日本能率協会審査登録センター(JMAQA)で、ISO22000の対象範囲は「飛騨牛を中心とした牛肉(牛内臓赤物、牛内臓白物、牛モツ、牛アキレスを含む)の処理、加工、販売」。
 JA飛騨ミートの主力商品は全国的にも知名度の高い「飛騨牛」。飛騨牛は、岐阜県内で14カ月以上肥育された黒毛和牛種で、(社)日本食肉格付協会の実施する枝肉格付において、肉質等級5等級・4等級・3等級に格付けされた牛肉に与えられる銘柄である。2002年9月に岐阜県で開催された全国和牛能力共進会において「内閣総理大臣賞・最優秀枝肉賞」を受賞したことで、一躍全国のブランド牛として知られるところとなった。
 ISO22000に取り組んだ経緯について、飛騨食肉センター長を務める小林光士参事は「『日本一の飛騨牛』を『日本一の衛生基準』で消費者に届けることは、JA飛騨ミートに課せられた使命である。今日『飛騨牛』は全国的に知られるブランドとなってきたが、これから食品安全に対する消費者の目はますます厳しくなる。消費者に、最も安全な「飛騨牛」を提供することが重要である。「信頼」「改革」「貢献」が本会の基本理念であり、ブランドだけに頼る経営は成り立たない」と語る。
 同会では今後、ISO9001とISO22000の2つの規格を運用していく。小林氏は「ISO22000(食品安全)もISO9001(顧客満足)も、どちらも重要だが、ISO22000は人の命に関わる問題を取り扱う。その“重み”は、同列に扱えるものではない。『品質』と『安全・衛生』は、きちんと分けて考えることが重要である。まずはHACCPをしっかりと構築し、それから品質管理に取り組むべきだと思う」と説明する。




 

2007年6月号

◎長野県・アスザックフーズ株式会社
リスクは常に想定しておく
〜農薬検査体制・トレーサビリティ体制など徹底整備〜


長野県・アスザックグループの食品事業部門として昭和38年に設立したアスザックフーズ株式会社は2007年3月23日、(財)日本品質保証機構(JQA)にISO22000認証取得企業として登録された。同社の主な事業内容は、【1】フリーズドライ食品・健康指向食品の開発・製造・販売、【2】フリーズドライ・エアドライの野菜、果物、その他食材の開発・製造・販売、【3】フリーズドライスープ・デザートドリンクの開発・製造・販売、【4】健康指向食品(霊芝)の開発・製造・販売など。同社が製造・販売する全品目が、ISO22000の登録範囲となっている。ISO9001-HACCPやISO22000の構築支援に豊富な実績を持つHACCP・AJVC(危害分析重要管理点対策共同事業センター)が、同社のISO22000構築を支援した。
 アスザックフーズ(株)の久保正直代表取締役社長は「認証取得はあくまでもスタートに過ぎない。このスタートラインから、着実にレベルアップを果たすことが大事だ。そのためには、一人ひとりが、自らの責任と役割をしっかりと果たし、絶えず継続的改善に取り組まなければならない。食品安全に対するお客様や消費者の眼は日を追うごとに厳しくなっている。高い危機意識を持って仕事に臨まなければ、これからの食品企業は立ち行かない。当社は中国とベトナムにも関連工場がある。今後は海外関連工場におけるISO22000構築の視野に入れているが、日本国内の工場が“衛生管理の模範工場”として牽引していけるよう、内部コミュニケーションをさらに強化し、たゆみない継続的改善に取り組んでいきたい」と語る。




 

