月刊HACCP シリーズ伸びる企業の安全確保・品質管理

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2010年12月号

◎岩村養鶏株式会社(新潟県)
採卵鶏孵化場で全国初ISO22000認証取得
農場HACCPを基本に「食品安全」に焦点

「安全で健康な雛づくり」をモットーに鶏卵用雛を生産する岩村養鶏株式会社(新潟県新発田市住吉町2−6−23)の生産部門会社である有限会社岩村ポートリー(同所在地)は2010年9月30日、ISO22000:2005を認証取得した。審査機関は日本検査キューエイ株式会社(略称JICQA、東京都中央区新富)。登録範囲は、生食用殻付き卵生産用初生雛の生産である。

岩村忠衛社長は「ヒヨコ屋は養鶏家がいて成り立つもの。単に下請けだと考えたら間違ったことになる。昔と違い、育種のほとんどが外国に頼っている現状で、ヒヨコ屋に求められる役割も変わってきた。ロットを大きくして、生産者に合ったものを良い状態で届ける。そのことでお客様も規模が大きくなる。鶏卵は、昔の農家が全農に納めて市場が価格を決めていた時代から、集約化が進み、また生産から流通までのインテグレーション化、6次産業化が進むことで、相対取引が中心になってきた。特に近年は小売からの品質保証要求が急速に高まり、大手バイヤーがフードチェーンの川上へ、川上へと要求を求めるようになってきた。卵を生で食べる文化を持つ日本で、採卵鶏農場にサルモネラの心配のない雛を供給するのはヒヨコ屋の責任」と語る。自社でやっているというだけでなく、第三者の審査を受けることで「責任」を対外的にも見える化できたという。

ISO22000に取り組んだのは2009年9月からだが、それまでも種鶏・孵卵・育成の各部門で農場HACCPの構築を進めていた。それまで構築していたシステムをISO22000の要求事項に沿って見直すことで非常に短期間の構築が実現できた。「もともとは農林水産省が2009年に公表した農場HACCP認証基準による第三者認証を目指していた。しかし、認証がいつスタートするのか見えず、社内でも目標が立てられないのでISO22000に切り替える決断をした」(岩村忠輔常務)という。構築を進めてみると農場HACCPとISO22000には温度差があって、ISO22000は「食品安全」のみを取り扱う。農場HACCPは「家畜の健康」が入ってくる。そのため農場HACCPからISO22000に移行するに当たってCCPは4個から1個に、OPRPは13個から4個に減り、非常にシンプルになったという。

審査を受けて「要求事項の理解度がまだ薄かったことに気づいた」(佐藤昭夫孵卵部長)という。荒川孵卵場からアウトソースしている加治孵化場について、OPRPのコントロール手段が同じではなかった。加治孵化場でのハザード分析からやり直した。また検証プランがあいまいだと指摘された。OPRP、CCPの検証と、プランそのものの見直しと、頻度まで含めてプロセスが明確になっていなかった。経営者が登録範囲に入っているにもかかわらずシステム全体の検証からはずれていた。

「審査を受けることで要求事項について思い込みとか理解が足りない部分を指摘していただいたのは非常にありがたかった。厳しい審査で、怖いというのが率直な感想だったが、社員たちも何かあったらと気を抜けないことで、自ら改善する意識作りができた。またシステムというのは自分たちで決めたことを守ることなので、不必要に決め事を作らず、安全に集中することで円滑にまわせるということも学んだ」と佐藤部長は語る。

今後の取り組みについて岩村忠輔常務は「種鶏場や育成場でISO22000に取り組むかは未定。孵化場は原料受入れから製品出荷までのオペレーションが一連のフローになっていて、まだ食品の工程と近い部分があるが、農場段階では各ステージでの期間も長く、コントロール手段も日常作業が中心で一連の工程で管理する考え方になじまない部分があり、現在自主的に取り組んでいる農場HACCPとどちらが適しているのかは今後の対応。しかしフードチェーンの最も上流に位置する企業だからこそ責任は大きい。卵の生食文化を守る業種として、5年後にも事業を継続していたいと思うならHACCPは不可欠」と説明した。


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2010年11月号

◎バイテク情報普及会(東京都)
組換え作物の雑草防除や害虫抵抗性を説明
〜GM大豆やトウモロコシなどのほ場見学会開かれる〜

バイテク情報普及会(事務局所在地・東京都港区海岸1-2-20汐留ビルディング3階)は8月5日、「第4回つくばバイテクツアー〜国内における遺伝子組換え作物研究最前線〜」を開催し、害虫抵抗性および除草剤耐性トウモロコシ、除草剤耐性大豆などの遺伝子組換え(GM)作物を栽培している(独)農業生物資源研究所の展示ほ場の見学とともに、非遺伝子組換え作物との違いなどについて研究担当者による情報提供が行われた。このツアーは、実際の遺伝子組換え作物を多くの人たちに見てもらうことで、雑草防除や害虫抵抗性の効果を確認してもらうことを目的に行われている。

バイテク情報普及会は、2001年に設立された「遺伝子組換えなどのバイオテクノロジーに関する事実に基づく情報および科学的な情報」を提供・発信している任意団体で、シンジェンタジャパン(株)、ダウ・ケミカル日本(株)、デュポン(株)、日本モンサント(株)、バイエル・クロップサイエンス(株)、BASFジャパン(株)といったバイテク関連企業が会員となっている。

遺伝子組換え作物を栽培している農業生物資源研究所の展示ほ場では、遺伝子組換え作物として世界的に最も広く栽培されている除草剤耐性大豆と害虫抵抗性および除草剤耐性トウモロコシが2005年から栽培されており、実際の遺伝子組換え作物を多くの人たちに見てもらうことで、雑草防除や害虫抵抗性の効果を確認してもらったり、市民参加型展示ほ場も設け、非組換え大豆ほ場における除草作業体験を通じ、参加者と遺伝子組換え技術を含む農業技術について考え、意見を交換する機会を提供している。 

展示ほ場での栽培に当たっては、農林水産省の拡散防止措置に従い、「除草剤耐性大豆」では研究所内で試験栽培されている最も近い大豆から10m以上隔離し、研究所から最も近い農家の畑(栽培作物は不明)まで約550m離れている。開花期の低温や台風など、特段の強風が想定される場合には、防風ネットなどで抑風している。また、非組換えトウモロコシでは通常の栽培のようにそのまま残しておく雄花も、害虫抵抗性・除草剤耐性トウモロコシについては最初から除去してしまう(そばのトウモロコシから花粉が飛んでくるので結実する)。ほ場で栽培されている大豆やトウモロコシはもちろん、生物多様性影響評価を終え、食品安全性および飼料安全性についても確認されているが、交雑の可能性などが指摘され、風評被害が出ることを未然に防ぐため、周囲の農家から十分な距離をとると同時に、雄花を除去している。さらに、農業生物資源研究所に程近いところにある作物研究所のほ場では、「高トリプトファン含有イネ」が栽培されており、その見学も行われた。

