月刊養豚情報  

シリーズ ブランド豚を追う

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2012年12月号

特別グラビア
みて、ふれて、味わって!! 全国各地でお肉の美味しさをPR

秋のイベントシーズン到来――全国各地で食肉の美味しさや畜産に関する情報、県産農畜産物などをPRするべく、さまざまなイベントが催された。グラビアでは、その一部を紹介する。

「ちくさんフードフェア2012」(主催:公益財団法人日本食肉流通センター、日本食肉流通センター卸売事業協同組合、日本食肉流通センター川崎冷蔵事業協同組合、全国食肉事業協同組合連合会、神奈川県食肉事業協同組合連合会)が10月6〜7日の2日間、神奈川県川崎市・日本食肉流通センターの施設と隣接した東扇島中公園で「第39回川崎みなとまつり」と同日開催され、11万2000人が会場に訪れた。

今年のキャッチフレーズは、「にっぽんの元気回復!! 行こう! お肉の宝島!」。首都圏の消費者や食肉卸・小売関係者などを対象に、食肉などの展示、紹介、情報提供、即売を実施することで、食肉に関する施策普及、食肉業界の健全な発展、食肉への理解の促進などを図ることを目的に毎年開催されている。

会場では部分肉センター出店者による食肉などの特売が行われた他、全国味めぐりコーナーや地域物産展コーナー(茨城県・鹿児島県・高山市・仙台市・喜多方市・会津若松市)が設けられ、それぞれが自慢の逸品を販売。またジャパンミートピアコーナーでは食肉の知識についてPRが行われたほか、大学ちくさんフードコーナーとして、全国の農・畜産系大学が出展。麻布大学や北里大学、高知大学、宮崎大学などが参加し、各大学ブランドのPRや食肉・加工品などの展示・販売を行い、中には早々に完売するブースも――。

市価より安く食肉や食肉加工品、特産品が買えるとあって、多くの来場者が両手いっぱいに買い物袋をぶら下げる姿が見られた。

一般社団法人東京食肉市場協会は10月20〜21日の2日間、東京都港区・東京都中央卸売市場食肉市場で「東京食肉市場まつり2012」を開催した。このまつりは、国内産の牛肉・豚肉の消費拡大と市場の存在についての認知・理解など図ることを目的に、市場を年に一度だけ開放して開催されるお肉のフェスティバル――場内に食肉・食肉加工品販売コーナーが設けられ、食べる・買う・楽しむをキーワードに、おいしく楽しみながら食肉の安全性をPRできるイベントで、延べ2万8000人が来場した。

今年は「がんばろう東北、がんばろう山形」を合言葉に、イベント推奨銘柄牛として、やまがたの和牛が登場。肉質がきめ細やかで脂肪交雑も非常に良いという、やまがたの和牛肉のしゃぶしゃぶの無料試食と特別販売が行われた。牛肉以外にも山形県の庄内柿をはじめとした旬の野菜や農産物、特産物の販売も行われ、東日本大震災からの復興に向け、自慢の県産品ならびに観光情報、郷土芸能などを通して山形県のPRを行った。

豚肉関係では、東京食肉市場銘柄豚協会のブースで、恒例となった銘柄豚の豚カツと焼肉を1日2回試食提供。配布時には長い行列ができ、美味しい銘柄豚に舌鼓を打つ消費者らの姿が見られた。

岐阜県最大の農畜産イベントである「第26回岐阜県農業フェスティバル」が10月27〜28日の2日間、岐阜市の岐阜県庁周辺にて開催された。

このイベントは岐阜県の農業の現状と将来方向を広く県民にPRし、一層の消費拡大・農畜産業の活性化を目的としているもので、今年は「知ってもらおう 見つけ出そう 創りだそう ふるさとのじまん」を合言葉に、約300団体・600ブースが出展。養豚関係では、瑞浪市で生産される瑞浪ボーノポークを使用したカレーに長い行列ができたほか、(株)森本工房のブースでは、岐阜市の森岡養豚が生産する飛騨けんとん・美濃けんとんから作られた自慢の手作りソーセージを販売。その他、明宝ハムのブースでは自慢のフランクフルトなどが販売され、それぞれ好評を博した。

また、岐阜県養豚協会のブースでは、毎年恒例の畜産に関するクイズ大会を開催、『豚の蹄の数はいくつか』『豚は生まれてから何カ月で肉になるか』などの問題が出題された。参加者は親子連れの姿が多く見られ、子どもと一緒になって真剣に答えを考え、最後は試食に舌鼓を打った。

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2012年11月号

◎埼玉県/(株)埼玉種畜牧場・サイボクハム
アジア企業初、2年連続で最優秀ゴールド賞受賞

(株)埼玉種畜牧場・サイボクハム(本社・埼玉県日高市、笹ア静雄社長)は10月9日、ドイツ農業協会(DLG)主催の国際食品品質競技会で、高品質な製品を安定して生産する企業に贈られる「最優秀ゴールド賞」を、アジアでは初となる2年連続で受賞。日高市の谷ケ崎照雄市長らも出席して、日高本店で受賞報告の記者会見が行われた。