2007年5月号

◎ベタグロ・グループ/VPFグループ
鶏肉に続き豚肉調整品の対日輸出も拡大 なおも進化するタイの畜産の脅威

3月5日〜7日にタイのバンコクで開催された国際的な畜産展示会「VIVアジア2007」。このPRを目的に昨年12月、世界の畜産業界記者を招いてジャーナリストプログラムが開催され、タイの畜産現場を視察した。鳥インフルエンザの発生以降、タイは日本への生の鶏肉の輸出ができなくなったが、むしろ彼らはそのことを好機と捉え、より加工度の高い畜産製品の対日輸出をますます拡大させている。加工施設では、ISO9001やタイ農業協同組合省畜産開発局(DLD)認定のGMPやHACCP、TQM(Total Quality Management)、さらには自社の検査室では国際的な試験所(検査機関)の認定規格であるISO17025などを取得しており、安全性や品質に万全を期している。
 ベタグロ・グループは、1967年に飼料の生産・流通の専門企業「ベタグロ・カンパニー・リミテッド」として設立。年商6億8900万ドルを誇る、タイを代表するインテグレーターで“from Farm to Fork”をテーマに完全統合されたアグリビジネスを展開している。その中でも事業の柱はやはり鶏肉加工品の生産・輸出。1日当たり30万羽の鶏を処理し、年間3万トンの鶏肉加工品を生産しており、2年後にはそれを5万4000トンまで拡大する計画である。その他、豚肉の生産・加工にも力を入れている。
 鶏肉や豚肉加工施設では、食品の安全性・品質保証プロジェクトを実施しており、ISO9001:2000やTQM、DLD認定のGMPやHACCP、ISO17025の認定を取得、さらにはサプライチェーン全体をコード化し、ソフトウェアによりモニタリングされるトレーサビリティシステムを確立している。
 VPFグループ(VPF Group Co., Ltd) は、豚肉生産のインテグレーターで、1973年に母豚4頭、種雄1頭から始まった。資本金は現在5500万バーツまで増資され、DLDからGAP認証を受けた16ヘクタールの繁殖農場から、子豚育成・肥育を行うグループ内の各農場に子豚を供給している。
 VPFグループの豚肉処理部門として1991年に設立されたV&Pフレッシュフーズ社は、タイ北部で最も近代的なと畜場。資本金5000万バーツの同社は、チルド豚肉をアジアとヨーロッパ諸国に輸出すると畜場として、2000年9月にDLDから認定を受けた。さらに、より安全性の高い豚肉を供給するべく、GMPとHACCPを実施している。主なシステムはドイツから輸入したもので、毎時200頭の処理が可能。豚の生産段階から最終製品に至るまでのトレーサビリティを可能にしている。「処理された豚肉は他の施設に持っていき二次加工して、日本への輸出を計画している」とシニア・マネージャーのヨンギュット・チョムタムディさんは語る。




 

2007年4月号

◎(株)阪急フーズ(大阪府)
「安全」を最優先に考えれば、利益は後からついてくる
「阪急フーズ=安心・安全」のブランド確立を目指し、ISO22000ベースの独自システムを構築


海苔(焼海苔、味付海苔、お茶漬)、昆布(おぼろ・とろろ昆布、佃煮昆布、だし昆布)、素麺(揖保の糸、諸国銘産麺)などの製造販売を主業務とする(株)阪急フーズ(本社・大阪市北区中津)は2006年10月30日、(財)日本規格協会からISO22000の適合証明書を交付された。2005年8月にISO22000認証取得を目指してキックオフ(同時に5S構築にも着手)し、約1年2カ月で認証取得まで辿り着いた。現在はISO22000をベースに独自に開発した「HMS(阪急フーズマネジメントシステム)」を運用している。
 阪急フーズの前進は1939年創立の阪急食品工業(株)。同社は漬物、乾物、米飯、惣菜事業等を主業務としていたが、2006年に分社化。「(株)阪急デリカ」(弁当・惣菜・漬物の製造・卸)、「(株)豆狸」(いなり専門店)、および「(株)阪急フーズ」の3社が設立された。
 ISO22000に取り組んだ経緯について、阪急フーズの岸本佳和社長は「当社は2006年に阪急食品工業(株)の分社化によって設立されたが、分社化の前から経営の仕方を変えたいと考えていた。数ある選択肢の中にISO22000(食品安全マネジメントシステム)も含まれていた。ISO22000は食品の安全性確保を目的とした規格だが、それだけに留まるものではなく、経営の仕方――さらに言えば会社そのものまで――を変えられると考え、導入することを決断した。阪急グループの一員である以上、利益追求を軽視することはできない。しかし、当社の品質方針として食品安全に優先するものはない。もちろん美味しくなければ売れないが『美味しい食品を、徹底的な衛生管理体制の下で生産すれば、必ず消費者に支持される』と信じている。消費者の支持を得られれば、利益は後からついてくるはずだ」と語る。
 今後の事業展開について岸本社長は「食品の安全・安心は『社会的な要請』である。そのような時代にあって、1件でも食品事故を起こせば、企業は壊滅的な打撃を受ける。これからは『美味しいものを安全に提供できる企業』だけが生き残れると思う。当面は5Sの徹底とISO22000の基盤整備に尽力する。安全・安心を追求する取り組みは今後も妥協せずに継続し、『阪急フーズといえば安全・安心』と世間から認知される企業でありたい。また、安全確保の対策を徹底した上で、高付加価値商品の開発などにも取り組んでいきたいと思う」と語る。