遺伝子組換え技術は、医療、工業など、さまざまな分野でその利用が期待されているが、現在でも世界で10億人以上の人々が栄養不足や飢餓状態にある。今後、ますます深刻化すると予測されることから、今回の見学会で訪れたほ場でも栽培されていた害虫や除草剤に抵抗性を持った作物の他、食糧問題の解決に向けた乾燥や塩害など不良環境でも栽培できる作物、環境の保全や修復に役立つ汚染物質を吸収する植物などの開発が進められている。 一方で、遺伝子組換え技術によって作出された作物が利用されることについては、(1)遺伝子組換え作物が有害物質を産生し、他の生物に影響を与えることはないか、(2)遺伝子組換えにより、元の農作物よりも繁殖力が強まったり、雑草化しやすくならないか、(3)遺伝子組換え作物で自生したものが、同種の植物と交雑し、生物多様性に影響することはないか、(4)害虫抵抗性の遺伝子組換え作物を栽培し続けると、抵抗力の強い害虫が発生しないか――といった生物多様性への影響に対する懸念の声もある。さらに、食品として摂取した場合の人体への影響として、(1)遺伝子組換え食品がアレルギーを引き起こさないか、(2)遺伝子組換え食品を食べ続けても大丈夫か、子や孫の代で影響はないのか、(3)害虫が死んでしまうような遺伝子組換え作物はヒトに対して影響はないか、(4)遺伝子組換え作物を含んだ飼料を与えられた動物の肉や乳、卵を食べても健康に影響はないか――などの懸念の声も聞かれる。

このため、日本では遺伝子組換え作物ごとに、その用途に応じて生物多様性への影響や、食品や飼料としての安全性について、最新の科学的知見により評価を行い、安全性が確認されたもののみの使用を認める仕組みを導入している。また、カルタヘナ法(遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(平成15年法律第97号))に基づき、生物多様性影響が生ずる恐れがない作物だけが、環境大臣と農林水産大臣によって承認される仕組みになっている。。


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2010年10月号

◎大興産業株式会社(岡山県)
「農協ひとすじ」「酢ひとすじ」92年――
「エーコープの酢」の原材料は国産米100%!
〜創業90周年を機にISO22000挑戦を決意、社員の意識改革を推進〜

全農ブランドの「エーコープ」で販売される酢および関連調味料の製造を主業務とする大興産業株式会社(岡山県井原市西江原町1858‐3)は、2010年7月26日にISO22000認証を取得した。審査登録機関は(財)日本規格協会(本部・東京都港区赤坂4‐1‐24 )、登録範囲は「らっきょう酢、漬けもの酢、味つけ酢、穀物酢、ノンオイルドレッシング(和風ごま)の開発、製造」。同社は、消費者の安心・安全に対する要望や社員の衛生意識の向上などを目的に、2年前の創業90周年記念の年からISO22000の認証取得に向けて取り組み始めた。

同社の猪原實代表取締役専務は「エーコープで取り扱う食品には、『国産の原材料を使用する』『できるだけ添加物は使用しない』といったこだわりがある。最近の食糧事情を考慮に入れると、原材料として100%国産米を使うのは、価格面などで難しいが(実際問題として、一昨年に事故米の流通が問題になった時には大きな影響を受けた)、お客様に『おいしい』と喜んでいただける品質の商品を提供することを最優先に考えている」と語る。

ISO22000に取り組んだきっかけについて、猪原氏は「当時、食品偽装などが相次いで起きていたが、そもそも食品企業が(消費者から)疑いの目で見られるということはあってはならない。そのため、品質管理や衛生管理の強化には取り組んでいた。当初はHACCPの導入を考えていた。実際にHACCPの講習会などにも参加し、『当社でもできそうだ』と考えていた。しかし、次第に、社会からの信頼を得るためには、単に『当社では衛生管理を徹底しています』と説明するだけでなく、何らかの肩書き(認証)が必要なのではないか――と考えるようになってきた。肩書きがあっても、それで売上げが伸びるわけではないが、(認証を取得することが)社員の意識改革につながり、かつお客様に対して『衛生管理に対して見識がある社員が作った商品です』と言えるのであれば、取り組む意義もあるだろう――と考え、創業90周年記念事業の一環としてスタートした」と振り返る。構築時に苦労した点として、製品開発管理部の筒井有三課長は「すでにJAS認証を取得するなど、品質管理に対する取り組みは行っていた。また、HACCPに取り組むつもりで勉強会なども行っていたので、社員の意識は高いレベルにあったと思う。ただ、それをISO22000という規格に基づいて整理・構築する時に、『何から手をつければよいのかわからない』『具体的にどのように進めればよいのかわからない』と悩むことはあった。しかし、実質1年半ほどで認証取得ができた。今はISO22000を取得したばかりだが、何年か経った時に効果的に活用できているよう、しっかりと運用していきたい」と説明する。

大興産業では社員の教育・訓練にも力を注いでいる。猪原氏は、ISO審査の経営者面談で、ISO22000に取り組む理由を質問された時、「社員の意識改革をしたいから」「社員の“人間づくり”をしたいから」という点を強調した。次なる課題の一つは、米のトレーサビリティへの対応。説明会などに参加したり、関係者に問い合わせたりしているが、具体的にどう対応すればよいか、現段階ではまだまだ不透明な部分が多いようだ。 また、最近は、一時期に比べてエーコープの店舗が減ってきており、代わりにネット販売や共同購入での注文が増えている。店舗販売の関係者からは「ショーケースで埃を被ることがあるからガラスビンがいい」という要望がある一方、宅配を利用する関係者からは「ペットボトルの方が配送しやすい」といったように、容器に関する要望も寄せられていることから、現在はガラス規格のみの商品についても検討中である。最近では、会社の次世代を考え、製造ラインの機械化・自動化・省力化を積極的に進めている点も見逃せない。猪原氏は「機械化できる工程は、すべて機械化したいと考えている。醸造関係者の中には『昔ながらの甕(カメ)で熟成させなければ、おいしい酢はできない』と主張する人もいるが、製法がきちんとしていて、同じ品質のものができるのであれば、機械化や省力化を進めなければならない時代になってきると思う」と語る。

創業当時からの理念を頑固に守り続ける傍らで、新時代の到来を見据えた対応も着実に進めている。大興産業は、自らが信じる「独自の道」を、今日も歩き続けている。


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2010年9月号

◎株式会社イシイ(徳島県)
ISO9001および強固な防疫体制をベースに
初生雛生産・種卵生産の分野でISO22000認証取得

「環境保全と動物福祉を考え、関係する人と動物の生活をより良くする」という企業理念を掲げる株式会社イシイ(徳島県徳島市国府町矢野485、竹内正博社長)は2010年3月25日、6カ所の孵化場(東北支店、関東支店、徳島支店、九州支店、鹿児島支店、川辺工場)および1農場(陰谷農場)において、国際的な食品安全マネジメント規格であるISO22000の認証を取得した。審査登録機関は株式会社日本環境認証機構(通称「JACO」、東京都港区赤坂)である。

