2008年12月25日号
◎京都食品(株)(京都府亀岡市)
「丹波篠山」名産の黒大豆を飼料に添加
京都の奥座敷・亀岡発の『くろ丹波』―
愛宕山を望む、自然豊かな京都府亀岡市で50年にわたり養鶏業を営んできた京都食品(株)(中澤伸広社長)。同社は京都・洛西から山陰街道老ノ坂峠を越えた「京都の奥座敷・亀岡」の澄んだ空気ときれいな水の自然に恵まれた環境にあり、その豊かな自然環境の中、30数万羽の採卵鶏を飼養している。丹波黒大豆を飼料に添加した『くろ丹波』をはじめ、『亀岡発、丹波の赤たまご』『丹の国平飼いたまご』など数々の安全で新鮮な卵を市場へ供給している。
一昨年の10月に販売開始した『くろ丹波』のコンセプトは“地産地消”。栄養強化などの付加価値ではなく、京都食品でしかできないことを追求した結果、地元「丹波篠山」名産の黒大豆を飼料に添加するという付加価値にたどり着いたという。
中澤社長は「弊社ならではの卵というテーマで新商品を考えている時に、大豆由来の納豆菌を飼料に添加すると卵にまろやかさが出るという話を聞いた。また、豚の飼料にきな粉を出荷2週間前に給餌すると脂身が甘く、やわらかくなると聞き、これは卵にも応用できるのではないかと考え、地元名産の黒大豆を飼料に添加した。その結果、臭みがなく、後味のよい卵が出来上がった。本来、高級品である黒大豆を採算のとれる価格での仕入れルートが確保できた。関係者の方にはとても感謝している」と開発当時を振り返る。
また、直売場では『黒豆たまご』という名称で販売しており、こちらも非常に好評のようだ。
直売場では当初、2L等の格外卵を中心に「農場直売の赤たまご」という形で販売をしていたが、黒豆たまごを始めてからはこだわりを持った卵であることを前面に打ち出して販売している。消費者の評判も上々で「臭みがなくあっさりして甘味が分かる卵」との評価を受け、売り上げも順調に伸びているようだ。
『くろ丹波』の現在の生産量は、羽数ベースで約2万羽。生産拡大も視野に入れているというが、原料の黒大豆は収穫が年に1度で、大量入手が難しい。安定した飼料原料の確保も生産量を増やす上では解決していかなくてはならない課題だという。
今後の事業展開について中澤社長は「地域の特色をさらにアピールしていく方針だ。今後は直売商品に限らず“丹波”という名称をどんどん使っていこうと考えている」と話す。
|