2006年12月25日号

◎ 宮崎県児湯郡・児湯養鶏農業協同組合
ネッカリッチ卵『まるひ』は太陽の輝き
ファフィア酵母・海藻で赤みとコク加える


 児湯養鶏農業協同組合は昭和26年に発足。49年に産地GPとして大規模が鶏卵工場を建て、営業してきた。現在の組合員数は19名、農場数は約30。飼養羽数100万羽のうち4割が赤玉鶏(ボリスブラウン、もみじ)で、ピンク卵(ソニア、さくら)を一部入れており、残りは白玉鶏(ジュリア、ジュリアライト、TX)である。そのうち50%は木酢酸ネッカリッチを添加したネッカリッチ卵『まるひ』として販売されている。
 ネッカリッチを使い始めたのは、成鶏の出荷先である(有)二幸食鳥から頼まれたのがきっかけ。給与してみると鶏卵のくさみがまったくなくなり、鶏ふんのにおいもなくなった。それならばと、ネッカリッチを給与した鶏が産んだ卵をネッカリッチ卵として売り出したのだ。さらなる差別化のため、黄身のカラーファンを上げる効果があるファフィア酵母と海藻を混ぜた配合飼料設計をJA全農に依頼した。


 ネッカ卵『まるひ』の最大の特徴は濃い黄身色。九州地方はもともと濃い黄身色を好む地域性があるが、黄色というよりも赤味を帯びた『まるひ』の黄身色(カラーファン15.5、一般的な卵は12.5)は「発売以来、黄身色のクレームは一件しかなく、大変喜んでもらっている」(濱本代表理事組合長)そうだ。一時期、国産のものに比べて安価な海外のファフィア酵母に変えたところカラーファンがぐんと落ちてしまい、すぐに国産に戻したという。 「まるひ」は一キロ当たり300円で、販売先は九州一円。小売店価格も市場に連動させない定価販売で、10個298円、6個198円で販売されている。卵価が高騰した時期は定価販売の白玉ネッカ卵がレギュラーよりも安く販売されるという現象もあったが「生産コストベースで考えれば、定価販売のほうが間違いなく安定した経営ができる」と同組合の長友光夫営業部長は語る。
 同組合では現在、価格を少し抑えた一キロ当たり250円程度の新ブランド卵を模索している。濱本組合長は「ブランド卵を始めて3年、おかげさまで右肩上がりに順調に成長してきた。しかし、店舗当たりの売り上げには限りがある。新しい販路の拡大を進めていきたい」と語る。




2006年11月25日号

◎ 兵庫県赤穂市/(株)デイリーエッグ
中鎖脂肪酸を含有した特殊卵『ココナ』
兵庫県版HACCP認証で衛生管理は万全


兵庫県赤穂市で92万羽を飼養する(株)デイリーエッグでは、平成17年2月よりココナッツミルクを飼料に加えた特殊卵『ココナ』の販売を開始した。
 『ココナ』の特殊卵たる所以は、通常の卵には含まれない「中鎖脂肪酸」を含有していることにある。中鎖脂肪酸は直接肝臓に運ばれるため、消化吸収が早く体脂肪になりにくい。また、母乳などにも含まれているため、幼児の栄養補給を目的に医療用途にも使用されている。同社では、100%天然植物原料でノンGMOのココナッツミルクの粉末を添加することで、中鎖脂肪酸を含有する卵の生産に成功した。ココナッツミルクを飼料に添加した卵は『ココナ』のみであり、現在製法特許の申請も行っている。さらに『ココナ』は、抗酸化作用により細胞の老化を防ぐビタミンEを通常の卵の約10倍も含有しており、近年高まる健康志向に応え、コレステロールも通常の卵に比べ約20%もカットされている。
 『ココナ』は、6個入りで290円。健康志向の強い中高年層を主なターゲットに、大阪を中心とした関西圏で主に販売されているほか、インターネットによる通信販売も行っている。阪神タイガースのナイター中継の合間にTVコマーシャルを放映していたこともあり、関西圏での知名度は高い。


 同社では食の安心・安全に対する取り組みも力を入れている。『ココナ』には、トレーサビリティシステムが導入されており、パックに記されたコードをデイリーエッグのホームページに入力すると、孵化育成、農場、GP、飼料、サルモネラ検査結果など、卵の履歴について確認ができる。さらに、『ココナ』は兵庫県独自の認定制度である「ひょうご食品認定制度」と「兵庫県食品衛生管理プログラム(兵庫県HACCP)」の認定も取得しており、行政からも認定された万全の衛生管理の下に生産が行われている。
同社の鈴木康喬社長は、「他の特殊卵についても順次認証取得を予定している。以前にもココナッツを飼料にした特殊卵を生産したことがあったが、当時はまだ中鎖脂肪酸が注目されておらず、大きな成果はあげられなかった。しかし、ここ2、3年で中鎖脂肪酸が世間の話題に上ったことから、もう一度やってみようと思い『ココナ』の生産を開始した。やはり、時代の要求に合致したものをタイミングよく世間に出していくことが重要であると痛感した」と語った。