同社の主業務は(1)食品(原種鶏飼育、種鶏飼育、ブロイラー飼育、孵卵場)、(2)人畜共通感染症予防(人用インフルエンザワクチン製造用育成鶏卵生産)および(3)動物福祉改善(オーガニックペットフード販売、ワクチン卵内接種機リース、システム鶏舎・器具機材販売)が3本柱となっている。

保有種鶏は、ブロイラーが約4800万羽(大部分はチャンキーで、一部コッブとハバードも保有している)、国産種鶏の「はりま」が約170万羽、「たつの」が約300万羽。初生雛の販売・流通網については、北は岩手から南は鹿児島まで全国規模で整備されている。

ISO22000認証取得の登録範囲は、株式会社イシイの雛事業本部・種鶏孵卵営業事業部および国産原種事業部、経営品質保証室における支店、工場、農場の生産業務統括」、全国6カ所の孵化場(東北支店、関東支店、徳島支店、九州支店、鹿児島支店、川辺工場)における「初生雛の生産」と、ワクチン接種卵を生産している陰谷農場(徳島県)における「種卵の生産」である。孵卵場におけるISO22000認証取得は、全国的に見ても先進的な事例である。

ISO22000の認証取得に取り組んだきっかけについて、同社の竹内社長は次のように述べる。「食鳥業界が食品安全を確保するためにHACCPを導入することは、米国ではすでに国策として推進されてきた。カナダでは、ほとんどの種鶏・孵卵場がHACCPを導入している。欧州でも、食鳥業界ではHACCPやISO22000を導入するための勉強会などが行われている。そうした状況を知ることで、『日本の種鶏・孵卵業界もHACCPやISO22000に取り組む必要があるのではないか?』と考えるようになり、2005年に社内で『イシイもISO22000の認証を取得する!』と宣言した。その後、ドイツやカナダなど海外でHACCPやISO22000の研修を受けるなど、認証取得のための勉強を始めた。具体的に認証取得に向けた取り組みを始めたのは2008年の終わり頃から。まずは全国6カ所の孵化場で取り組むことにした。孵卵場の施設・設備に老朽化が見られるようになり、補修や更新、改築などの必要性を感じていた時期だったので、ISO22000に取り組むにはちょうど良いタイミングでもあった。ただし、新しい設備や機械を導入したわけではないので、『ISO22000のために膨大な投資をした』という印象は持っていない。施設・設備のためのコストよりも、むしろ従業員教育などにコストをかけていると思う。」

また「諸外国の中には、サルモネラ対策の手段としてISO22000が効果的なのではないかと考えている国もあるようだ。日本でも、(社)日本食鳥協会が農林水産省事業の一環として、農場や食鳥処理場でのISO22000導入を推進する動きがある。この事業は今年で4年目を迎えている。今後も事業として継続されるかどうかはわからないが、将来的には日本の食鳥業界でもISO22000は普及していくと思うので、できれば継続してほしい。安全な食鳥肉を消費者に提供するためには、食鳥処理場、ブロイラー農場、飼料メーカー、孵卵場など、フードチェーン全体を通じてHACCPやISO22000に対する理解や認識が広がる必要がある。しかし、実際のところは、多くの関係者は『(ISO22000に対する)関心はあるが、いざ認証取得しようとすると腰が引けてしまう』という状況があるように思われる。確かに認証を取得するにはコストも必要なので、腰が引ける気持ちもわかるが、私は(認証取得に必要なコストよりも)認証取得によって得られるメリットの方がはるかに大きいと感じている。今後、ISO22000に取り組む関係者が増えてくれば良いと思う。」とも語る。

今後の取り組みについて、竹内社長は「ブロイラー農場なども含めた全農場でのISO22000認証取得を視野に入れている。農場で認証取得ができれば、もしかしたら孵卵場での認証取得よりも値打ちが出るかもしれない。ただし、農場は防疫上の問題があるので、入場できる人が限られている。農場で作業する現場の人だけで認証取得の準備をしなければならないので、実際にはなかなか大変な作業になるだろう。当社の場合は、パソコンを使ったテレビ会議のシステムなども整備できている。こうしたインターネットなどの新しい技術を効果的に活用することで、農場でも効率的に(ISO22000の)構築ができれば良いと思う。農場は集約化・大型化が進んでいるので、(農場が分散している状況よりは)システムは構築しやすいのではないだろうか」と説明する。


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2010年8月号

◎株式会社ワークスソリューションズ(東京都)
食品安全マネジメントシステム構築における現場の課題
〜短期間・低コストで最適化のHACCP・ISO22000構築を支援〜
[日本HACCPトレーニングセンター主催 第15回「HACCPフォローアップセミナー」より]

システムコンサルティング、システム構築およびシステム開発・保守・運用などを主業務とする株式会社ワークスソリューションズ(東京都港区虎ノ門2−8−10虎ノ門15森ビル、五十木正代表取締役社長)は、食品関連では下記のような事業を展開している。 (1)食品安全マネジメントシステム構築支援ツール《CCPro》(Critical Control Producer 〜Food Safety Advanced Management System〜)の提供 (2)各種構築支援コンサルティングの実施 ・前提条件プログラム・HACCP・ISO22000・ISO22005(トレーサビリティ)など (3)訪問型HACCPなどの無料講習会の実施 (4)農林水産省補助事業「食品産業HACCP等普及促進事業」への協力(事業実施主体である日本HACCPトレーニングセンターとの連携にて展開)・「低コスト導入モデル構築コンサルティング」の実施・食品工場品質管理責任者向けセミナー「ビジネス戦略としての食品安全体制」の実施(2009年度は全国8拠点で実施)特に(2)については、「短期間」「低コスト」「最適化」をモットーに、従業員数5人の零細企業から1000人超の大規模な食品企業まで、ISO22000認証取得支援の実績がある。(4)については、2009年度は農林水産省の補助事業である「食品産業HACCP等普及促進事業」の事業実施主体である日本HACCPトレーニングセンターと連携して、「低コスト導入モデル」の構築などに関わった。

本稿では、A社での取り組みについて概観を紹介する。A社は、某県において代表的な食品である「ちくわ」の 製造・販売を主業務とする“超人気店”で、1年中「繁忙期」に近い状態で操業している。製品は「無添加」など「安心・安全」へのこだわりが強く、製品群は80種類に上る。現在の従業員数はパートを含め30人。2009年10月からISO22000の認証取得に向けた取り組みを開始し、翌年4月に認証取得に至った。株式会社ワークスソリューションズは「HACCPやISO22000で大事なことは、『ハード(施設・設備)』ではなく『ソフト』です」と強調した。A社の社長さんが全社に「ISO22000に取り組もう」と号令をかけ、常務さんや部長さんを集めて“急造”の食品安全チームを編成。包装部の部長さんを品質管理部の部長に任命した。部長さん1人だけの品質管理部ではあったが、微生物の検査キットを購入し、自主検査が実施できる体制を整えた。またA社の場合は「専任者を置く余裕がない」という現実的な問題もあった。そのため、当社のFSMS構築支援ツール《CCPro》の購入を検討していただいた。このシステムでは、文書作成のためのサンプルなどが利用できるので、文書作成に費やす手間の軽減や作業の効率化、マネジメント手法の定着などに役立った。

