埼玉県滑川町で母豚100頭の一貫経営を行うキトンファーム山下の山下武さん。母豚は30年ほど前からハイポー種豚を使い続けており、現在はハイポーのGPを導入しPSを自家生産している。
体重40㎏以降はすべて食品残さを使ったエコフィードのみを豚に与えながら、肉質、脂質、味とも非常に高く評価されるブランド豚肉「キトンポーク」を生産している。山下さんは20年以上も前から食品残さを豚に与えており、現在はうどんやパン、ラーメン、学校給食など運び込まれてくる。食品残さは多種多様で、乾燥したものだけでなく水分の多いものもあり、それらをみのり産業(有)の「菌体飼肥料製造機」で1時間ほど加熱殺菌。(リキッド状態ではなく)半練状態にし、乳酸菌を入れ一晩置いた上で、500㎏入りのプロパンガスのガスボンベを半分に切り作った飼槽にショベルローダーで直接投入し、豚に与えている。さらに、ミネラル豊富な完全熟成天然塩の「ミネラル還元塩」を毎日飼料に混ぜて与えている。
「キトンポーク」のブランド名は、20年ほど前から添加しているキトサンに由来する。かつてはそのキトサン販売会社の店舗を通じて「キトンポーク」を販売していたが、平成13年10月26日には商標登録も完了し、現在は自ら宅配や直売所などで販売している。
「宅配や直売所で販売するようになると、間近にお客さんがいることもあって、ますます自分の豚肉の質や味に神経を使うようになり、餌の調整も慎重に行うようになりました」と山下さんはさらなる高品質化を目指している。
「キトンポーク」に驚かされるのはまず、見事なサシ。モモにまでロースと変わらないほどの見事なサシが入り、通常、モモはロースの半値になるところだが、実際直売所で売られている値段はロースが100g300円に対してモモが215円と3割安程度で売れている。脂肪は淡いピンク色で、非常にきめが細かい。語弊があるかもしれないが、エコフィードだけで仕上げた肉とはまったく思えないほどだ。
群馬県安中市鷺宮で母豚500頭の養豚経営を行う(有)西群馬ファーム(高瀬淳一社長)。母豚はすべて(有)萱農場(岩手県一関市、勝部昌平社長)の「かやの種豚」で、GPを導入し自家育成を行っている。
西群馬ファームの創業は昭和47年で、高瀬淳一社長の父、渡さんが始め、現在の従業員数は高瀬社長を含め8人。そして、「かやの種豚」の導入は20年以上前にさかのぼり、今もなお「かやの種豚」を使っている。
もともとその能力の高さを高く買い、継続的に「かやの種豚」を導入し続け、「豚によって給餌量なども違ってきます。他の豚を併用すると管理が中途半端になります」と農場管理の指揮を執る場長の佐々木久さん。佐々木場長は養豚の飼養管理などに長年の経験を持ち、13年前に西群馬ファームに迎えられた。
「豚の能力を引き出せるように飼うことが重要で、何頭産むかではなく、何頭出荷するかということが大事です」と、佐々木場長は給餌量などに重きを置いている。
特に重視しているのが、妊豚舎での給餌。「普通のボディコンを揃えるという形での給餌量の調整ですが、それだけではなかなか思い通りにはいきません。分娩舎での母豚の食下量や子豚の状態、離乳してからの発情再帰日数などを十分に頭に入れ、妊豚舎での給餌を行うことにしています」
離乳から妊娠鑑定まで約1カ月間で、それ以降はボディコンをチェックして、妊豚舎に移動し、そこでは平均2.4㎏程度の給餌を行う。離乳した時点で成績を確認し、生時体重の小さい豚については分娩2週間前に2.8㎏ぐらいにし、また15頭、16頭産む豚についても常に2.7㎏、2.8㎏程度に増量する。
現在、総産子数は13頭程度で、年間離乳頭数は25頭程度。発情再帰日数は年間平均で5日ほどだという。
さらに佐々木場長が繁殖管理で気を遣うのが分娩回転率。西群馬ファームの育成母豚は9カ月齢以上を目標としていることもあり、初産でも食下量が1日1㎏以上多く、発情も順調に来るというが、佐々木場長は常に担当者に豚を見る目を養ってほしいと、豚の変化などしっかり観察して、「感じろ」と従業員の意識づけに腐心している。
