2009年10月号
◎株式会社フードサプライジャスコ・中部センター(愛知県)
SQF2000準拠の品質管理で“安全・安心・美味しさ”を徹底追求
〜安全・安心を最優先課題に、“美味探究”でブランド力を強化〜
畜産・水産・デリカ商品などの製造加工、並びに農産・加工・デイリー商品などを含めた配送を主業務とする株式会社フードサプライジャスコ(本社・千葉県船橋市高瀬町24−12、佐々木勉代表取締役社長、1981年設立)は、安全・安心・高品質の食品を顧客に提供することを目的として、SQF2000に基づく品質保証体制の確立・運用に取り組んでいる。同社は2003年8月に兵庫センターで認証を取得して以降、社内におけるSQF2000の水平展開を推進してきた。
取締役製造担当兼中部センター長の都筑氏は「中部センターとしては、すでにSQF規格に準じた品質保証体制の構築に取り組んでいたので、「認証取得の何か特別な準備をした」という感じはなく、むしろ「これまでの取り組みの延長線上で取得できた」という印象がある。SQFに取り組んで、会社は良い方向に変わったと感じている。「品質を大事にする」という当社の社風と、SQFという仕組みが、上手くマッチしたからだ。SQFに取り組んだことで、品質管理に関する「明確な基準」が決められた。基準が明確になったので、その基準を守るための「手順」を作成することになった。そして、その手順を効率よく実践するために、各現場がさまざまな工夫を凝らしてきた。そうなると、安全性や品質管理が向上するだけではなく、生産効率の改善といった副次的効果もあらわれてきた。品質管理と生産管理は、車の「両輪」である。品質が良くなると、生産面にも良い影響をもたらす。生産効率を上げようとすれば、結果として品質が良くなる。
当社の品質管理部は、以前はセンター長の管轄下の組織だったが、現在は社長直轄の組織にとなっている。現場から完全に独立した立場なので、現場や会社に対して第三者的に意見や提案ができる。これは非常に大きな変化だったと思う。毎月9日を「異物混入防止の日」、25日を「表示の日」と定めている。この日は、過去に当社が大きな事故を起こした日だが、朝礼時に改めてルールを再確認するなどして、過去の経験を繰り返すことがないよう、自らを戒める日としている。
また、高いモチベーションを維持してもらうため、「目標管理」を導入している。異物混入率や毛髪件数など、数値化できる目標については「全社の目標値」や「センターの目標値」を掲げている。目標の達成度を客観的に確認することで、常に「現状の管理手法で良いのか?」という見直しができる。異物混入については、数値による目標管理を始めた頃(2003年頃)と比較して、現在は約6分の1まで減らすことができた。具体的な数値を示して「見える化」したことが顕著な成果につながったのだと思う。数字で管理するようになったことで、お客様に対しても、具体的にどのような異物が何件見つかり、それに対してどのような対策を講じ、その効果がどのようにあらわれているか、といった具体的な説明ができるようになった。
SQFという仕組みは、監査を行うたびにレベルアップする。監査を軽視すると、せっかく仕組みを構築したのに、気が付いたら(仕組みのレベルが)後退していた」ということにもなりかねない。確実にレベルアップするためには、「監査の意義」をしっかりと理解することが大切である。最近は、監査員や審査員の方には「現場のありのままの姿」を見てもらい、どんどん指摘をしてもらうようにしている。また、新しい取り組みとして、「これまでとは違う視点からも監査してもらいたい」という考えから、受託検査機関に半年に1回の頻度で「一般衛生管理」の部分に焦点を絞った監査を依頼している。積極的に「第三者の目」を受け入れるように心掛けている。」と語る。
品質管理部長の間處氏は「当社では、食品製造において最も重要なことは「美味しさを含めた品質管理」であると考えている。お客様からのクレームの原因を分析すると、その多くが「品質クレーム」である。SQFに取り組み始めて、お客様からのクレームは確実に減少した。加工場に潜んでいる潜在的な商品事故や品質不良も、しっかりとコントロールできて、事故予防につながっている。当社では、「安全・安心の確保」を徹底した上で、さらなる目標として「美味探究」という取り組みを掲げている。「美味しい食品を提供する」という目標は、品質管理部門の取り組みだけでは実現できない。もちろん、製造部門だけ、商品開発部門だけでも実現できない。品質管理・製造・商品開発などの各セクションが、一つのチームとなって連携し合うことで、初めて実現に向かうものである。チーム一丸となって「美味探究」という取り組みを行い、製造現場で行うSQF2000のCQP管理につなげていくことが重要である。
表示の管理も、品質管理部の重要な業務である。最終製品にどのような表示をするかは、原材料の仕様書に基づいて品質管理部が決定する。また、入荷された原材料の仕様書と、実際の入荷品が一致しているかどうかの確認も管理している。
教育では「現状をわかりやすく伝える」ということが大切で、単に「ローラー掛けができていません」というよりも、「ローラー掛けの後のエアシャワーでこれだけの毛髪が取れています」といったように「できていない度合い」を「見える化」する方が、説得力は増すようだ。
今後は、もっと“ブランド化”の取り組みを強化し、我々の「美味探究」という考えを、より多くの消費者に知っていただきたい。そして、より多くの方に「フードサプライジャスコの商品を買いたいから、今日はイオンで買い物をしよう」と思ってもらえるようにしたい。そのような「ブランド化」や「差別化」を図っていく上で重視すべきは、やはり「美味しさ」だろう。「美味しい食品」を提供する上で、SQF2000というツールは大いに役に立っている。これからも妥協することなく「美味しさ」を探し求めていきたい。」と語る。
|