DLGは、マイスター精神の伝統をバックボーンに、世界最古の歴史と最大規模を誇る権威ある「食品品質競技会」を1887年より毎年開催。プロの目と科学の目による厳しい審査を行い、世界最大にして、最も歴史と権威のあるコンテストで知られている。

アヒム・シュティービングDLG副総裁(国際食品品質競技会審査委員長)は席上で、サイボクハムに対し最優秀ゴールド賞受賞の発表ならびに食品の安心・安全を保証するドイツDLGの事業理念に賛同し、14年にわたる出品と審査員としての努力に対してDLGより笹ア社長に功労賞が授与された。

同日午前中には、日本で初めて開催された日本企業を対象とした食品品質コンテストの審査のために来日した、ドイツDLG食品品質競技会審査員一行9名による視察も行われた。サイボクハム場内にある天然温泉まきばの湯を視察後、トントンハウスにて3匹の子豚と対面。豚の育種から精肉・加工品の製造販売までの説明を受け、本店ミートショップ内のウインナー工場、精肉、加工、ギフトコーナーを見学した。

同日夕方には、都内において表彰式が開催され、シュティービング氏は「安心・安全な商品を作り続けるサイボクハムの長年の努力に敬意を表し、これからもDLGとともに歩んでほしい」と祝福した。

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2012年10月号

◎広島県安佐町/(株)幻霜ファーム
衰えぬ「幻霜スペシャルポーク」への高い市場評価
――大手企業との取引さらに進展、エコフィード拡大も計画


「幻霜スペシャルポーク」の名を全国にとどろかせる(株)幻霜ファーム(本社・広島市安佐北区安佐町、長田誠史社長)。自社農場の拡大とともに、外食店の改築、新規オープン、大手食品企業との取引拡大など、さらなる進展がみられる。

広島市街から車で1時間ぐらいの山間部に幻霜ファームでは現在、ランドレース、大ヨークシャー、デュロックの原種豚の雄が25頭、雌が100頭、作出されたLWあるいはWLのF1母豚を250頭保有し、さらに加島養豚場など県内の契約農家に幻霜ファームからF1母豚と止め雄のデュロック、そして独自開発した専用飼料を供給し、トータルで約5500頭を飼育。月間約1000頭近くを「幻霜スペシャルポーク」として販売している。また広島県以外では寺田畜産が「幻霜スペシャルポーク」の原種豚を導入し、現在も精力的に生産・出荷を行っている。

「幻霜スペシャルポーク」は、L、W、Dの三元交配豚で、それぞれの種豚はいずれも骨が太く、背中や後躯が広い。肋張りが良く、筋肉が柔らかい。全体の体の輪郭も非常にきれいである。さらにモモの面積が極端に大きい。後ろ足の先から背中までの4分の3に肉がついている状態で、スネはわずかに4分の1程度。産肉性の高さが伺える。ウデからモモの間が長く、バラの肉量が多いのも特長だ。

選りすぐりの純粋種はそれぞれの長所を最大限に発揮し、最高級の豚肉にも仕上がっている。脂肪の色が白く、ロースのみならず肩やモモにまで、筋肉内に細かく均等に脂肪交雑(サシ)がある高級和牛並みの豚肉で、「ライバルは和牛最高格付け『A−5 BMS No. 12』だけ」と一貫して長田社長が豪語するが、その質を決める大きな要素は種豚。九州で36年もの実績を持つ有力なブリーダーだった長田社長の類いまれな“選抜の技”によって選ばれた種豚は、骨格といい、肉付きといい、そのすばらしさはずば抜け、全国各地の名だたる養豚家がその種豚を買いに来る。

抜群の種豚から生産される肉豚に与えられる専用飼料は、パン工場から出るパン屑を粉砕し、そこにトウモロコシや大豆粕、魚粉などとともに何種類かの菌を添加したもの。この専用飼料も「幻霜スペシャルポーク」を仕上げる重要な要素となっている。

枝肉は相対で取引されており、全国的に豚価が低水準で推移する中、「幻霜スペシャルポーク」は今も枝肉1kg当たり700円を維持している。現在の取引先は、(株)ニチレイフレッシュ、エスフーズ(株)、伊藤ハム(株)、イオン(株)などの大手企業で、県内のグランドプリンスホテルのスペシャルメニューにもなっており、さらに(株)マルハニチロ食品を通じて香港への輸出も準備中。精肉だけでなく加工品や広島カープとの提携による「幻霜ポークカレー」も販売されるなど、ブランドの裾野はさらなる広がりを見せている。

また、新ブランドとして「霜華桜(しもはなさくら)」「銀華桜(ぎんはなさくら)」も生産・販売されており、「豚肉需要が減退傾向にある中、より特徴的のある豚肉で有利販売していく必要があると思うが、『幻霜スペシャルポーク』は三つのブランドが揃ったことで、今後は販路拡大も可能になる」と長田社長はさらに意気込みを見せる。

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2012年9月号

顧客ニーズとらえ高付加価値化目指す国産豚肉
努力の結晶、アグリフードエキスポでアピール


国産農産物をテーマとした全国規模の展示商談会「アグリフードEXPO2012」が8月2日、3日の2日にわたり東京・有明の東京ビッグサイトで開催された。東京での開催が7回目となる今回は、全国の野菜、畜産物などの生産者や加工食品を製造する食品企業など627社が出展。2日間で1万2538人が来場した。