HACCPシステムの導入に関しては、80製品に対応しなければならないことから、「リテールHACCP」を採用した。しかし、実際にFSMSを構築するには、「1年中が繁忙期のような状態」なので、製造スケジュールが立て込んでいた。年間のスケジュールを確認してみると、「年末・年始の需要期から5月の大型連休の繁忙期の間に取り組むしかない」という状況があった。「年末年始の需要期が明けてから、ISO22000にキックオフし、5月の大型連休の需要期が来るまでに一気に進めるしかない」と判断した。2009年12月中旬までは、経営者および食品安全チーム責任者によるフレームワーク作りを行った。1月に入ると、キックオフを実施し、その日から現場での業務改革と記録作業を開始し、3月の1次審査、4月の2次審査に向けて構築を進めた。取り決めた「経営改革」「業務改革」の内容に沿って、一気に業務革新―食品衛生7Sの徹底、働き方・記録簿など「業務ルール」の改革など―を推し進めた。

衛生管理や製造管理の環境作りは、長期間をかけて、さまざまなルールを少しずつ変えて改善につなげるケースが一般的である。ISO22000に対する取り組みは、食品企業にとっては経営改革そのものであり、「改革である」という認識の下、短期間で一気に構築することで「従業者の意識改革』に直結させ、「最適なマネジメントシステムの構築」につなげることができる。 品質管理部門については、「まずは簡易検査くらいはできるようにしたい」というレベルからスタートしたが、検査資材のメーカーなどにご指導いただくことで、毎日の製品検査(ランダムサンプリング)や3カ月ごとの落下菌検査などを実施するようになった。

HACCPについては、リテールHACCPを活用して、約80製品を4品群にわけることで対応した。4品群にすることで、文書化などの作業も効率よく行うことができた。衛生教育については、日々の教育によって定着を進めてきた。文書化やマネジメントシステムの構築については、非常に短期間で終えることができた。朝礼などによる日次の情報連携、掲示板による情報の周知・教育、食品安全会議(1カ月分の業務と情報の確認・検証活動結果の分析、部門間を含む情報連携などの実施)、内部監査、マネジメントレビュー(内部監査・FSMS会議の結果をベースにして、トップマネジメントに情報を連携し、大きな改善につなげている)などに取り組むことで、FSMSの継続的改善に取り組んでいる。


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2010年7月号

◎株式会社早和果樹園(和歌山県)
県の衛生管理施設認証を取得 安全・安心・高品質のみかん加工品を提供
〜衛生管理重視の新工場竣工、地域ブランドのさらなる強化目指す〜

みかんの生産・共同撰果・農産加工・出荷販売などを主業務とする株式会社早和果樹園(秋竹新吾社長、和歌山県有田市宮原町東349−2)は本年3月、果実ジュースの製造施設(平成16年より稼働)において、和歌山県が展開する食品衛生管理認定制度(参考資料参照)の「区分1」認証(一般的衛生管理を対象とした認証)を取得するなど、安全・安心のみかんおよびみかん加工品の提供に努めている。現在は、「区分2」認証(HACCPを対象とした認証)を目指しているところである。また、本年より衛生管理を考慮に入れた新工場を竣工しており、その工場でも認証取得を視野に入れている。

みかん農家であった早和果樹園が、加工事業として初めて開発したジュース「味一しぼり」(平成16年に商標登録)は、年間生産量の数%程度しか得られない有田の高級みかん「味一みかん」を、720mlビン1本につき約30個も搾り込んだ逸品である。平成18年に商標登録された数量限定販売「てまりみかん」も人気商品の一つ。小粒の有田みかんを甘さ控え目のシロップで漬け込み、まるごとビン詰めした商品である。以前は、サイズが小さな小粒のみかんは流通販路に乗せることができない時代もあったが、「サイズが小さいだけで、味は非常に素晴らしい。何とか付加価値を付けて販売する方法はないか?」と考えた末に、みかんをまるごとビン詰めする商品を考案し商品化した。平成20年に誕生した「黄金ジャム」は、有田みかんと黄金柑が一体となったプレミアム感あふれるジャムで、甘さ控え目の糖度40度に仕上げられている。黄金柑は、香りが豊かな珍しい春柑橘で、それを酸味が少し強い時期に収穫することによって、ジャムに香りと酸味を加えている。また、本年から、新商品として、みかんポン酢「みかポン」が登場した。みかん100%果汁をベースに、柚、橙、そして黄金柑果汁をブレンドすることで、柔らかくフルーティな味わいを醸し出す仕上がりとなっており、試飲販売会などの場でも好評を博している。

早和果樹園の加工事業では、ジュースやジャム、ジュレなど、さまざまなアイテムを取り扱っている。加工施設は本年3月、和歌山県の食品衛生管理認定制度(区分1)の認証を取得した。秋竹新吾社長は「今回の認証範囲は清涼飲料(ジュース)の分野だが、できればジャムなどの加工品についても認証対象にしたいので、現在、『缶詰または瓶詰食品』の分野での認証取得に向けて準備を進めているところである。また、今回は『区分1』(一般的衛生管理)の認証を取得したが、年内には『区分2』(HACCP)の認証を取得したいと考えている。当社が最も重要視しているのは『衛生管理』である。今年から稼働を開始する新工場でも、しっかりとした衛生管理ができるように配慮した設計になっている」と説明する。

「かつては『衛生管理の仕組みを構築することで、作業効率などが低下するのではないか?』といった危惧も持っていた。しかし、コンサルタントの中野秀晃さん(有限会社バンテージ代表取締役)から、『まずは自分たちが実際に行っている作業をそのままマニュアル化して、その上でしっかりとした衛生管理ができるように見直していけば良い。大切なことは、自分たちの施設に合った仕組みを構築することである』など、さまざまなことを教えていただいた。一般に、『新しい仕組みを取り入れようとすると、ベテラン社員などが一時的に抵抗感を示すことがある』といった悩みも聞いたこともあるが、当社の場合はそのようなストレスを感じることはなかった」(秋竹社長)。

和歌山県農林水産部農林水産政策局農林水産総務課では「わがまち元気プロジェクト・新農林水産業戦略プロジェクト」を推進しており、和歌山県のブランド食材の積極的なPR活動を展開している。早和果樹園もこのプロジェクトに参画しており、「有田みかん・早和ブランドの生産拡大と加工・販売促進」に挑んでいる。

和歌山県としては、国内(大阪や和歌山など)で商談会開催するだけでなく、アジアや欧米で開催される大規模見本市に県産食材をPRできるブースを出展するなど、県内企業の海外展開の支援に取り組んでいる。千葉県の幕張メッセで開催されている「フーデックス」にも3年連続で出展しており、早和果樹園は高級ホテルや海外レストランの関係者らと商談の場を持つことができた。こうした商機を効果的に活かすことで、10年前(会社設立当初)は約50社だった取引先は、現在は約250社まで増加した。

