2012年2月25日号
◎鎌田養鶏(株)
アニマルウエルフェア対応の日本の先駆け
エンリッチドケージから生まれる「養生卵」
普通卵よりもビタミンEを約12倍、ビタミンDを約5倍高めて、機能とおいしさを両立させた「養生卵」。可食部100グラム当たりの比較ではタンパク質が0.3グラム多い一方で、エネルギーはマイナス14カロリー、脂質はマイナス1.2グラムと、機能性は折り紙つき。飼料に天然パプリカを混ぜ卵黄を山吹色にして、見た目にも鮮やかだ。
その養生卵の生産を手掛ける鎌田養鶏(株)では、これまでも鶏の健康に配慮した飼養法「薄飼い」を取り入れていたが、昨年からはアニマルウェルフェア(AW)の動きを先取りし、日本で初めてビッグダッチマン社製のエンリッチドケージを5棟(1棟7200羽。計3万6000羽)で導入した。
「欧州から始まったAWは米国にも広がり、今や時代の要請になっている。日本も今は立ち遅れているが、いずれは対応せざるを得ないだろう」という立川正好社長は、従来から「卵の真の品質とは、その卵を産む健康な鶏を飼育することから生まれる」を信念に、飼養環境を整備してきた。
エンリッチドケージの導入については「鶏が今までよりもさらに元気で健康になったお陰で、採卵期間が長くなった。そのため入れ替えサイクルが2カ月も長くなってランニングコストが軽減した」と、思わぬ効果に目を見張ったという。
さらに「鶏の健康のためにもいいし、卵のためにも当然いい。今後も積極的に取り組んでいきたい」と、年内には農場内の残る2棟もエンリッチドケージに切り替えていく方針だ。
大手がやらないことを
Мサイズ6個170円、10個280円の直売所価格は決して安いとはいえないが、それでも直売所の「たまご畑」には毎日100人前後の客が訪れる。
養生卵を使用した和風たまごロールやはちみつロール、プリンなどのほか、卵かけご飯用のトッピングや玉子焼きの素など、品揃えも多種多様。取材時には若い女性客が卵を2倍使ったプレミアムバニラアイスを購入していた。
しかし、やはり主力の売れ筋は生卵。フリーサイズ2.5キログラム入り1100円(かご付き)が最も売れているという。このかごの中にビタミンやエネルギー、タンパク質、脂質などの成績表を1枚ずつ入れて、消費者に機能と安全性を紹介している。
「犬好きが高じて」と直売所の敷地内にドッグランも設置(冬季は閉鎖)。「犬を遊ばせながらケーキを食べるお客様にも好評」だという。
また、日本の消費者にはまだまだなじみの薄いAWについても、店内にわかり易いポスターを掲げて理解を求めるなど、啓蒙活動も行っている。
農場で発生した鶏ふんを高い技術力で特殊肥料に加工して販売するなど、先進的な取り組みを続ける鎌田養鶏。立川社長は「今後も大手がやらないこと、できないことをやっていく」と話している。
|