愛媛県(中村時広知事)は、県産農林水産物の認知度向上と販売拡大を目的とした「えひめカフェ2014」のキックオフイベントを11月5日、東京・丸の内のJPタワー「KITTE」の1階アトリウムで開催した。
イベントでは、上甲俊史副知事が県産農林水産物を力強くPRした後。レセプションでは、全国でも珍しい四元交配の地鶏で軍鶏の歯ごたえ、名古屋種の旨みなど4種の鶏の長所を合わせ持つ肉質が特徴の媛っこ地鶏と地元野菜の田舎煮や、希少価値の高い中ヨークシャー種を交配させた豚に県産裸麦を給与、ほどよくサシが入り、肉色が濃くジューシーで柔らかな赤身、低温で溶ける上質な脂身が特徴の愛媛甘とろ豚(えひめあまとろぶた)の冷しゃぶなども振る舞われた。
首都圏の消費者をターゲットに11月5日のキックオフイベントを皮切りに2015年3月31日までの5カ月間、丸の内周辺のレストラン、銀座、表参道、青山、渋谷の飲食店約50店舗で愛媛県産の旬の食材を使ったオリジナルメニューやドリンクが楽しめるほか、愛媛から届いたばかりの新鮮素材が並ぶ直販イベントが開催される。
食肉・花き市場まつり実行委員会、公益社団法人日本食肉市場卸売協会の主催による「食肉・花き市場まつり2014」が11月16日、名古屋市港区船見町・愛知名港花き地方卸売市場(名古屋市中央卸売市場南部市場北隣)で開催された。
このイベントは、平成25年度食肉情報等普及・啓発事業の一環として行われているもので、当日は天候にも恵まれ約5500名が来場。養豚関連では、消費者アンケートに答えることで愛知県産ブランド「みかわポーク」「みかわ牛」の焼肉無料試食ができる特設コーナーが設置され人気を呼んだ。
また、会場内に設置されたステージでは食育イベントとして「意外と知らないお肉の知識」と題した講演会が開かれ、JAあいち経済連が豚肉・牛肉の生産について、品種や飼料、トレーサビリティ制度などの取り組みについて紹介。また、講演内容を元にしたクイズ大会も開かれ、正解者上位8名には和牛肉や豚肉加工品詰め合わせなどの豪華商品が贈られた。また、ブースではJAみかわ経済連による「みかわポーク」ロース肉スライスや加工品などの割安販売が行われ、こちらも人気を呼んでいた。
合同会社西友が、アメリカ産豚肉「肩ロースブロック」と「ロース切身」の店頭販売価格をいずれもこれまでの100g 当たり107円を、10月10日から97 円に値下げした。商社を介して調達してきた豚肉を、西友の親会社である米ウォルマート・ストアーズ・インク(以下、ウォルマート)との一体・一貫管理により商社の仲介を省き、コスト削減が実現したことによる。全国の西友371店舗と、ネット販売「SEIYUドットコム(//www.the-seiyu.com/)」で扱う。
PED(豚流行性下痢)が日米で発生したことなどで、昨秋以降、長期にわたり国産豚肉および輸入豚肉の価格が高騰している中、EDLP(Every Day Low Price)を軸に低価格戦略を推進する西友が、顧客ニーズに応えるため、アメリカ産豚肉を直輸入することで毎日低価格にて提供することとした。
今年4月より「生鮮食品 満足保証プログラム」を実施している西友では、生鮮食品の調達、物流、店舗での各プロセスにおいて品質と鮮度の管理を徹底、継続的に価格対応も実施している。中でも、国内外からの直接調達について注力しており、アメリカ産牛肉の直接調達では、その高い品質と圧倒的低価格が顧客に支持され、今年 1~7月の売上は前年同期比 40%以上の大幅増となった。
値下げ対象となる「肩ロースブロック」と「ロース切身」の 2アイテムには、輸入商社を通さず、西友がアメリカの取引先(サプライヤー)から直接調達する新スキームを導入し、中間流通コストを抑えることで、販売価格の引き下げを実現。またウォルマートとすでに取引があり、ウォルマートが定期的に継続して厳しい監査と徹底した品質管理を実施しているサプライヤーと直接取引を行うことで、安心・安全な品質が担保された、日本の消費者の好みに合う商品を安定的に調達することが可能となる。
10月9日には都内で記者会見が行われ、西友商品本部生鮮食品部バイスプレジデント ゼネラル・マーチャンダイズ・マネジャーのエド・ロメロ氏が、「生鮮食品 満足保証プログラム」の柱である「調達・流通」、「店舗においての鮮度管理」、「お客様のご満足」についての進捗状況(表)とともに、新たなアメリカ産豚肉流通・販売について説明した。
愛知県東郷町に農場を構え、肥育農場を経営している(有)成和(成田幸治代表取締役)は、豊明市に2010年に自家製ハム・ソーセージ工房「WARM」(ヴァルム)をオープン。販売される加工品は成和で生産された豚肉「さんぽーく」のみを使用。肉の生産から加工・販売までを一貫して生産している。