 

2007年3月号

◎京都府・京つけもの 西 利
企業理念を実現する『道具』としてISO9001・ISO22000認証を取得
〜妥協なく『旬 おいしく、やさしく。』の理念を追求する京漬物製造販売業〜


京漬物の製造および販売を主業務とする?西利(本社・京都市下京区)は2006年11月17日、(財)日本品質保証機構(JQA)からISO22000およびISO9001の登録証を交付された。ISO22000の登録活動範囲は「漬物の開発と製造及び販売」「漬物を使った料理の調理及び提供と開発」。
 京つけもの・西利は昭和15年の創業(昭和28年設立)。平井太朗氏が100余年の暖簾(のれん)を誇る「西利商店」で修行した後、暖簾分けを認められて創業した。創業者の持ち前のひたむきな努力と創意工夫は、2代目社長の義久氏(1979年に社長就任、現・代表取締役会長)、3代目社長の達雄氏(2005年に社長就任)にも脈々と受け継がれている。創業から60年近く経った今なお、西利では創業者の精神と伝統の技術を継承し、さらにその技術を時代のニーズにマッチさせながら、京漬物の分野に新機軸を打ち出している。
 平井達雄社長はISO9001とISO22000の認証取得に取り組んだきっかけについて「食品安全の国際規格としてISO22000が発行されるという情報を聞いた時点で、認証取得に向けて取り組むことを決めていたが、ISO22000は食品安全のための規格なので、品質管理の規格であるISO9001も同時に構築することにした。ただし、ISO9001にせよISO22000にせよ、認証取得が目的ではない。当社が製造から販売までを手掛ける『西利の京つけもの』は、『旬 おいしく、やさしく。』という目標が込められている。この目標を支える家訓として『3つの心』(きめこまかな心、おもいやる心、わかちあう心)がある。『旬 おいしく、やさしく。』による経済的調和、『3つの心』による精神的調和、および『健康』の3つの調和を図ることで、人生と社会をつなぎ、社会に貢献することで目指している。全社員が社業を通じて、こうした目標・家訓・境地の実現を目指すことこそが、何よりも大切なことだと思う」と語る。




 