2006年10月25日号

◎ 東京都新宿区/JA全農たまご(株)
全農グループの基幹商品『しんたまご』
卵本来のおいしさと、安心・安全を追求


 平成3年4月の販売開始から今年で満15年を迎えたJA全農たまごの基幹商品『しんたまご』は、昭和56年に特殊卵ブームの先鞭をつけた『全農特選卵G』以来の同社の独自開発ブランド。「ワンランク上を行く白玉のレギュラー卵」を開発コンセプトに[1]信頼できる全国各地の指定農場で生産、[2]生活習慣病の予防、健康維持を助けるα-リノレン酸と抗酸化作用のあるビタミンEを強化、[3]全農グループならではの、生産から販売まで一貫した衛生管理体制を確立――をベースに、卵本来のおいしさと、安心・安全を徹底的に追求した。
 指定農場は現在8カ所。いずれも日本を代表する先進的な大規模養鶏企業で「皆さん素晴らしい生産者ばかり。固定販売、専用の飼料、品質・衛生管理、トレーサビリティ、商品グレードの選別も厳しい」「この15年の間、競合他社の商品でも浮き沈みがかなり激しい。しんたまごの開発当時の基本コンセプトは変わることはないが、時代の要求により改善を繰り返してきた。競合商品がこれだけある中でも当社の基幹商品であり、色褪せることなく市場に受け入れられている」と同社東日本営業本部営業企画部営業企画グループの河上雄二グループ長は語る。


 販売面では当初、定重量パックで10個入り330円の定価販売を試みたが、現在はオープンプライスに移行している。しんたまごの購入層は「健康志向が強く、良いものを価値に見合った値段で買っていただける方々がヘビーユーザー。業務・加工関係の需要も堅調に推移している。しんたまごの品質やおいしさが高く評価され、有名洋菓子店や惣菜メーカーからの指名買いも増えている」と同氏は話す。さらに同社では、昨年6月の株式会社化に伴い、しんたまごの赤玉バージョン『紅(くれない)』を西日本地区で、『九州育ち』を九州地区で新発売した。同氏は「より積極的に商品・価格政策を見直すことで、しんたまごを指名買いしてくれる新たなヘビーユーザーを開拓するのが狙い」と説明する。




2006年9月25日号

◎青森県八戸市/(有)宮崎養鶏場
食のプロが選んだ『天然カロチン卵β』
美味しい卵の理由は、自家配合にあった


 厳選した飼料原料と配合設計のノウハウを活かし、昭和四十三年の創業時から一貫して「新鮮・安心・美味しいたまご」をモットーに、北東北の地で鶏卵生産事業に取り組んできた?宮崎養鶏場(本社八戸市、宮崎昌悦社長)。同社は三年前に、イスラエルの塩水湖に育つ微細藻類「ドナリエラ」由来の9-シス型β-カロチンを、普通卵の15倍、DHA、α-リノレン酸を2.5倍含有する特殊卵『天然カロチン卵β』を開発、商品化した。
 「ドナリエラ」の持つβ-カロチンはビタミンAの前駆体で、抗酸化作用、免疫活性に役立つといわれる。β-カロチンには天然の9-シス型と合成のオールトランス型の二種類があるが、宮崎養鶏場では、吸収が良く、β-カロチンの効果が出やすい性質を持つといわれる天然の9-シス型を『天然カロチン卵β』に採用した。


 『天然カロチン卵β』の開発以前は、鶏卵販売のほとんどが問屋卸で、地場販売の経験はゼロに等しかった。「これからは地元に根ざした直販部門を」と考えた宮崎社長は、グループ会社(青新産業(株))の健康食品部門が製造元の?日健総本社を通じて取り扱う、抗ガン作用や生活習慣病に効果があるとされる健康食品「ドナリエラ」に注目。原料自体があまりにも高く、採算が合わないと一旦は断念したが、鶏への給与試験や成分分析を重ね、6個300円(税別)の特殊卵として販売に踏み切った。
 『天然カロチン卵β』の主な販売先は、日健総本社の健康食品を取り扱う全国の販売代理店数百社のほか、地元スーパーや割烹料理店、洋菓子店、首都圏の大手百貨店、量販店など。東京の有名中華レストランや大阪の日本料理店などでも使われるなど、プロの料理人からも高く評価されている。
 同社の宮崎倫道営業部長は「当面の目標は3倍増。焦らず着実に、右肩上がりの成長を持続していきたい」と話している。



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