同社の秋竹総務部長は「最近は、衛生管理に関する要求レベルは年々高まっている。今後も衛生管理には、しっかりと取り組んでいかなければならない。和歌山県の食品衛生管理認定制度の認証取得したところ、すぐに大手量販店の関係者が視察に来られた。衛生管理の取り組みは、今後の売上の増加などにもつながっていくものと期待している」と語っている。


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2010年6月号

◎南紀梅干株式会社(和歌山県)
紀州が誇る名産品「梅干」で県版HACCP・SGS‐HACCP認証取得
〜農商工連携で新ブランド「紀州うめどり」「紀州うめたまご」の開発にも挑戦〜

梅干の製造販売を主業務とする南紀梅干株式会社(本社・和歌山県日高郡みなべ町晩稲1225−5)の歴史は、昭和3年(1928年)に細川興蔵氏が紀州梅干製造業を開始したところから始まる。同社は、平成17年12月に和歌山県環境生活部県民局食品・生活衛生課(和歌山市小松原通1−1)が展開する「衛生管理推進施設」の認定を取得、および同20年には同県の「HACCP導入衛生管理施設」の認定を取得した。さらに、同22年3月にはSGS−HACCPの認証を取得した(審査登録機関はSGSジャパン株式会社)。

同社では、地元農家から梅干(漬け込み、土用干し、樽詰めなどが行われた状態の梅干)を仕入れ、洗浄、調味漬け込み、パック詰め、梱包、出荷、検査などの作業を行っている。主力商品は、A級の完熟南高梅を独自の製法で加工したほんのり甘口の「味ぴったり」、蜂蜜を加えて漬け込んだ「蜜宝梅」、しそ風味の「香実」、しそとかつお節の「紀州かつお梅」など。中でも人気商品の「味ぴったり」は、農林水産省の平成21年度事業「WASHOKU−Try Japan's Good Food」において「世界が認める輸出有望加工食品40選」に選ばれたり、和歌山県が選定する「和歌山県優良県産品(プレミア和歌山)」に選ばれるなど、高い評価を得ている。

南紀梅干では、衛生管理推進施設認定およびHACCP導入衛生管理施設認定を取得する際に、県の基準で必要な管理よりも高いレベルで、衛生管理の仕組みを構築していた。また、HACCPの前提条件となる前提条件プログラム(Prerequisite Program)については、Codex委員会の規格文書「食品衛生の一般的原則(Recommended international code of practice general principles of food hygiene, CAC/PRP 1-1969, Rev. 4, 2003)に基づいて構築していた。イトーヨーカドーやセブンイレブンなどと取引があることから、原材料段階まで遡ることができるトレーサビリティの仕組みも十分に構築されていた(例えば、農家における農薬の使用状況などの栽培履歴が確認できるような体制は、すでに整えられていた)。そのため、SGS−HACCPの認証取得の取り組みは、比較的スムーズに進めることができた。

製造部品質管理課の守田課長は「自分たちがどのような基準や手段で安全性を確保しているのかを、論理的に説明できるようになった。また、相手がどのような意図で質問しているのかもわかるようになったので、体系立った論理的な回答ができるようにもなった。適切な説明や回答ができれば、それだけ相手からの信頼度も増すことになる。我々が取り扱う商品(梅干や漬物など)は、殺菌加熱のような工程がないので、商品の安全性を論理的に説明することが難しい。HACCPに取り組んで、安全性を理論的に証明する作業(妥当性確認)の重要性も理解できた。実際にHACCPシステムを運用する中で、CCP(Critical Control Point)などに対する意識は非常に高くなった。今後の課題としては、末端従業員も含めた全社的な衛生意識の浸透をさらに高めていく必要があると考えている」と説明する。

また、細川社長は「県のHACCP認定やSGS−HACCP認証を取得していること、『世界が認める輸出有望加工食品40選(農林水産省)』や『和歌山県優良県産品(プレミア和歌山)』などに選ばれていることなどは、従業員の励みになるだろう。近年、日本独自の伝統食品は海外でも注目されている。当社の商品はすでに海外約40カ国に輸出されているが、これからは『SGS−HACCP認証企業』と謳うことができる。これまで以上に国内および海外の流通関係者や消費者から信頼してもらえるようになるのではないか」と語る。

また、「梅干は『健康食』としての側面も持っている。梅干の機能性に関する研究も進んでおり、例えば『50歳以上の人を対象に実施した調査で、梅干を食べている人と食べていない人では、胃壁の老化の度合いに大きな差が見られた』というような報告もある。梅干を食べることは、健康に良い効果をもたらしてくれるだろう。梅干の消費量は40歳以上の人が多いそうだ。年を重ねると、食の嗜好が変化してくるためもしれないが、小さい頃からご飯と梅干を食べることを習慣にしても良いのではないだろうか。米を中心とした食生活になれば、食料自給率も上がるし、梅干の消費量も伸びるものと期待したい」とも語った。

昔から和歌山のとある地方では、夏場に弱った鶏に、梅干を作った時にできる梅酢を飲ませる風習があった。そこで、和歌山県、梅干業者、養鶏業者および関連業者が集まって、「紀州うめどり・うめたまごブランド化推進協議会」が発足した。和歌山県養鶏研究所で研究が重ねられた結果、紀州の梅酢を混ぜた飼料で育てられた鶏は、肝脂肪などの内臓脂肪が減少したり、病気に対する抵抗力が高まるなどの効果が見られることがわかった。こうして、紀州の新しいブランド「紀州うめどり」「紀州うめたまご」が誕生した。

紀州うめどりは、平成20年4月に開催された「食肉産業展」の「地鶏・銘柄鶏食味コンテスト」で最優秀賞を受賞するなど、和歌山県の新しいブランドとして認知度を高めている。 なお、紀州うめどり・うめたまごの事例は、異業種交流や農商工連携の成功事例として、経済産業省の「地域を活性化する農商工連携ベストプラクティス30」に選ばれている。


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2010年5月号

◎飛騨ミート農業協同組合連合会(岐阜県)
銘柄牛「飛騨牛」、タイに向け輸出第一便出発
ブランド促進目指し、いよいよ海外進出

飛騨ミート農業協同組合連合会(JA飛騨ミート・岐阜県高山市八日町327、大池裕代表理事会長)は2月18日、飛騨食肉センターにおいて岐阜県から初輸出となる「飛騨牛」のタイに向けた出発式を開催した。

岐阜県や農業団体などで組織される岐阜県農林水産物輸出促進協議会はこれまで、ブランド化の促進を目指し、東南アジアの富裕層をターゲットにした販売戦略を展開してきた。飛騨食肉センターは、牛肉の対香港輸出食肉施設としての認定も受けるため、岐阜県食肉流通施設整備事業(食肉輸出対応施設整備事業)並びに(財)日本食肉処理生産技術開発センター(環境保全等対応型食肉センターシステム調査モデル事業)による補助事業を活用し、飛騨食肉センターの施設整備を昨年11月に完了させ、現在は香港に加えシンガポールへの輸出認定申請を進めている。香港への輸出は、対米国輸出要綱に出荷される牛の月齢制限などが付加されており、HACCPの構築が義務づけられていることから、この輸出認定の取得によりJA飛騨ミートの衛生レベルは海外にも認められたこととなる。この香港向け輸出に先駆け、1月8日にタイとマカオへの輸出が認可されたため、岐阜県から初輸出となる「飛騨牛」のタイに向けた出発式が2月18日に開催され、3月3日の「日本文化PRイベント」(タイの日本大使公邸にて開催)に出展し、イベントで振る舞われるしゃぶしゃぶやステーキ用として「飛騨牛」のサーロイン約20sがタイに向け輸出された。

