2009年12月25日号
◎和食のたまご本舗(株)
醤油に合う、卵かけご飯に最も適した味を
決め手は光合成細菌と17種類以上の副原料
インターネットで偶然見つけた「和食のたまご本舗」のホームページに惹きつけられた。和食≠フコンセプトを明確に打ち出し、一般消費者やプロユーザー向けに会社の履歴や基本理念、ブランド開発の経緯、卵かけご飯へのこだわりなどを独自の視点からわかりやすく紹介。鶏卵業界の数あるホームページの中ではかなりレベルが高く、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌など一般メディアへの登場頻度も高いようである。
店主のブログのタイトルには「醤油と卵の探究をする鬼」とある。どんな鬼社長なのかと興味津津、取材を申し込んだところ、久間社長から直々に快諾の返事があり、当日は宿泊先のホテルまでわざわざ迎えに来ていただいた。直営農場へと向かう車中、いきなり「交通事故でここ(頭部)に穴が開きまして」と言われたのには驚いたが、相当の変人奇人では…との勝手な思い込みとは裏腹に、ご本人は物腰の柔らかい,ソフトな若手経営者の印象であった。
もちろん、卵と醤油に寄せる思いは人一倍強く、とりわけ醤油に対する造詣の深さと探求心は並大抵ではない。某週刊誌から「お取り寄せしたい、おいしい醤油ベストテン」のコメント取材を受けるほど、その道に精通している。「卵ではなく醤油でコメントを求められるところが私らしい。実際、卵より醤油の方が詳しいかもしれない。ラジオの公開放送に出た時も本業の卵についてはほとんど喋らずに、醤油のことばかり喋っていた」と久間社長は笑う。
和食のたまご本舗(株)は今から43年前の1966年、先代の父親が久間飼料店として創業。2009年10月1日、4年前から併記していた企業ブランド「和食のたまご本舗」に社名変更したばかりである。
主力ブランドである『和食のたまご』の基本コンセプトは、久間社長のこだわりを文字通り体現した「醤油(和食)に合う卵」だが、商品開発そのものは1993年、鶏の健康を増進し、飼育環境を改善する光合成細菌との出会いから始まった。この光合成細菌を人為的にコントロールできれば地球環境問題さえも解決可能といわれ、養鶏への応用では、(1)産卵量の増加(2)疾病予防(3)悪臭・ハエの発生低減(4)卵質改善などに加え、アミノ酸を豊富に含む光合成細菌によって卵本来のコクとおいしさを引き出すことに成功している。
6年前に経営を引き継いでからは「卵かけご飯専用の日本一の卵を作りたい」と、トウモロコシを主成分とした飼料に加える副原料の研究を繰り返し、『和食のたまご』は日々進化を遂げた。飼料には地元の八女茶、ニンニク、ヨモギ、唐辛子、竹炭、木酢液など17種類以上の副原料を配合。鶏が飲む水には、御影石を液化して抽出したミネラル液を添加している。今回の社名変更に当たっては「副原料をさらに見直し、今までの後味のあっさり感から、中間時のコク味をより立体的に、より高品質に進化させた」という。
『和食のたまご』は現在、九州北部4県の中堅スーパー、生協、病院給食やホテル・レストラン、洋菓子店などに納入。地元のレストランチェーン「パスタの王様」は看板メニューの卵かけパスタに『和食のたまご』をいち早く採用したほか、広島の卵かけご飯専門店「たま一」でもそのおいしさが人気を博している。
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