出荷先は、(株)群馬県食肉卸売市場。伊藤ハムと日格協の規格を基準にして相対取引を行っており、年間1本価格で取引をしている。伊藤ハムを通じて「もて豚」のブランド名で、飲食店などにも供給されており、高瀬社長も出資し出店した東京・茅場町の豚カツ専門店「とことん「勝家(かつや)」は、非常に評判の高いお店の一つとなっている。
「養豚の管理は日々の積み重ねが大事で、その積み重ねが肉質などにも反映され、伊藤ハムさんも評価してくれています。『かやの種豚』そのものの能力も高くなっていて、さらにその能力が引き出せると思っています」と高瀬社長は話す。
国産農産物をテーマとした全国規模の展示商談会「アグリフードEXPO2013」が8月22日、23日の2日間にわたり、東京・有明の東京ビッグサイトで開催された。今回も、全国の野菜、畜産物などの生産者や加工食品を製造する食品企業など647社が出展。北は北海道から南は沖縄まで、全国各地からこだわりの製品が3000品目以上並び、減農薬・無農薬・有機栽培など、安心・安全にこだわった農産物や、その加工品、産地の特産品やご当地グルメなどが地域ならではの特色を生かした製品も多く、また注目を集めている機能性食材、近年需要が急増しているおひとり様用商材や、簡単便利な“簡便”商品、時短料理に役立つ商材などといった国産商材も勢揃い。本誌関連においても味、安全・安心にこだわった全国各地のブランド豚肉や豚肉加工品が多く出展され、それぞれの優位性を流通業者や消費者にさらに力強くアピールした。特に今回は生産者自ら食肉加工を行い直売するなどの豚肉の高付加価値化への取り組み、さらには農場HACCPの認証取得農場であることをPRする出展も増えた。
・本誌紹介ブース
北海道ホエイ豚協議会(北海道)/ポークランドグループ(秋田県)/(株)アーク(岩手県)/(有)敬友農場(山形県)/(有)伊豆沼農産(宮城県)/(株)ファームネットジャパン(サンライズファーム、千葉県)/JAかとり東庄SPF豚研究会(千葉県)/伊藤忠飼料(株)(東京都ほか)/栄進フーズグループ(千葉県)/マーガレットポーク研究会(千葉県)/(有)ジェリーンビーンズ(千葉県)/旭食肉協同組合(千葉県)/全国地養豚協会(茨城県ほか)/(株)ニチレイフレッシュ(東京都ほか)/古代豚(C) 白石農場(埼玉県)/(有)長島養豚(埼玉県)/(株)ヒラノ(栃木県・千葉県)/(株)フリーデン(神奈川県ほか)/富士農場サービスグループ(静岡県)/(株)サンショク(三重県)/(有)ディブロ(島根県)/林兼産業(株)(山口県)/ばあちゃん本舗(宮崎県)/(有)協同ファーム(宮崎県/(有)ふくどめ小牧場(鹿児島)/(有)大成畜産(鹿児島)
「ヤマトポーク」は、同じく奈良産の大和牛、大和肉鶏、大和なでしこ卵とともに、消費拡大に取り組む「大和畜産ブランド」として、地元消費者を中心に好評を博している。
現在は奈良県内の養豚生産農家5戸で生産されており、年間出荷頭数は3300頭前後。赤身の色は濃く、甘味の強い脂身が特徴で、獣臭が非常に少ない。そのため肉が苦手な女性や子どもでも食べやすく、特にしゃぶしゃぶでの調理が人気を呼んでいる。品種はLWまたはWLにDを掛けた三元交配で、種雄豚、肥育期の飼料を揃えることで品質の安定を図っている。
平成20年2月に立ち上げられたヤマトポーク推進協議会には、生産者、流通販売に係わる関係者・関係団体に加え県も参画。協議会の発足とともに、ヤマトポークの認定要件を決定し、消費拡大に向けPRを開始。販売店にはヤマトポーク指定販売店であることを証明する木製の楯やのぼり、ポスターといった販促物の設置、また推進協議会のウェブサイトも開設され、販売店のリストや豚の品種、生産者に関する情報、協議会の活動といった情報を公開している。
五條市で母豚140頭の一貫経営を続ける桝本養豚場。同農場の代表であり、奈良県養豚農業協同組合の代表理事組合長を務める桝本辰男氏は、ヤマトポーク誕生時から生産者の代表として関わってきた。