1日に牛60頭の処理能力を有する飛騨食肉センターは、平成16年にISO9001認証を取得(審査登録機関:(社)日本能率協会審査登録センター(JMAQA))し、平成17年には岐阜県食品HACCP推進優良施設表彰を受賞、さらに平成19年3月にはISO22000の認証を取得し、職員全員の努力はもとより、生産者から関係機関、消費者までフードチェーン全体で銘柄牛「飛騨牛」のトップブランドとしての地位を築き上げた。また、平成21年2月には(社)中央畜産会主催の平成20年度畜産大賞の地域畜産振興部門で優秀賞を受賞した。

岐阜県では「飛騨・美濃じまん海外戦略プロジェクト」と称して、富裕層が拡大しているタイにおいて観光、食、モノを一体化した「岐阜県ブランディング」を発信することで、海外に向けた農産物や県産品の販路拡大を図り、地域の所得増大や交流人口の拡大を図ることを目的に、昨年11月、県知事をはじめとする関係者がタイに渡りトップセールスを実施。そして本年1月、飛騨食肉センターがタイに向け輸出ができる施設として認定されたことを契機に、同プロジェクトのフォローアップとして、3月3日にタイの在タイ日本国大使公邸で開かれたレセプションに(日本文化PRイベントとして)「飛騨牛」やいちごを出展。PRするとともに、今後の輸出に備えてバンコク市内のレストラン関係者と取引に向けた意見交換を行った。

「飛騨牛」は今回のイベントの目玉として、事前の招待状の中で「High-Grade Beef 『飛騨牛』が登場」とPRされ、小町恭士駐タイ王国特命全権大使は当日のあいさつの中で、「ひな祭りという家族で楽しむ日本文化を紹介しつつ、日本の食文化にも親しんでもらいたい。今回は、私が生まれた岐阜県から『飛騨牛』といちごをお持ちいただいた。飛騨牛は岐阜で生産され、日本国内の牛肉の品評会で2回連続、最優秀賞を受賞した日本の牛肉の中でも最も素晴らしいものの一つである」と「飛騨牛」を紹介すると、会場にはどよめきが起こり、「飛騨牛」が振る舞われると長蛇の列ができ、イベント終了までその列は途切れなかった。

「飛騨牛」を食べた参加者は、「タイでは、豚や鶏をよく食べるが、『飛騨牛』を食べたら、牛肉がこんなに美味しいのかと思った。早く『飛騨牛』が食べられるようにならないかと思う」「この『飛騨牛』を食べたら、もうタイで売られている高級牛肉は食べられない」「今までタイで食べた牛肉とは比べものにならないくらい美味しい」「とても柔らかく、ジューシー。タイで食べる牛肉は大味に思える」「口の中でとろける」など、その味や肉質を非常に高く評価した。「飛騨牛」と合わせて提供されたいちごについても、「大きいのに甘くて、さらに香りが良い。柔らかい食感も良く、タイのいちごより格段に美味しい」、「スーパーでも日本のいちごが売られており食べたこともあるが、ここまで甘いいちごは初めて」と感動していた。

レストラン関係者からは、「これほど味わい深い肉を食べたのは初めて」「見た目も美しく、少しの味付けで楽しめる肉である」「とても美しく、口の中でとろける」と高評価を得るとともに、「日本食の需要が高まっており、和牛の消費量が増えている中、神戸牛や松阪牛はタイにおいてすでに名前が知れわたっている。レストランとしては、これからタイに売り出していくにはまだタイでは名が知られていないが良質のもの、つまりオンリーワンの牛肉を扱いたいと考えている」と流通ルートなど輸出の条件が整えば、今後「飛騨牛」を積極的に使用したいとの意向が示された。


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2010年4月号

◎石岡中央青果株式会社(茨城県)
「生産者」と「買参人」の両方を“顧客”に 
民営の青果市場がISO9001認証を取得
〜「競り人」の意識改革と作業の標準化を実現、より良いサービスの提供を目指す〜

茨城県石岡市に位置する民営の青果市場・石岡中央青果株式会社は昨年12月17日、ISO9001(品質マネジメントシステム)認証を取得した。認証範囲「卸売市場法に基づく卸売りの業務(青果物の委託販売及び卸売り)並びに付帯サービス」。青果市場におけるISO9001の認証取得は、JAB((社)日本適合性認定協会)認定としては初めてのこと(青果市場という業態では全国で2番目)。同社のISO9001における「顧客」は、市場から見て川上に当たる「生産者」と、川下に当たる「買受人(スーパーなど)」。顧客を「生産者」と「買受人」の“2方面”にして、マネジメントシステムを構築している点は、石岡中央青果の取り組みの大きな特徴の一つである。

石岡中央青果株式会社の萩原節夫会長は、ISO認証取得について次のように語る。

「ISO認証取得には、主に3つの理由がありました。(1)『仕事の見える化』を推進したかった。(2)これまでに取り組んできたさまざまな活動を、ISOの規格を活用することで整備したかった。(3)教育効果を追求したかった。特に、最後に挙げた『教育効果の追求』が最も大きな理由でした。

青果市場のサービスの質を向上させるためには『競り人のレベルアップ』が不可欠です。市場の機能には、さまざまな役割(流通の仲介役など)が挙げられますが、本質的な機能の一つとして『品質評価機能』があります。いわゆる“値付け”と呼ばれる作業です。生産者は高く売りたいし、買受人は安く買いたい――青果市場はその狭間で青果物の品質を評価し、適正な価格で取引を行うための、中核的な役割を担っています。また、生鮮物を取り扱うので、難しい面も多々あります。通常の工業品であれば、測定機械の精度などが重要になるのでしょうが、生鮮物を取り扱う青果市場では、競り人が“測定機器の役割”も担っています。そのような面からも、競り人の技術の向上は、青果物の健全な流通に不可欠な要素といえます。

まずは『認証を取得した』ということで、我々の取り組みが世間から評価されました。自分たちの取り組みが認められたということで、多くの社員が喜んでいるようです。もちろん、認証取得で終わりではありません。せっかくISO認証を取得しても、顧客満足度の向上につなげられなければ意味がないので、これからの運用が大事になると考えています。」

同社の持株会社でISO9001の運営にも携わっている株式会社い印の大和田達夫管理部長も、次のように語る。 「『青果市場』は、生産者がいて初めて成立する業種です。そのため、これまでも生産者に軸足を置いた業務運営に努めてきました。一方、買受人については、青果市場におけるISO認証取得の前例を調べてみると、『卸売』や『仲卸』などの事例は多いので、ISOというシステム構築に馴染みがあることがうかがわれます。