2007年2月号

◎沖縄県・株式会社青い海
ISO9001・ISO22000を同時に認証取得した製塩業
〜品質管理・安全性確保のさらなる強化、今後は海外進出も視野に〜


食塩やにがりの製造販売を主業務とする(株)青い海(沖縄県糸満市西崎町、又吉元栄社長)は2006年9月29日、(財)日本品質保証機構(JQA)からISO9001およびISO22000の登録証を交付された。青い海は1974年に設立。沖縄県内で流通する塩製品の80〜90%は同社の製品である。
 又吉社長は、ISO22000とISO9001に取り組んだ背景について「県外に出荷する業務用塩の取扱量が多いため、いわゆる県外の『一流企業』との取引もある。しかし、いわゆる一流企業と取引をするためには、品質保証が十分にできていなければならない。『一流』とは『当たり前のことを、当たり前のこととして実行できる』という意味だ。私たち自身が『一流』で在り続けるために、新しい取り組みとしてISOに取り組むことにした」と説明する。
 ISO構築の中核を担った古我知信氏(品質管理室室長)と新垣幸雄氏(生産部部長)は、ISO22000に取り組んだ効果について「構築を始めた当初は、現場では“ISO”という言葉を聞くだけで『難しそうだ』という声も多かったが、粘り強く地道に教育訓練を繰り返す中で、徐々に社員の意識が変わってきた」「これからも現場との内部コミュニケーションを強化しながら、本当の意味でISOが『自分たちに最も適した仕組み』として定着するよう、全員で力を合わせて継続的改善に取り組んでいきたい」と述べた。
 今後について、又吉社長は「当社は『沖縄県に伝統的に伝わる食文化を守る』という理念で設立した会社である。これからも『沖縄の食文化を守る』『シママース(沖縄県の塩)を育む“青い海”を守る』『文化を守り継承し、安らぎのある人間らしい生活を探求する』という気持ちを常に持ち続けていきたい。次世代に『伝統の自然食文化』『正しい食生活』を伝承していくことは、沖縄県の食品企業に課された重要な使命であると認識している」と語る。また、同社では生産する塩製品の95%を県外に出荷されている。又吉社長は「国内販路にもまだまだ可能性はあるが、これからはアジアを中心とした“海外市場”も視野に入れていきたい。ISO認証を取得したことは、海外市場に向けたPR材料の一つになる得るのではないか。そのためにも、ISO9001とISO22000をしっかりと運用していきたい」と語った。  




 

2007年1月号

◎鳥取県・大山乳業農業協同組合
創立60年の乳業メーカー、製菓工場でISO22000認証取得
〜牛乳は「白の一滴、心の一滴」、酪農家の真心を食卓へ届けたい〜


鳥取県内唯一の乳業メーカーとして、牛乳、乳製品(生クリーム・バター・ヨーグルト・粉乳・練乳)、アイスクリーム、菓子の製造販売を主業務とする大山乳業農業協同組合は、平成18年7月14日、「洋生菓子および焼菓子の製造」を登録範囲に、ISO22000の登録証が交付された。審査登録機関は(財)日本規格協会(JSA)審査事業部。菓子部門では中国地方初のISO22000認証取得事例である。ISO22000認証を取得するために、平成17年4月にキックオフ大会を開催。月2回、コンサルタントを招いての委員会や7回にも及ぶ内部監査・トレーサビリティの検証などを実施。平成18年1月からマニュアルに基づく運用を開始、同年4月に一次審査、6月に最終審査を経て、7月14日に(財)日本規格協会審査事業部のISO22000認証を取得。
 幅田信一郎代表理事組合長は「品質面の向上は、常に追求しなければならない。しかし、そのために安全性を疎かにすることは許されない。食品企業にとっての基本は、やはり安全性確保である。各部門が、互いに連携を緊密に取り合って、改善活動を進めていくよう心掛けている」と語る。また、「まずは菓子分野でISO22000の認証を取得できた。将来的には他の製品でも認証取得に向けて取り組んでいきたい。そのためには、内部監査を形骸化させないこととや、トップマネジメント(経営者責任)を明確に示していくことが、今後の課題の一つとなるだろう」「酪農専門農協として、これからも消費者に喜ばれる良い製品を作り続けるためには、安全性確保と品質管理を徹底するしかない。企業責任が強く問われる時代である。『どうすれば社会貢献できるのか?』『どうすれば消費者に信頼される組合になれるのか? そのためには、具体的に何が必要なのか?』ということを、常に考えなければならない。また、これからは『健康』が一つのキーワードとなる。消費者と触れあう機会も多いので、健康な体づくりに牛乳は欠かせない食品であることを、もっともっと知ってもらいたい」と語った。  



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