東日本大震災の影響が残り、景気回復が遅れる中、味、安全・安心にこだわった全国各地のブランド豚肉や豚肉加工品の数々が出展され、それぞれの優位性を流通業者や消費者にさらに力強くアピールした。

秋田県・ポークランドグループ「十和田高原ポーク『桃豚』」
秋田県・(株)管与「エコの森『笑子豚(えこぶー)』」
岩手県・(株)アーク「館ケ森高原豚」「風と土と太陽の豚」「飼料米放牧豚」
山形県・(有)敬友農場「敬華豚」
宮城県・(有)伊豆沼農産「伊達の純粋赤豚」
千葉県・JAかとり東庄SPF豚研究会「東の匠(ひがしのたくみ)SPF豚」
千葉県・なでしこポーク生産協議会「なでしこポーク」
千葉県・マーガレットポーク研究会「マーガレットポーク」
千葉県・旭食肉協同組合「千葉県産いもぶた」
茨城県ほか・全国地養豚協会「地養豚」
神奈川県ほか・(株)フリーデン「やまと豚」
群馬県、栃木県、茨城県、埼玉県ほか・豊橋飼料(株)「秀麗豚」「愛豚」「味麗」「発酵豚『黒麹』」
群馬県・(有)江原養豚「えばらハーブ豚 未来」
埼玉県・古代豚(R)「古代豚(R)」
埼玉県・(有)長島養豚「むさし麦豚」
栃木県・ばとう手づくりハム工房/田舎レストラン「巴夢」「茶色豚」
栃木県、千葉県・(株)ヒラノ「茶美豚」「麦豚」「お米そだちみのりぶた」「笑顔大吉ポーク」
神奈川県・かながわ夢ポーク推進協議会「かながわ夢ポーク」
静岡県・富士農場サービスグループ「LYB豚」「満州豚」
三重県・(株)サンショク「三重県産『さくらポーク』」
広島県・(株)幻霜ファーム「幻霜スペシャルポーク」
鹿児島県・(有)ふくどめ小牧場「幸福豚」
鹿児島県・(有)大成畜産「やごろう豚」
沖縄県・(有)アンビシャス「くんじゃん命豚(ぬちぶた)」

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2012年8月号

◎静岡県富士宮市/富士農場サービス・グループ
4000年の歴史が育んだ「満州豚」
濃厚な味わいの肉質と甘い脂質が自慢


中国4000年の歴史の中で、ゆっくりと猪から家畜化への過程を辿った「満州豚」(総称)は、日本で知る人も少なく、今まで世に出回ることもなかったという。見るからに鬣があり黒い毛に覆われた猪のようなイメージを持つ中国の銘系の豚である。

農事組合法人富士農場サービス(静岡県富士宮市、桑原康社長)では、満州豚についてもその貴重な資質を末長く保存育種すべく、私財を投じて約40年間、日本でただ一人、20頭の満州豚を維持してきた福島県の新妻尚二郎氏から2009年に「新妻号」を譲り受け、満州豚の交配と保存を開始していた。しかし東日本大震災が発生したことで状況が一変。富士農場サービスでも貴重な資質を守るべく、福島県いわき市で飼育されていた種雌猪群とその産子8割について、トラックで3回に分けて緊急避難を実施。福島で再出発ができるまでの間、静岡分場として増殖、維持、保存を担い、「満州豚の血液保存とその特性を全国の皆様に紹介する役割とともに、さらなる交配特性と経済的付加価値の追求」を約束した。

まさに「黒い猪」といってもいいような満州豚の特性として顕著なのは、まず子豚は他の豚に例がないほど、抗病性・耐病性・生存率が高いという点。そして、1960年には分娩産子数26頭を記録したこともある多産系の品種であるということ。さらに、別の品種の豚と交配をしても、子豚には「ウリ」模様が7〜8割に出ることが多く、出産時には母豚も野猪のように分娩時の胎盤を母豚が食べて、においの発生源をなくし、他の動物から子豚への襲撃を守るといった仕草を見せるため、より野生に近い自然界の常を感じるという。そのためか、一般に飼養されている豚よりも、人への警戒心ははるかに強く、また発育が遅いために飼養日齢が長いといった問題も残されており、今後の課題となっている。

昨年8月2日と8月3日の両日、東京ビックサイトで開催された「第6回アグリフードEXPO東京2011」では満州豚の試食も行われ、居合わせた来場者らへ、その肉質の良さをPRした。最近では、満州豚とLYB豚(ランドレース×ヨークシャー×バークシャー)を交配した豚肉が、ベーコンなどの加工品に利用されたり、満州豚のしゃぶしゃぶを提供する飲食店も登場するなど、徐々に「満州豚」の名前とその美味しさは全国に広がりつつある。

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2012年7月号

美味しさ発見!!日本各地の畜産物が一堂に集結
国際養鶏養豚総合展(IPPS JAPAN2012)フードコーナーレポート


6月6〜8日までの3日間、愛知県・名古屋市国際展示場(ポートメッセなごや)で開催された「国際養鶏養豚総合展(IPPS JAPAN2012)」には158企業・団体591小間が出展。会期中に延べ2万1000人が来場し、盛況のうちに閉幕した。