顧客要求事項については、『荷主の要求事項』は『有利販売をするための努力、決済(有利販売:相場価格での扱い流通量確保)」、「買参人の要求事項」は「品目、規格、数量、価格、納期』としました。そして、この要求事項を満たすための体制整備を進めました。ただし、『まったく新しい仕組みを構築した』ということではなく、むしろ『既存の仕組みをISO9001の規格要求事項に当てはめて整理した』というイメージです。

また、ISOを構築する過程で、『お客様満足度調査票(荷主用・買参人用)』を作成し、当社のサービスの質を、お客様に数値で評価していただけるようにしました。評価が悪ければ、そこから原因の究明や見直し、改善などを図ることになります。

ISOでは、継続的改善を怠らないことが重要です。『教育なくして成長なし』ということを、強く感じています。審査員の方からは『認証取得してからがISOのスタートである』と伝えられていましたが、確かにその通りだと感じているところです。正直なところ、仕組みの構築に取り組んだ当初は、“箱作り”(仕組み作り)に四苦八苦したことは否めません。しかし、現在は『当社独自のISOシステムが構築できた』と思っているところです『青果市場としてのISOシステムが構築できた』と表現しても良いかもしれません。今後の継続的改善によって、内容をより充実させていきたいと考えているところです。」


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2010年3月号

◎通宝海苔株式会社(熊本県)
海苔製造現場における衛生管理・品質管理の課題と改善
創業50年の海苔メーカーが挑む品質管理と生産性のレベルアップ

通宝海苔株式会社は昭和36年12月に熊本県飽託郡天明町(現・熊本市海路口町)で、加工海苔メーカーとして個人創業、昭和39年12月に会社として設立。現在は、海苔の加工・販売を主業務とする「協業組合セイナンフーズ」の組合員となっている。品質管理室長の津留崎昌治氏は、次のように語る。

「当社は現在、徹底的な品質管理・安全性確保に取り組んでいる。その契機となったのは、今から2年ほど前、出荷した商品に「待ち針」が混入していたことである。当時は、とても「工場内で待ち針が混入するはずがない」と説明できる状況ではなかった。この事件によって、取引先との契約は打ち切られ、膨大なコストをかけて商品回収を行うことになった。そこで、社長自ら『何とかしなければならない』と危機感を持ち、現場の衛生管理の改善に着手することになった(その時、津留崎氏が品質管理室長に任命された)。

海苔は水分を嫌う乾物なので、工場内では拭き掃除などはできるが、洗浄・消毒・殺菌といった水を使う作業はできない。また、空調(空気の流れ)に配慮しなければ、海苔の微粉末が舞ってしまう。衛生管理が難しい食品であるが、どうにかして衛生管理の工場を図らなければならない。そのような考え方から現在もさまざまな改善に取り組んでいるところである。しかしながら、海苔が原因食品となった食品事故(食中毒など)が起きていないこともあり、積極的に衛生管理に取り組んでいる会社は少ないようだ。

衛生管理の改善を進める際には、「PDCAサイクル」(PDCA=Plan−Do−Check−Action)を回すことで継続的改善を怠らないことが重要である。当社では、PDCAサイクルを回すための工夫の一つとして、何か問題点が報告された場合、それに対する改善が行われたかどうかを品質管理室が確認し、その内容や結果を現場に伝えることにしている。この取り組みを2009年9月からスタートしたところ、確実な改善活動が行われるようになってきた。ただし、現在はあくまでも「改善が確実に行われるような環境を整えている段階」であると思っている。PDCAサイクルを回す環境が整い、現場に衛生管理に関するルールが確立され、それが浸透してきた時、ようやく「HACCPに取り組める環境ができた」といえるようになると考えている。

かつては、工場長にクレームが報告されたら、工場長はそれを工場次長に報告し、工場次長はそれを班長に報告していた。報告を受けた班長は、自分で原因を追究し、報告のための文書を作成し、工場次長に報告書を提出していた。しかし、その報告書の内容は反省ばかりで、改善に効果的につなげられるようなものではなかった。そこで、クレームが報告された場合、当該商品を製造した作業班と担当職員が集まり、「クレームミーティング」を実施するようにした。ミーティングでは、クレームの原因と対策について徹底的に話し合い、実行可能な対策を考え、その対策を速やかに実行することにしている(対策の文書化や、チェック表の作成なども不可欠な取り組みである)。この取り組みを始めてから、クレームは確実に減少している。

さらに、クレームミーティングと並行して、私(品質管理室長)も現場に入って原因を探ることにしている。「なぜこのクレームが起きたのか?」ということがわかったら、それをクレームミーティングで伝えるわけだが、この時、心がけているのは、「なぜ、このようなクレームが起きてしまったんだ!」と責めないことである。上司が責めるように話しかけると、現場の人たちは「クレームが出たから、怒られるんじゃないか?」と思ってしまう。和やかな雰囲気の中でディスカッションを進めた方が、現場からは意見が出やすくなるものだ。意見が出やすい環境を作った上で、「私は、現場で○○という環境があったので、××のようなクレームが出てきたと考えているのですが、皆さんはどう思いますか?」と尋ねてみる。皆で考えるようにすることで、従業員の「クレームに対する認識」や「工程に対する認識」も変わってくる。そして、ミーティングが終了したら、私がまとめた報告書を現場の従業員にも読んでもらう。全員が報告書を読んでから、製造作業を始めるようにしたことは、確実にクレームの再発防止に効果があったようだ。加えてクレーム対応の強化の一環として、クレーム対応に関する勉強会も行っている。」


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2010年2月号

◎株式会社ニチレイフレッシュ(東京都)
「おいしさ」「安全」「安心」などキーワードに畜水産品を開発
高品質の生食用えび「サウジアラビア産アラジン魔法のえび」

株式会社ニチレイフレッシュが2009年11月20日、東京・港区のANAインターコンチネンタルホテル東京において「日本の食を考える〜食料自給率と社会との調和について〜」をテーマとした「ニチレイフレッシュこだわりセミナー2009」を開催した際、「こだわり素材の取り組み〜食料自給率と社会との調和〜」をテーマに、資源管理を徹底した「北海道雄武産ほたて」、同社とNPC社が開発したサウジアラビア産「アラジン魔法のえび(生食用)」、食品循環資源を飼料化した「幻霜スペシャルポーク」「エコポーク」、環境に優しい「オメガビーフ」、オーストラリア産「牧草牛」「純和鶏」など、同社のこだわり素材、こだわり加工品の展示と、それらを使ったオリジナルメニューの試食が行われた。