疾病のリスクを考え、種豚はAIでの自家更新。精液は雌系・雄系ともに奈良県畜産技術センターを通して供給される。雄系は現在、家畜改良センター宮崎牧場からD系統「ユメサクラ」の精液を導入。また、ヤマトポーク専用の肉豚用飼料「ヤマトポーク1300」は、中部飼料(株)で特別配合されたものだ。
農場のすぐそばには、ヤマトポーク誕生以前から続けているもので、同農場産豚肉の直売所も設けられている。桝本氏は「県の北部や大阪から買いに来てくれる人もいる。いつでも品が揃っているわけではないので、最近は注文の電話を受けて対応している。実際に肉を口にする人と話もできるし、肉に対する要望も聞くことができるのはありがたい」と笑顔を見せる。
一方奈良県では、宇陀市の「うだ・アニマルパーク」で農畜産フェアを開催、大和畜産ブランドの肉や卵の試食・販売を企画するとともに、昨年は、おいしさや値段などに関する消費者ニーズのアンケート調査を行った。結果、畜産物の安全・安心といった流通面・品質面に高い関心を持たれていることがわかったという。担当者は「単純に味の良さといった点だけでなく、安全面でのニーズが高いことは非常に参考になりました。生産者の顔が見え、農場の取り組みの様子などをPRすることで、安心につなげたいと考えています」としている。
誕生から5年が経過したヤマトポークであるが、現在も取り扱いを希望する問い合わせが続くなど、流通ニーズは高まりを見せている。また、大和畜産ブランドのPRと併せ販売店マップを各販売店で配布するなど、地元消費者への宣伝も継続中だ。
グローバルピッグファーム(株)(GPF、本社・群馬県渋川市、木村幸雄社長)は6月28日、取引先やグループ農場の経営者・後継者ら320名を招き、新潟市のANA クラウンプラザホテル新潟で創立30周年記念式典を盛大に開催した。
「和豚もち豚」のブランドでお馴染みのGPFは現在、国内に77のグループ農場を有し、年間52万頭を出荷する。木村社長は、「30周年を祝う会場を新潟に選んだのは、新潟の地で新しい風を起こし、新しい事業を展開するからである」と昨年、新潟県新発田市に「しばたパッカーズ(株)」を設立したのを機に本格的にと畜・食肉流通事業に乗り出すことに改めて意欲を示した。木村社長は「GPFは現在77農場、年間の出荷頭数は52万頭となり、『和豚もち豚』の生産をはじめ、生産管理や財務管理など業界の最先端のノウハウを提供してきたと自負している。また獣医が農場をコンサルタントする獣医ラボラトリーズ、『和豚もち豚』の精液と手づくりハムを販売するハム工房、西日本の種豚基地として『明智ジェネティックス』を設立し、さらに福島での直営農場の建設、酒田市に自社の流通を行うための事業所を設置し、30年間活発に活動してきた。しかし、一昨年3月11日の東日本大震災では想定外の被害に見舞われ、特に福島の直営農場は計画的避難地域に指定され、1500頭すべての母豚を移動する事態となった。震災前には1500頭いた母豚が昨年は900頭、今年は移動先の農場の合理化のために600頭まで減少した。しかし新たな農場建設候補地の目途もつき、今まで以上に生産が期待される状況もある。
今後、養豚の6次産業化、肉豚の生産だけでなく、と畜、加工、流通まで一貫して行うポークチェーンを確立させる。そのことこそが目指してきた目標。豚肉の生産では全国シェア3%になるが、その豚肉をどのように加工し、どのように流通させていくか、その大きなテーマを実現させるため、新発田市に『しばたパッカーズ』を設立した。と場、パッキングプラント、加工、流通に至る拠点をこの地に造り、GPFの営業戦略の拠点として大いに力を入れていきたい」「本日この会場に43名の後継者が来ている。養豚を取り巻く情勢は大きく変わろうとしており、ニューリーダーの方々が新しい時代に新しい風を起こし養豚業界の先駆けとなって活躍することを期待している」と力強くあいさつ。
赤地会長は30年を振り返り、「月日の経つのは早いもので、ついこの間20周年を終えたと思ったら、もう30周年。養豚業界を取り巻く環境は決して良くないが、我々のグループの農場はキャッシュフロー的には問題のないところがほとんど。今後10年間はもっと大変な時代になるだろうが、仲間が同じ方向に向かって突き進む、そして関係者に協力をしてもらいながらやっていけると信じている」と後継者の今後の活躍に大きな期待を寄せた。