『良品発見』がテーマであった今回は、消費者においしいブランド畜産物を発見してもらおうと、初めて消費者を対象としたフードコーナー(ブランド食材の展示・試食・販売ブース)が設けられ、自慢の肉・食肉加工品を携えた34社・団体が出展し、試食や展示でPRを行った。また各社のブースにならんで、「畜産物消費拡大PRコーナー」も設けられ、鶏卵・豚肉・鶏肉を使った料理レシピ集などの小冊子の配布や、畜産物に関するパネル展示も行われた。

豚関連では11社・団体が参加したが、お膝元である愛知県内からも生産者らが参加し、それぞれ趣向を凝らしたPRを行った。

フードコーナー出展者(養豚関連を出展した11社)
■愛知県経済農業協同組合連合会/「みかわポーク」「きみ元気(名古屋コーチン卵)」の販売・試食。
■東西産業貿易(株)/七面鳥スモーク商品(ドラム・ドラメッティ・手羽先)の他、グリシア粟を給与した豚を紹介。
■(社)愛知県養豚協会/愛知県の系統造成豚「アイリスL3(ランドレース種)」「アイリスW2(大ヨークシャー種)」「アイリスナガラ(デュロック種)」を紹介。「愛とん」を使用した豚肉料理や加工品の試食。
■イワタニ・ケンボロー(株)/ケンボロー種豚を使用し、筋肉内脂肪を最小限にして赤肉の美味しさを追求した豚肉の試食。
■エコフィード循環事業協同組合/エコフィード(リサイクル飼料)を紹介。エコフィードを給与した豚肉の試食。
■岐阜アグリフーズ(株)/ブランド豚「飛騨旨豚」、「奥美濃古地鶏」の紹介。
■(有)フジ商事/エコフィードを給与した豚肉や加工品の紹介・試食。
■富士農場サービスグループ/「LYB豚」の試食、農場の紹介。
■(株)フリーデン/「やまと豚」を原料としたウインナー・ベーコンなどを紹介・試食。
■三河トコ豚極め隊/三河地区のブランド豚を紹介・試食。
■中部飼料(株)/「いもぶた」等の展示・試食。
■中部有機リサイクル(株)/エコフィードを給餌した豚肉の試食。

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2012年6月号

◎石川県/石川県農林水産部、石川県農林総合研究センター畜産試験場、(有)ムカイ
脂質を改善した機能性豚肉「αのめぐみ」
産官学連携、流通とタッグ組み県内に浸透


石川県では平成18年末、産官学連携のもと開発された銘柄豚肉「αのめぐみ」の流通をスタートした。

この豚肉は、動脈硬化や生活習慣病の予防、アレルギーの緩和に効果があるとして注目を浴びている、αリノレン酸を通常の数倍含有した機能性食品として誕生した豚肉で、「αリノレン酸の恵みにより安らぎを与え、おいしさに機能性が加わったプラスアルファのイメージを与える」との理由で命名された。

非常にあっさりとした風味が特徴で注目を集め、現在は県内23店舗のA-COOPや一部スーパーでも購入可能。また、レストランやホテルの食材に使われているほか、学校給食でも利用されている。

「αのめぐみ」の定義は、開発された専用飼料を出荷前の6〜8週間程度給与して生産され、αリノレン酸の含有率が通常の豚肉より高いものとされている。併せて、1.生産地が石川県であること、2.処理される場所が石川県金沢食肉流通センターであること、3.衛生的な管理のもとで生産された健康で安全な豚肉であることが定められている。

専用飼料の研究は、平成9年に石川県畜産総合センター(現・石川県農林総合研究センター畜産試験場)と北陸学院大学短期大学部の共同研究によりスタートし、平成12年より、食用油の製造で知られる日清オイリオグループ(株)(本社:東京都中央区)も加わり、産官学連携のもと進められた。

まずαリノレン酸の含有量を増やすためにはどうすればよいか検討をはじめ、試行錯誤を経て、アマニ油をペレット状の飼料に吹き付けたものが現在の専用飼料である。

含有量はアマニ油が1.5%、ビタミンEが0.01%、大豆レシチンが0.3%となっており、この飼料を給与することで「αのめぐみ」が完成する。

「αのめぐみ」の生産を一手に引き受けているのが、(有)ムカイ(上野正美代表取締役)である。能登地方の羽咋郡志賀町に本場となる母豚450頭の繁殖豚舎、羽咋市と輪島市に肥育豚舎を構え、豚の健康に細心の注意を払い高品質な肉豚を生産している。

同社で生産される品種はLWD。種豚は自家更新を基本とし、必要な時には全農畜産サービス(株)よりSPF豚の精液のみを導入する。

繁殖豚舎で育てられた豚は、130日齢70キロを目安に、肉づきや肌色、毛のツヤをみて特に健康そうな豚を選抜し、肥育農場へ移動する。2カ所の肥育豚舎のうち、「αのめぐみ」が生産されるのは輪島市の農場のみ。農場は繁殖豚舎、肥育豚舎ともに、まわりに生産農場がなく幹線道路からも離れた自然のバイオセキュリティが確立された環境で、農場への出入りの管理や出荷トラックの車両消毒などはもちろん、飼料搬入についても、自社で運搬専門の担当を決め、片道6時間かけて愛知県知多市の飼料工場までを往復するなど、外部からの侵入を徹底的に排除している。