その試食のうち「純和鶏」を使ったメニューとしては、ムネ生ハムのカプレーゼ、ムネ蒸し鶏のホットサンド、モモ肉の鉄板焼き、モモ肉・つみれの白味噌スープ仕立ての4品が紹介され、試食した参加者は従来の地鶏、ブロイラーとはひと味違う、ジューシーで深い旨味とコク、適度な弾力を持った「純和鶏」の特長を実感した様子だった。同社の生産子会社、ニチレイフレッシュファーム洋野農場では、「純和鶏」の鶏ふんを有機肥料に加工、専用飼料の原料となる飼料用米の生産に活用している。平成21年度はJA新いわての協力で、岩手県軽米町とその近郊の稲作農家と契約を結び、約50ヘクタールの水田出飼料用米を生産。水田の多くは米の生産調整によって生まれた休耕田を活用したもので、このプロジェクトによって約35ヘクタールの休耕田が蘇ることになった。循環型の生産サイクルの中から生まれた、飼料用米を給与した「純和鶏」は2010年3月から出荷開始の予定であるという。

また、豚肉を使ったメニューとしては、「エコポーク」(ロース)の厚切りカツサンドと、「幻霜スペシャルポーク」のせいろ蒸し(そば出汁)が紹介された。「幻霜スペシャルポーク」は、地域の食品工場から出るパンの耳などを利用した独自の専用飼料によって生産され、肉全体に広がるきめ細かなサシが最大の特徴である。ニチレイフレッシュでは、おいしさとともに、環境にも配慮した「エコポークプロジェクト」を推進しており、食品廃棄物の減量による環境負荷低減を重視。同社の契約農場では、すでにリサイクル飼料の普及を図る「エコフィード認証」を取得しており、環境に配慮した「エコポーク」の生産を、今後各地に広めていく。さらに、豚肉の国内自給率向上への貢献を目指している。

そして、水産品で特に注目を集めたのが、「サウジアラビア産アラジン魔法のえび」。このえびは、サウジアラビア中西部の紅海海岸線にある広大な養殖池で、塩分濃度の高い紅海の海水のみで育成。塩分の濃度が高い海水で育つため、身が引き締まり、旨味も大変強い。

養殖・生産拠点が砂漠の中にあり、工場排水などによる汚染がない環境で、飼料生産から始まり、先述のFA飼育により抗生物質を一切使わず親えびの養殖から稚えびの生産・養殖を行い、池揚げ、加工(海水から淡水化された水を使用)、徹底した品温管理、温度・時間管理による微生物のコントロールにより、獲れたての鮮度で生食を可能にしたのもこのえびの大きな特徴である。さらに、マングローブ林を保全したまま養殖するなど、「安全・安心」とともに、「環境」にも配慮している。


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2010年1月号

◎小松水産株式会社(茨城県)
ISO22000を効果的に活用し、“日本一の笑顔のしらす屋”を目指す
〜安全・安心を徹底追及し、「地域の小さな水産会社」から世界へ飛躍〜

しらす、ちりめんなどの加工・販売を主業務とする小松水産株式会社(小松伸克社長、茨城県日立市留町1045‐2)は、1994年にしらす干の加工工場を新設、2000年にクリーンルームを新設、2002年にはしらす加工のオートメーションシステムを導入するなど、高いレベルでの衛生管理・品質管理を徹底しており、2007年11月12日にはISO22000認証を取得した(審査登録機関はデット ノルスケ ベリタス)。さらに現在は、茨城県の自治体HACCP認証(いばらきハサップ認証制度)の取得も視野に入れている。同社は、1940年(昭和15年)、みりん干しや煮干しなどを加工する会社として、創業(1977年に小松水産株式会社設立)。現在の主な事業は、(1)しらす、ちりめん関連商品の加工および販売、(2)いかかば、さんまみりん干しなど水産加工品の製造販売、(3)直販店「海の味・こまつ」の店舗展開と運営など。

同社の小松伸克社長は、「ISO22000認証については、2006年9月にキックオフし、2007年11月に取得しました。認証を取得して、すぐに大手コンビニエンスストア(セブン‐イレブン)のベンダーに『ISO22000認証を取得しました』と連絡しました。すると、すぐに商談の場を設けていただき、2008年1月29日には『しらすご飯(久慈浜しらす使用)』の商品化が決まりました。幸いなことに、このお弁当は、セブン‐イレブンの1日の販売数量の記録を樹立するほどのヒット商品となりました(現在、茨城県と栃木県で販売されています)。工場を見に来ていただいた方の多くが、当社の衛生管理の状態について、高く評価をしてくださっています。1年ほど前には、より高い精度で異物を除去するためにCCDカメラを用いた『色彩選別機』を導入しました。以前のマーケットであれば、ここまで厳格な異物除去をしなくても出荷できたかもしれません。しかし、より高いレベルの異物検出ができるシステムにしたことで、新しいマーケットが広がっています。厳しい衛生管理を徹底すれば、その価値を認めてくれるマーケットがどこかにあるはずだと思います。」と語る。

今後の目標について小松社長は、「取引している会社から、当社の品質や衛生管理を高く評価していただく度に、『着実に成長しているな』『ここまで成長してきたんだな』と思うこともあります。しかし、あくまでも目指すは“日本一”です。当面の課題の一つは、異物を完全に除去できる仕組みを構築することです。そのためにもISO22000を効果的に運用することが重要ですが、運用に際して大事なことは、『自分たちの身の丈に合った仕組み』にすることだと思います。大規模の会社でなくても、ソフト面の運用の充実を図ることで、身の丈に合ったISO22000の仕組みを構築し、運用し、維持管理することは可能です。『より良い衛生管理をするためには?』と考えていくと、どうしてもハードの方に目が行ってしまいます。これは仕方がないことです。当社でも、『動線を変えたいけど、すでに固定の設備が置いてある』といった悩みはあります。『どうしてこの設備を、この位置に設置してしまったのだろう』と後悔することもあります。そうした現状を受け入れて、『今の状況下でできる最善の対応策は何か?』と考えることが大切だと思うのです。私は『ISO22000の名に恥じない商品を提供し続ける』と心に決めています。最近は、しらす業界でもISO22000認証取得に取り組む企業が増えていますが、『自分たちが最初に取得した』という誇りは持っていますし、『先駆者として、常に我々が先頭を走るんだ!』という気概も持っています。そうした気持ちを、『日本一の品質』という形で表現していきたいと思います。」とも語る。

また「すでにタイ、米国、中東(ドバイなど)には輸出を行っていますが、今後、このような海外での活動はさらに注力していく予定です。最近の新しい活動として、海外でしらすの獲り方や加工の仕方をアドバイスしたこともあります。2010年には、ドバイで開催される食品の展示会(Gulfood 2010、2月21〜24日開催)に出展する予定です。日本国内の市場だけで考えていると、例えば『今年はしらすの漁獲量が少ないから、生産量も減らさざるを得ない』といった不安定な状況も想定されます。全国から原料魚を集荷できるようになっていますが、海外からの原料魚も視野に入れることで、マーケットは非常に安定します。消費についても、(国内だけでなく)海外にも真剣に目を向けることで『新しいマーケット』が無限に広がってくると確信しています。『マーケットがない』と嘆くのは、マーケットを真剣に探していないからではないでしょうか。生産も消費も、グローバルな展開を考えなければ、“地方の小さな水産会社”で終わってしまうかもしれません。常に“ナンバーワン”を目指すことが、当社が生き残っていくために必要な“道”だと思っています。」と力強く語る。


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