(株)高座豚手造りハム(志澤菜穂子社長、本店:神奈川県綾瀬市)は6月28日、小田急ホテルセンチュリー相模大野で創立30周年記念祝賀パーティーを開催した。
冒頭、志澤勝代表取締役会長は挨拶に立ち、農家から専業、そして企業へと形を変えて進化し続けてきた歴史を振り返り、高座豚が地域に定着するまでの思い出を語った。また「我々は創業時に約束事を三つした。県の名産品として揺るぎないものをつくっていこう、そして、混ざり物のない純粋なポークソーセージとハムをつくろう、そして今後、都市化になった時に畜産のあるいは養豚のことをちゃんとわかるような、バックグラウンドづくりをしよう、ということを掲げて30年過ぎた。混ざり物のないおいしい商品で、将来に悔いの残らないような名産品をつくっていこう、ということで現在に至った。そして、消費者の生の声を聞かせてもらって、その生の声を製品に転嫁でき、ちゃんとそれを発表できるようにしていこうということを続けてきた」とし、これまでに高座豚手造りハムを応援し続けた関係者らに感謝の意を示した。
また、4月1日より高座豚手造りハムを引き継ぎ、新社長に就任した志澤菜穂子社長も挨拶に立ち、「私には夢があります。それはこれから10年先も、20年先も、100年先も高座豚がずっと皆様に食べていただけること。そして、日本のこの素晴らしい養豚が無くならないことです」と話し、養豚を取り巻くTPPや食料自給率の問題についてもふれた後、高座豚手造りハムの掲げる三つのコンセプトについて改めて説明した。
「私どもの三つのコンセプトの中に、本物造りに徹するというところがある。私たちは、安心で安全な食品を皆様にご提供していきたいと思っている。安全・安心というのはもちろん精肉から、添加物、スパイスなどすべてにおいて、安心で安全におけるものでないとご提供できないと思っている。私ども高座豚手造りハムはちょうど30年前に、志の高い神奈川県内の8名の養豚家によって作られた。都市型養豚のバックグラウンドになりたいということで、美味しい豚肉を作るためには近くに養豚場がなければだめなんだよということを発信できないかという想いでいる。できれば、養豚とお客様、そして日本の農業の下支えになりたいと思っております」と述べ、会場内は拍手で包まれた。
会場内では「30年の歩みと未来へのビジョン」として、同社の30年の歩みが映像で紹介され、高座豚手造りハムが掲げる三つの目標についても示された。
2013年4月10日に開催された中央環境審議会水環境部会において、水質汚濁防止法に基づく硝酸性窒素などの排水基準の見直し案が環境省より報告され了承された。これにより国内の畜産農家などに対する硝酸性窒素等の暫定排出基準が700㎎/Lに引き下げられ、7月1日から施行される。さらに、内湾に河川等を通じて排水が流入する地域にある畜産農家においては、窒素とリンの暫定基準値がそれぞれ、190㎎/Lから170㎎/L、30㎎/L から25㎎/Lに引き下げられ7月上旬に改正省令が公布、10月1日に施行される。
すでに多くの畜産農家が一般排水基準もクリアしており、今回の改正もあくまで「暫定」であり、硝酸性窒素の暫定基準値も700㎎/Lではなく、一般排水基準の100㎎/Lになるという噂もあった。しかしそれは決して噂ではなく、環境省サイドでは100㎎/Lをクリアして当然のごとく考えている。
本誌編集部は国内のA養豚場を訪問し、ある試験に同行することにした。その養豚場は母豚180頭の一貫経営で、汚水処理についてはまず、16平方メートル容量の汚水槽には汚水約4トンと約8平方メートルの水を投入し、曝気槽で3時間ほどばっ気を行った後、沈殿槽に移して上澄みを排水。残った汚泥はばっ気槽にもどして再びばっ気を行うという方法をとっている。2週に1回程度、汚泥を除去し、汚泥は縦型の強制発酵機に投入し固形分と同様に発酵処理を行っている。