石川県は、「αのめぐみ」販売スタートより消費拡大イベントや農林フェアの出品などに積極的に参加しPR活動に力を入れているほか、昨年には販売店舗の協力のもと、「αのめぐみ」のしゃぶしゃぶでの試食、知名度のアンケートを実施。回答が得られた659人中、「通常の国産豚と比べておいしい」と答えた人は538人で、「また購入したいか」という質問には577人が「はい」と回答。併せて、「αのめぐみ」の認知度についても367人から「知っていた」との回答が得られ、消費者に存在がしっかりと認知されていること、おいしさへの信頼がうかがえる結果となった。

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2012年5月号

◎埼玉県/テラダ・トレーディング(株)
実習中心のセミナーで食肉加工技術を学ぶ
高品質豚肉で高付加価値化の可能性広がる


食肉加工品など食品の機械・機器の総合商社としてお馴染みのテラダ・トレーディング(株)(本社・埼玉県南埼玉郡、寺田眞祐社長)が3月13日、14日の2日間、本社の研修センターで第5回製品セミナーを開催し、日頃、ハム・ソーセージの製造や品質管理に携わる人たちが参加した。

第5回のセミナーでは、ドイツで3年半修行しマイスターの資格を取得した同社の食肉マイスター、大久保伸司氏が講師を務め、参加者はハルスシンケン(肩ロースハム)、ブラートヴルスト(焼きソーセージ)、ヴィーナーヴュルストヒェン(ウインナーソーセージ)、デップレツィーナー(ハンガリー風ソーセージ)などのハム・ソーセージの練り・カッティング、充填・燥煙・加熱方法などについて実習を中心に学んだ。

特に加熱ハムにおいては、「すべての食肉製品製造について言えることであるが、より良い結果を得るために原材料肉の選択が非常に重要である」(大久保氏)とのことで、加工品とはいえ、原料となる豚肉の品質が製品の品質に大きな影響を与える。

その点で国産豚肉は、味とともに肉質や脂質をはじめとする品質は非常に高くなっているが、今でも異常肉といわれるものも少なからず発生しており、精肉として販売する場合は言うまでもなく、加工品の原料にする場合も十分な吟味が必要である。

参考までに異常肉について説明しておくと、その一つが「PSE」豚肉と呼ばれるもので、Pale(青白く)、Soft (締まりのない)、Exudative(滲出(しんしゅつ)性のある)、食味が劣り見栄えが悪く、加工した場合でも製品歩留まりが悪いといった欠点がある。これはと畜後、筋肉中のグリコーゲンが急速に分解され、1時間以内にpHが5.5にまで低下すると起こり、輸送時やと畜時に強く興奮させたことやストレス、または家畜個体の遺伝的なものが原因と考えられている。

PSE豚肉には具体的に、(1)保水性が弱いために肉全体が水っぽい(水分を肉内部に蓄えておけず放出してしまう)(2)肉の色が白っぽい(3)亜硝酸塩を使った商品では強い発色は得られない(4)肉がぐずぐずと柔らかい。極端な例では加熱しても固くならない――などの欠点があり、pHが低いため保存性は良いものの、加熱ハム製造用には向かないばかりか、他の活用用途もほとんどない。唯一、保水性の悪さゆえに乾燥製品用途には使用可能であるが、ドリップと一緒に栄養分や旨みも流れ出てしまっているので、満足いく仕上がりからはほど遠いものとなる。

もう一つ代表的な異常肉として「DFD」豚肉がある。それはPSE豚肉とは逆に、Dark(肉色が暗く)、Firm(堅く)、Dry(水気がない)な状態で、長期間の絶食やと畜前の過度のストレス負荷により、PSE豚肉とは反対に、生体時の段階で筋肉中のグリコーゲンが減少し、グリコーゲンが分解され生成される乳酸もわずかであり、と畜後24時間でもpHが6.2以上を保っている。そのため、保水性が良い、肉表面が乾いていて粘り気がある、暗赤色をしている、亜硝酸を使った商品では強い発色が得られる、肉が固く締まっている、中性近くを長く保っているために菌が増殖しやすく保存性が良くないといった特徴があり、加熟ハム用途にはあまり用いられず、エマルジョン(ソーセージなどで使用する練肉)やグリル用途など製造後短期間で消費される製品には最適である。

原料肉の品質にも十分留意した上で、加工段階での作業手順や温度管理を徹底することで上質な豚肉加工品を完成させることができるわけで、おいしくて高品質で安全・安心な国産豚肉であれば、さらに付加価値の高い加工品に仕上げられることは間違いない。