今回の試験は、バイオマテリアル工業(株)のカルシウムをベースにした粉末を用い、凝集効果とリン酸の除去効果を見ることにした。
まずは、ばっ気槽で1時間ほどばっ気した汚水をビンに採り、そこにカルシウムベースの粉末を添加。すると、あっというまにフロック形成が始まり沈降。正確さを期すため、リンの除去試験は農場で採取した汚水を持ち帰り室内で行うことにし、汚水を10倍希釈してカルシウムベースの粉末を添加し、水質簡易測定器を用いて上澄み液のリン酸濃度を10分後、30分後、一夜(16時間)後ごとに観察した。
その結果、汚水のリン酸濃度は10倍希釈液の結果から1000㎎/L以上と推定され、10分後には20㎎/L、30分後には5㎎/L程度と時間の経過とともに確実にリン酸濃度は低下している。一夜(16時間)後には、リン酸濃度が2㎎/L程度になり、下部には凝集沈殿した汚泥も見られ、汚泥の凝集性は顕著に改善し、結果として上澄液の濁度も落ち透明度が上がった。
まだまだ試験段階だが、カルシウムをベースにしたこの資材で凝集された汚泥は通常の凝集剤で凝集されたものよりも堆肥化発酵が速くなることも期待でき、比較的低コストで簡易な汚水処理資材として大いに期待できそうだ。
環境関連資材の一大イベント「2013NEW環境展」が5月21日~24日、東京・有明の東京ビッグサイトで開催された。今回で22回目となる同展示会は、持続可能な循環型社会の構築に向け、環境汚染問題や地球温暖化問題の解決は避けて通れない課題と、環境対策にとり最重要の取り組みとされる資源有効利用や多様な新エネルギーの活用など、各種課題に対応するさまざまな環境技術・サービスを一同に展示、情報発信ならびに環境保全への啓発を目的として開催。今年は「環境ビジネスの展開」をテーマに、出展規模は廃棄物処理、リサイクル、環境保全などにかかわる企業など605社・2063小間で前回、前々回を上回る規模となった。
本誌関連では、みのり産業(有)が食品残さの飼料化(エコフィード)で長年の実績を持つ強力発酵菌「ミノラーゼ」と菌体飼肥料製造機(300㎏、500㎏、1トンタイプなど)、(株)岡田製作所が堆肥化発酵処理システムを中心とする環境管理システム、(株)天神製作所が有機性廃棄物の発酵攪拌機とバイオマス燃料の乾燥設備、共立製薬(株)が化学反応型消臭剤「エポリオン」、(株)源麹研究所が麹菌を使用した食品残さの飼料化と高品質豚肉の生産システムを紹介した。
会期中は、「緊急企画:国土強靭化・防災減災ニューディールコーナー」や「放射性物質・分析・除染技術コーナー」などといった関心の高い事例に関する特設コーナーも設けられた他、東京ビッグサイト会議棟において、廃棄物・リサイクルをめぐる最新動向を踏まえた小型家電、食品プラスチックなど21のテーマと、NPO廃棄物教育センターとの共催検定&セミナーといった記念セミナーも行われた。
「ifia JAPAN 2013(第18回国際食品素材/添加物展・会議)/ HFE JAPAN 2013 (第11回ヘルスフードエキスポ)」が5月15~17日の3日間、東京・有明の東京ビッグサイトで開催された。
ifiaゾーンでは、味の提案&スープトライアル、受託(OEM・ODM)ゾーン、産学連携ゾーンの他、食の安全をいかに確保し、それを評価していくか、また安全、おいしさ、健康をどのように証明するかといったことを輸入食品の現状も踏まえながら科学的に解決する製品・サービスを特集した「食の安全・科学ゾーン」では、微生物検査、放射性物質検査、遺伝子検査(組み替え食品検出など)、食品/栄養成分分析装置、受託検査機関、サニテーション、フレーバー・カビ毒・農薬などの機器分析、おいしさ測定センサー、アレルギー対策/異物混入対策、健康機能の評価技術、衛生管理システムなどにかかわる39企業・団体が出展した。
食の安心・安全といった問題は生産・流通・消費の立場からも関心が高く、食品メーカーや食品素材・添加物メーカーらだけでなく、製造関連技術者、研究開発者、生産担当者、行政機関、分析検査機関など幅広い分野からの関係者が多く訪れた。その一部を紹介する。
愛知県三河地区の養豚生産農家6戸と、関連事業者4社が正会員として参加する三河トコ豚極め隊(鈴木美仁隊長)は3月24日、第1回となる「三河トコトン豚祭り~豚とふれ合い、豚を学んで、豚を味わう~」を開催した。
この催しは、三河地方が全国有数の養豚生産地であることを地元消費者にPRするとともに、「豚と触れ合い楽しんで、豚について体験しながら知ってもらう」ことを目的に開かれたもの。当日は愛知県豊橋市・未来科学館ココニコの広場や施設を利用し、同隊員が生産した豚肉を元に作られた生ハムの試食や、子豚との触れ合いコーナー、枝肉の解体ショーや親子参加でのソーセージ作り体験(ともに隊員が生産した豚肉を使用)、生産から食卓に並ぶまでの一連の流れを詳細に記録したビデオ上映、隊員の生産する銘柄豚を使った餃子やフランクフルトなどの販売店舗の出店――と幅広い取り組みがなされ、近隣の消費者を中心に賑わいを見せた。
今回のイベント開催は、同隊にとって初めての取り組み。開場から間もなく、すぐさま行列ができる人気を呼んだのは生ハムの試食コーナー。愛知県豊根村の廃校で熟成されたもので、コクのある風味が特徴だ。
枝肉の解体ショーでは、加工業者が素早い手つきで解体を披露するとともに、肉の部位の名前や食感などの特徴を説明したほか、解体された肉はバーベキュー用として参加者に配られた。またソーセージ作り体験では、参加者らは用意されたさまざまなスパイスを手にオリジナルの味のソーセージ作りを楽しんだ。
子豚との触れ合いコーナーでは、生後5日、6週齢の子豚に触れたりミルクをあげる体験ができ、子どもたちにも大人気。参加者からは「普段見ることができないので嬉しい。小さくてかわいい」「たった1カ月でここまで大きくなることに驚いた」といった声が聞かれた。
館内で上映されたビデオは、この日のために撮影・編集されたもので、交配、出産から始まり生産農場の紹介、と畜され肉になるまでの流れを紹介した。
極め隊の事務局を務める(有)環境テクシスの高橋慶氏は「食を通じた地域貢献として、所属するそれぞれの会社単独の活動はあったが、極め隊として一丸となって大きな動きをしていきたいと考え準備をしてきた。消費者に関心を持ってもらうきっかけになれば嬉しい」、また鳥市精肉店の市川勝丸氏は「食育を通じて町の食文化の活性化を目指していきたい。命の尊さをおいしさに代え、消費者の皆様においしい肉をお届けしたい」と話している。
岐阜県養豚協会(水野良則会長)は2月23日、「第5回地産地消運動~安全・安心・新鮮を追求して 岐阜県産ポークの集い~」を、東海学院大学短期大学部給食経営管理実習室で開催した。
この取り組みは、岐阜県産豚肉の消費拡大、地産地消を進めるため、岐阜県養豚協会では一般消費者を中心とし、畜産関係者、精肉販売店等流通関係者を対象に、岐阜県産豚肉の新しく、おいしいメニューを紹介し、普及拡大を図るとともに、養豚について理解を深めてもらうことを目的として、毎年開催されているもの。今回は銘柄豚を材料に用いた料理体験教室として、親子ペアの一般消費者26組・52名をはじめ、生産者、関係者らが参加した。
開会あいさつとして、水野会長は「県内では、さまざまな銘柄豚が生産者それぞれの持ち味を生かして生産されている。この催しは皆さんに県内産豚肉を消費していただくために開催しているもの。親子で楽しんで、料理を作って食べていただければ幸いです」とあいさつ。続いて、昨年8月に行われた第64回岐阜県畜産共進会肉豚の部において、優秀賞をおさめた生産者への表彰式が行われた。優等賞1席には(有)カワセストックブリーディング、2席には森岡養豚、3席に(有)アベピッグファーム、4席に(有)ハシエダ養豚がそれぞれ選ばれ、代表としてハシエダ養豚が賞状を受け取った。併せて、川瀬氏が平成24年度飛騨美濃特産名人の認定を受けたことも報告された。