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2012年4月号

◎埼玉県さいたま市/埼玉県養豚協会青年部
市場ニーズに応え商品価値高める研鑽の場
埼玉県養豚協会青年部、豚枝肉勉強会開く


埼玉県養豚協会(松村昌雄会長)の青年部(高鳥勇人部長)が2月23〜24日の2日間、さいたま市食肉中央卸売市場(埼玉県さいたま市、1日の処理能力:豚1000頭、牛200頭)で青年部豚枝肉勉強会を開催した。この勉強会は、市場で評価される豚肉作りにつなげようと、若手養豚家で組織される青年部のメンバーが自分たちの生産した肉豚を生体から枝肉まで評価するもので今回が3回目。初日には、青年部メンバーと活動している13農場のうち11農場から出荷された73頭の肉豚の生体観察が行われ、一番良いと思われる豚を1頭選定、2日目には公益社団法人日本食肉格付協会や流通関係者らを交えその枝肉を評価・検討した。

「どのようなニーズがあり、いかに商品価値を高められるのか研究しようと始めたのがこの枝肉勉強会です。他の人たちの生体を見るなどして、生産現場で商品価値を高めるため餌や育種を含めた管理方法を検討しなければならないと思っています」と話してくれたのは(有)松村牧場の松村淳さん。(株)ポークの高鳥勇人さんも、「中物や並物で少し厚めが好きなバイヤーが多くなっており、格付けで中物や並物に落とされても、自分が良い豚肉を作っている自負があるなら、相対取引にする方が有利だと思います。実際の買い手のニーズがどこにあるのか、生産者の我々が研究していく必要があります。この勉強会は、より市場性の高い豚肉を生産するための研鑽の場と位置づけています」と意気込みを語ってくれた。

豚を選び、枝肉を評価する若手養豚家の皆さんの表情は真剣そのもの。日本の養豚業界の将来に新たな可能性を感じた。

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2012年3月号

◎静岡県浜松市/チロルブリード(株)、スワインジェネティクス(株)
基本に忠実でバランスのとれた種豚の供給続ける
春野スワイングループの育種の取り組み


愛知県東部、静岡県西部に農場を持つ「春野スワイングループ」は、原種豚・種豚を生産・販売するチロルブリード(株)、LW(またはWL)のF1母豚を生産・販売する春野種豚牧場(株)、AIセンターのスワインジェネティクス(株)、コマーシャル農場のハマナピッグ(株)の4社で構成され、それぞれが高品質な豚の生産を続け、注目を集めている。

チロルブリードは、平成18年12月に設立された種豚場。鳥居英剛社長は、高校卒業後のアメリカ留学、国内の養豚場の研修を経て同社を設立した。従業員は現在8名で、GP生産農場としてデュロック、ランドレース、大ヨークシャーの3品種を全国に販売している。

「いろいろな豚を見てきた中で、極端な能力を持つ豚は、安定して長く使おうとした時に何かしらのトラブルを起こしやすいと思います。すべてにおいてバランスが取れていて、なおかつ特徴を持たせた豚を目指しています」としており、経済動物としてしっかりと仕事のできる豚を作ることは、春野スワイングループ全体のモットーとなっている。

特に重要視されるのは強健性で、足の太さは選抜における重要なポイント。種豚の選抜は、離乳時に乳器の数などを基に一次選抜し、その後は体型と成績それぞれの評価から選抜を進めていく。どちらかを重視した選抜は行わないのがこだわりだ。純粋種本来の体型を考慮した上で、より太いものを選んでいくという。顧客からは、使いやすい豚として定評があり、設立時より確実に販売規模の拡大に成功している。

春野種豚牧場、ハマナピッグの社長も兼任する鳥居社長であるが、「それぞれの経営を成り立たせる上で、非常に信頼できるスタッフが揃っており、安心して経営に没頭できる」と信頼を寄せる。

AIセンターであるスワインジェネティクスが創業したのは平成20年暮れのこと。社長を務める山内義広氏は、約40年間養豚業界のさまざまな仕事に従事し、肉豚農場や種豚場での勤務経験を経て、鳥居社長、春野種豚牧場創設者で先代の鳥居喜和氏とともにスタートさせた会社である。

兼ねてより海外の種豚場所に足を運び種豚の選別・導入を担当していた山内氏は、その経験を生かし、アメリカを中心に、また国内の種豚場を回って厳選したデュロック、ランドレース、大ヨークの3品種、計40頭を揃えた。

併せて、山内氏が以前勤務していた農場から、AI技術者として活躍していた安楽淳吉氏を場長に招き、自身は営業に専念し、徐々に顧客を開拓していった。

「5年ほど前から、AI技術の普及もあり、精液の販売を望む声が非常に大きくなってきたと感じた。そんな折に鳥居喜和氏から、自身の農場でAIをやりたいと相談され、AIを自分が、種豚の販売を鳥居氏が販売する形を考えた」と山内氏は振り返る。

生体販売とAI販売が同じグループとなって以降も、顧客は順調に増加。特にスワインジェネティクスへの注文が増えていく中で、チロルブリードの販路もともに拡大していったのだという。

現在の販売本数は多い時で月3500ドーズほど。8割がデュロックで、毎月の固定客の注文が続く。デュロックに求められるのはやはり肉質と強健性で、スワインジェネティクスでは長めの体躯や厚脂といった希望により明確に応えられるよう、すべての種豚の写真をホームページで公開している。