調理実習では、会場である東海学院大学で講師を務める大西周氏、長井佳代氏が講師を務め、豚ロースの金平巻き、豚もも肉細切りとピーマンの炒め物、豚肉と春雨のスープの3品を調理。材料には、カワセストックブリーディングで生産された豚のロース肉、モモ肉をはじめ、県内で生産された食材が多く用意された。はじめに講師の実演を観ながら、参加者は熱心にメモをとるなど準備万端。子ども達が中心となって調理を楽しんだ。
試食時には、参加した生産農家らも一緒にテーブルにつき、食事を楽しみながら消費者との交流を深めた。消費者からは、「豚の生産はどのようにやっているのか」「どこの店で買えるのか」といった質問があったという。水野会長は「今までの取り組みでは、ホテルのシェフに調理してもらった料理の試食を行っていたが、豚肉そのものの味や食材としての魅力を十分に知ってもらうには難しい部分もあった。こうして実際に調理してもらうことで、我々の生産した豚肉が皆さんの食卓に上れば嬉しい」と話している。
東京食肉市場銘柄豚協会(数藤春夫会長)は2月13日、東京・品川区の東京食肉市場において、料理研究家・フードコーディネーターの平沢あや子さんを講師に招き、「銘柄豚お料理教室」を開催した。初めての開催となる、今回の料理教室には近隣に住む主婦らが参加し、「ボイルポークのイタリアンサラダ」「フライパンローストポーク」を調理。美味しい銘柄豚にふれ親しみながら、その味に舌鼓をうった。用意されたのは、茨城県・奥久慈の豊かな自然と水の恵みの中で厳重な衛生管理のもと丹誠込めてのびのびと育成され、豚特有の臭みがなく、肉本来の旨みと甘みを持った、白い脂肪質が特徴の極上の豚――(有)常陸牧場(茨城県大子町、生産者:矢吹和人氏)の「橅豚(ぶなぶた)」。
平沢さんによる料理のデモンストレーションの後、それぞれ数人ずつのグループに分かれて実際に調理を開始。ロース(肩ロース)の塊肉を使うローストポークは、難しそう、時間がかかりそうと敬遠されがちなメニューの一つだが、今回の「フライパンローストポーク」は、フライパンを使って簡単にできるとあって、参加した主婦からも「これなら食べたい時に手軽に味わえる」と好評だった。さらに茹でた豚肉(うすぎり肉)をドレッシングに混ぜ合わせ、レタスとスライスした玉ねぎ、レタスなどと和えていただく、「ボイルポークのイタリアンサラダ」も食卓に彩りを添える一品となった。会場では試食をしながら、日頃、消費者がお肉について疑問に思っていることや、良い豚肉の条件などといった情報を、専門家らに気軽に質問することもでき、見て・聞いて・味わってと3拍子揃ったイベントとなった。
料理教室を主催した東京食肉市場銘柄豚協会は、安全で高品質な銘柄豚を消費者へ安定して供給するため、昭和56年7月に発足。アジア一の規模を誇る、東京食肉市場において指定会員(生産者)が厳しい規格のもと生産した豚を、経験豊かな仲卸人がチェックすることで常に質の高い豚肉を提供している。また、年に1回開催される「東京食肉市場まつり」では銘柄豚を使ったトンカツなどの試食提供も行っており、銘柄豚の美味しさを消費者に伝え続けている。
昨年、会社設立40周年、アーク牧場開園20周年を迎えた(株)アークが1月18日、通算16回目となるチャリティポークショーを岩手県一関市内のホテルで開き、取引先や従業員ら約150人を招いた。
今回のチャリティポークショーでもエコ活動の一環として参加者に箸を持参してもらう「マイ箸」企画により全員が箸持参で参加。館ヶ森アーク牧場など同社グループで生産された「館ヶ森高原豚」や加工品、地場産の有機野菜などを便用した料理などが振る舞われるとともに、アークの若手従業員による趣向を凝らした余興、そしてメインイベントであるチャリティオークションで会場は大いに盛り上がった。
会社設立40周年、アーク牧場開園20周年という節目の年となった昨年、養豚事業部の農場再編計画、繁殖農場の農場新設工事の開始、そして養豚事業部、牧場事業部、養鶏部の3部門で農場HACCP認証取得に向けた本格的な取り組みを開始した。また牧場事業部では東京営業所を開設、館ヶ森ファームマーケットではワインセラーを新規オープンした。
開会のあいさつを述べた橋本晋栄社長は、「40年を経て、今後さらなる歴史を刻んでいくためには、自分たちがいかにお客様とコミュニケーションをとっていけるか追及していかねばならない。その中でブランディングを重点的に行うことが重要だと常々思っており、それは品質と信頼という二つのキーワードに整理できる。しかし、品質をしっかりしていても、必ずしも、信頼が自ずと積み重なっていくものではないことが、震災や原発問題、それによる風評被害により思い知らされた。決して品質にあぐらをかかず、お客様としっかりコミュニケーションをとっていくことこそが重要であり、そのために東京営業所の開設やホームページのリニューアルを行い、さらには当社のロゴマークも一新することを決めた」と今後さらに顧客とのコミュニケーションを重視していくことを強調した上で、新たな企業イメージとなる新ロゴマークを披露した。社長あいさつに続き、社内表彰式が行われ、同社取締役会長の橋本志津氏が昨年1年間で優秀な活躍をした社員に社長賞を授与。今回は、昨年1年間実施してきたHACCP活動の一環である5S活動のコンテストで最多得点を獲得した藤沢コマーシャル農場繁殖チームと、農場の景観管理を充実させた牧場事業部景観管理部の2部門の担当者に授与された。
パーティーではアークの従業員らによる趣向を凝らした余興などで会場は大いに盛り上がった。またチャリティオークションでは「館ヶ森高原豚」やそれを原料とした手づくりハム・ソーセージ、放し飼いで生産されている鶏卵「昔たまご」、地場産の有機野菜などがたくさん出品され、競り人の威勢の良い掛け声の中、次々と高値で落札され、オークションの益金は総額73万9000円に上り、全額「一関市藤沢町社会福祉協議会」と東日本大震災の遺児、孤児を支援するため「あしなが育英会」に寄付された。
平成24年11月10日、11日の2日間、東京・千代田区の日比谷公園で農林水産省、(財)日本農林漁業振興会共催による「平成24年度(第51回)農林水産祭『実りのフェスティバル』」が開催され、併催の「食と農林漁業の祭典」の一環として開催された「第3回ファーマーズ&キッズフェスタ2012」(ファーマーズ&キッズフェスタ実行委員会主催)に出展する形で、一般社団法人日本養豚協会(JPPA、志澤勝会長)青年部(阿部秀顕部会長)主催で通算6回目となる国産豚肉消費拡大イベント『俺たちの豚肉を食ってくれ!』(略称:俺豚)を開催し、訪れた大勢の家族連れなどに国産豚肉のしゃぶしゃぶなどを振る舞った。
今回、試食提供された豚肉は全国各地の12銘柄で、10日は北海道、埼玉県、千葉県、愛知県、鳥取県、宮崎県から合計90㎏、11日は青森県、愛知県、富山県、兵庫県、愛媛県、熊本県から合計120㎏。また、昨年の東日本大震災で被害を受けた岩手・宮城・福島の3県の養豚生産者が、 震災復興の願いとご支援いただいた方々への感謝の気持ちを込めて焼肉を無料提供した。
この他、JPPA恒例となった国産豚肉ソーセージを使用した特大ホットドッグの早食い競争(優勝賞品は国産豚肉2㎏か、5000円のハムギフトボックス)、ステージで豚の耳を着けて鳴き声の物まねをし、息継ぎをせず一番長く鳴き声をマネできた人が優勝するという「ぶたの鳴き声長さ大会」(優勝賞品は国産豚肉1㎏か3000円のハムギフトボックス)、養豚○×クイズ大会(優勝賞品は国産豚肉1㎏か、3000円のハムギフトボックス)などのイベントが行われた。
開会に当たりあいさつをした阿部秀顕さんは、「俺豚」の主旨などについて説明。「国産の美味しい豚肉を食べてもらうこと、養豚を知ってもらうこと、若い世代の養豚家が一所懸命に生産をしていること、そして震災復興」と今回の開催におけるポイントを4つ掲げ、「来場者に養豚業界の現状を伝えていきたい」と呼びかけた。
また、特設ステージでは自農場産のブランド豚肉のPRも行われ、その中でマーガレットポーク研究会の菅谷由昭さんは『マーガレットポーク』、(有)マルミファーム社長の稲吉克仁さんが『夢やまびこ豚』を紹介し、ブランド豚の生産に込めた思いを語った。
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