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2012年3月号

◎茨城県坂東市/(有)産直ポーク山庄
米粉、菓子くずなど利用したエコフィードで効果実感
ミノラーゼと飼料製造機による発酵処理で消化吸収増進


母豚230頭の一貫経営を行う(有)産直ポーク山庄(茨城県坂東市冨田)の経営者、逆井等さんは半年前、みのり産業(有)(本社・茨城県鉾田市、山本勝社長)の強力発酵菌「ミノラーゼ」と菌体飼肥料製造機500キログラムを導入し、食品残さの飼料化(エコフィード)に取り組んでいる。

逆井さんの農場は、昭和60年に廃業した養豚場を逆井さんが買い取り、さらに周辺の山林を開墾して造った農場で、敷地面積は1.8ヘクタールに及び、現在、逆井さんと息子さん、従業員3人の5人で切り盛りしている。

逆井さんがエコフィードに取り組んだのは、6年前に息子さんが経営に加わったのを機に、どうにか経営刷新を図ろうと思い続け、たどり着いた答えである。

飼料の製造はまず、1.5立方メートル容量のみのり産業(有)の菌体飼肥料製造機(500キログラム用)に、米粉を約300キログラム、トウモロコシ(圧ぺんトウモロコシを自ら粉砕機を使い粉砕)を約300キログラム、大豆粕約100キログラムを投入し、そこに強力発酵菌「ミノラーゼ」と水150リットルを投入。冬場は発酵を促すために、製造機に設置されている薪(まき)用火炉に自身の山林で集めた枯れ木などを入れ燃やす(40分程度、夏場は加温不要)。加温している間に製造機で撹拌を行う。撹拌後約1日間、製造機の中に置いておき、さらにフレコンに入れて2日寝かせて完成する。現在、発酵飼料の配合割合は全体の7〜10%となっている。

エコフィードの製造・給餌を始めて半年。「以前は配合飼料にミネラルや生菌剤などを添加していましたが、そのときより豚の調子が良い。豚の肌の色、つやが良く、これから結果が出てくるでしょうが、飼料要求率なども改善されているという実感はあります」と逆井さん。おまけに糞のにおいも減ったという。

さらに、「発酵により米はアルファ化、デンプンは糖化、タンパク質はアミノ酸化し、消化・吸収率が良くなり、豚肉の脂肪の甘みも増し、味も良くなりました。一番難しいのはアミノ酸のバランスで、それについては専門業者の指導なども受けています。安全性についても十分に留意しています。とにかくエコフィードにして肉質を落としてしまっては元も子もありません。食肉業者の評価にも耳を傾けています」と逆井さんは豚肉そのものへの効果を実感しつつ、さらに飼料の品質や安全性などに細心の注意を払っている。

現在、月間100トン程度の食品廃棄物を1キログラム19〜28円程で受け入れており、「なるべく人件費をかけないように機械化していきたい」とエコフィード製造・給餌の省力化を思案中で、菌体飼肥料製造機も1トンのものを新たに導入する計画だ。

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2012年2月号

◎静岡県湖西市/ハマナピッグ(株)
みんなの食卓にのぼる「おかず」を目指して
種豚グループで作り上げる「はまな三丁目の豚肉」


誰しもが手に取って、すぐに食卓に並べられる銘柄豚肉を――。

静岡県湖西市、浜名湖西岸の里山に農場を構えるハマナピッグ(株)では、2010年より「ちょっとプレミアなおかず豚肉」を旗印に掲げた銘柄豚「はまな三丁目の豚肉」の生産・販売をスタートした。

「はまな三丁目の豚肉」は、LWD(またはWLD)の三元交配種の豚肉。あっさりとして臭みやクセのない脂身と、柔らかい赤身に特にこだわった豚肉で、トンカツやしゃぶしゃぶといった定番料理から、お弁当用の野菜炒めまで、どんな調理にも使いやすい風味を持っている。同社で流通・販売を担当する加藤温人氏は、「いちばんの購買層である主婦の人たちが好む肉質と販売価格を目指している」と話す。

出荷頭数は月産400頭ほどで、110キロ・平均168日齢で出荷。と畜された枝肉は、食肉類(牛・豚・鶏・その他食肉)、加工品(ハム・ソーセージ・デリカテッセン)の製造などを手掛ける米久(株)(静岡県沼津市、藤井明社長)が全量買い取りしており、そこからハマナピッグが肉の一部を買い戻し、「はまな三丁目の豚肉」として、静岡県浜松市、袋井市、愛知県豊橋市といった農場近隣のスーパーや精肉専門店、居酒屋などに卸している。また、米久から直接小売店に卸されるルートもあるという。

ハマナピッグは、静岡県西部、愛知県東部に農場を持つ春野スワイングループの一つで、原種豚の生産・販売を主業務とするチロルブリード(株)(愛知県新城市)、高品質なLW・WL母豚の販売で知られる春野種豚牧場(株)(静岡県浜松市)と同じく鳥居英剛氏が社長を務めている。この3農場のほかにも、同グループへは、AIセンターのスワインジェネティクス(株)(静岡県浜松市、山内義広社長)も会社設立と同時に4年前より参加。種豚場の取締役生産部長を経て、大手一貫生産農場での常務取締役を務めるなど幅広い経験を持つ山内氏は、ブランド豚肉の展開について以下のように話す。

「我々のグループが考えたのは、原種豚、種豚にこだわることでおいしい豚肉を作ること。肉の風味、特に脂身の味は100%飼料で決まると考えている。しかし、赤身の食感などは種にこだわることでしか成し得ないもの。我々は規模は決して大きくはないが、日本で数%のシェアを占める。つまり国産のニーズに応える種豚が作れているわけで、それらを利用することで、必ず良い豚肉ができるだろうという自信もあった」

また、鳥居社長はグループで一連の生産に取り組むことで、お互いの農場に対しさまざまな情報のフィードバックができていると話す。

「消費者からの肉豚に対する要望を得ることで、ハマナピッグでの生産を、消費者が求める方向に合わせていくことができますし、その影響が肉豚から種豚への情報のフィードバックに代わっていきます。この流れができていくことで、必然的に良い豚ができていくと考えています。肉豚の流通経路を作ることで、『育種から台所まで」、どの面からもさまざまな意見をダイレクトに聞くことができるようになったと思います」

このように、「はまな三丁目の豚肉」は種豚の出所がはっきりしているだけでなく、それぞれの農場が近隣にあることも大きな特徴。何か問題が起きた時に迅速な対応が可能であること、前述のとおり密度の濃い情報交換などメリットは多いが、一方で販売面における消費者へのアピールでも好結果をもたらしているという。

「国産豚肉が求められる理由として、安心だからという声が多い。そこで、グループ農場が近隣にあることで、肉豚農場だけでなくその親も生産者の顔が見える体制をとることができ、『3代ご近所育ち』というキーワードで消費者にアピールすることで、より大きな安心感を持ってもらえる」(加藤氏)。

順調な販売展開を見せている「はまな三丁目の豚肉」であるが、今後は販売店舗の増加も考えているという。また、出荷日齢の見直しや飼料試験の継続など、さらなる改良にも意欲的だ。

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2012年1月号

震災復興メインテーマに、JPPA会員の豚肉240キロを試食提供
「俺たちの豚肉を食ってくれ!2011」、日比谷公園で大いに賑わう


一般社団法人日本養豚協会(JPPA、志澤勝会長)の青年部会が主体となり、2011年11月19日、20日の両日、東京・日比谷の日比谷公園で国産豚肉のおいしさや安全・安心をPRするイベント「俺たちの豚肉を食ってくれ!2011」を開催し、JPPA会員生産者から提供されたブランド豚肉が大勢の来場者に振る舞われた。

特に今回は、昨年の宮崎県での口蹄疫、今年の東日本大震災と立て続けに災害が発生した日本を元気にしたいという思いから、『災害復興』をメインテーマに掲げ、JPPA会員生産者が生産した12銘柄のブランド豚肉が試食提供されたほか、口蹄疫で被害を受けた宮崎県(みやざき養豚生産者協議会)が復興支援に感謝の気持ちを込め、宮崎県産豚肉の焼肉を試食提供、しゃぶしゃぶ・焼肉あわせて総計334キロ、1万1000食強が来場者に提供された。

今回JPPA会員から提供された豚肉は、初日が「純・和豚」(とんとん山(有)、岩手県)、「やまゆりポーク」(やまゆりポーク生産者協議会、神奈川県)、「木野内さん家の豚肉」((有)木野内ファーム、福島県)、「おきなわ紅豚」((株)がんじゅう、沖縄県)、「加美豚」((株)オダシマファーム、宮城県)、「クイーンハーブ豚」((株)河中飼料、宮崎県)の6銘柄。2日目が「白金豚」(高源精麦(株)、岩手県)、東の匠SPF豚(JAかとり東庄SPF豚研究会、千葉県)、夢味ポーク((株)中野目畜産、福島県)、オリジナル豚(WYWD)(石井養豚センター、徳島県)、志波姫ポーク(しわひめスワイン、宮城県)、尾鈴豚((有)尾鈴ミート、宮崎県)の6銘柄の合計12銘柄。

恒例となっている、じゃんけん大会には今回も大勢の小学生たちが参加し、子豚との触れ合いコーナーも子供たちで賑わった。また人気イベントである国産豚肉ソーセージ(高座豚手造りハム提供)をフランスパンで挟んだ特大ホットドックの早食い大会では、豪華賞品(豚肉2キロもしくは5000円のハム・ソーセージギフトBOX)をかけて早食いを競う姿に観客から大きな歓声が上がっていた。

今回の開催に当たってJPPA青年部会長の阿部秀顕さん((株)山形ピッグファーム社長)は、「エサ高やさらにはTPPの問題などで日本の養豚経営を取り巻く環境は相変わらず厳しいが、現在も国産豚肉は国民の皆さんに高く評価されていると思います。当社も震災の影響をかなり受けましたが、おいしい豚肉を積極的に食べてもらう、こうしたイベントを行うことも養豚家がやるべきことだと思いますし、それが我々のやり甲斐にもつながってくると思います。今回のイベントには全国から若手養豚家が130名以上集まってくれとても感謝しています」と語ってくれた。

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