農場を前にしてまず驚くのが、臭気の少なさ。敷地内に足を踏み入れても、獣臭を感じない。豚舎はセミウインドウレス構造だが、実際に建物に入らないと豚を飼育しているとはわからないほどだ。においの少なさについて成田社長は「特別なことは何もしていない。毎日豚舎を掃除するだけ」という。
品種はLWDで、子豚は体重50~60kgのものを、主に愛知県内の農場から導入している。導入頭数は月に300頭で、生産頭数は年間3000頭。名古屋市の中央卸売市場南部市場、岐阜県の養老ミートに出荷されている。
「脂肪のうまい豚はうまい」が成田社長のこだわり。そのため「さんぽーく」は、真白く、甘みの強い脂身が大きな特徴となっている。脂が苦手な女性や年配の方にも人気で、牛肉よりさっぱりしていて食べやすいと評価が高い。また、しゃぶしゃぶにしてもアクが少なく、あっさりした味わいで楽しめる。
この脂身を生み出す秘訣が、パンやお菓子といった小麦系の残さを中心としたリキッドフィーディングだ。この給餌方法は、成和の黎明期から現在に至るまで取り組んでいるものである。
長年の夢であった直売店設立について成田社長は「自分で作ったものを、自分で値段をつけて売りたかった。農業に限らず、生産した側が買い手に比べて弱い立場になりがちで、対等な立場になりたいという気持ちも強かった」と話す。また、直売店があることで、農場の従業員も「育てた豚の肉がどこで買えるかはっきりしているのは嬉しいし、肉をより美味しく感じる部分もある。育てて出荷だけという状況とはモチベーションが違う」と話している。
店主としてすべての加工品の製造を手掛けるのは息子の憲昭さん。「ベーコンは一番人気があるし、自信作です。ソーセージも人気ですね。他店に負けないポイントは、安定した味と、カタチが悪いものは極力出さないこと。現在は、近隣のレストランで使ってもらったり、愛知県長久手市の運営する直売所で一部商品を扱ってもらっています。今後も、販売店舗を増やすというような規模拡大ではなく、自分が納得した味だけを出していきたい」と話している。
神奈川県では、神奈川畜産の応援団になってもらおうと、県内の生産者が作る畜産フードを「来て」「見て」「食べて」「知って」もらうことを目的としたイベント「かながわ畜産フードコレクション2014」(主催:かながわ畜産ブランド推進協議会)を6月1日、神奈川・横浜市の神奈川県庁本庁舎で開催した。
同イベントは畜産物の加工・販売にスポットをあてて紹介するもので、昨年秋に引き続き2回目の開催となる。畜産に関するパネル展示や畜産スタンプラリー、家畜とのふれあいコーナーなどのイベントも行われた他、メインとなる「かながわの畜産フード食べくらべ」エリアでは、鶏卵・鶏肉・蜂蜜、豚肉、牛肉、牛乳などを生産・製造する神奈川県内の25 団体がそれぞれに美味しい畜産フードのPRを行った。
豚肉関係では、(株)高座豚手造りハム、やまゆりポーク(全国農業協同組合連合会神奈川県本部)、(有)飯島産業、麻布大学、清川恵水ポーク((有)山口養豚場)、はまぽーく(横浜農協食品循環型はまぽーく出荷グループ)、高座豚研究会、かながわ夢ポーク(かながわ夢ポーク推進協議会)、藤沢炒麺(特定非営利活動法人 地域魅力)らが出展し、県内産豚肉を使ったコロッケやフランクフルト、ハムなどの販売を行った。
畜産フードコレクションラインナップ(一部)
豚肉▽飯島産業のオリジナルウインナー焼き ほか/かながわ夢ポークのメンチカツ、串カツ/清川恵水ポークのコロッケ、ポーク串/高座豚研究会のフランク焼き、モツ煮込み/高座豚手造りハムのフランク焼き、モモハム ほか/はまぽーくのフランクフルト焼き、ハムほか/藤沢炒麺(やまゆりポーク使用)/やまゆりポークのウインナー焼き/麻布大学がつくったソーセージ、ベーコン ほか
東京食肉市場銘柄豚協会(数藤春夫会長)は4月18日、東京・港区の東京食肉市場センタービルにおいて、人気料理ブロガーとしても活躍する料理研究家・越石直子さんを講師に招き、「銘柄豚お料理教室」を開催した。
今回の銘柄豚は、肉質にこだわり、純白で適度なしまりの脂肪とまろやかな旨みが特徴の国産SPF豚肉岩中(いわちゅう)豚(岩手県産)を使用し、「厚切り肉のポワレ/まろやかかぶのソース」「豚しゃぶとバジルのポモドーロ」「豚脂の旨味 SOUP」の3品が調理された。料理教室には主婦らを中心に多数の参加者が集まり、それぞれ数人ずつのグループに分かれて調理を開始。試食では、美味しい銘柄豚にふれ親しみながら、その味に舌鼓をうった。
料理教室を主催した東京食肉市場銘柄豚協会は、安全で高品質な銘柄豚を消費者へ安定して供給するため、昭和56年7月に発足。アジア一の規模を誇る、東京食肉市場において指定会員(生産者)が厳しい規格のもと生産した豚を、経験豊かな仲卸人がチェックすることで常に質の高い豚肉を提供している。また、年に1回開催される「東京食肉市場まつり」では銘柄豚を使ったトンカツなどの試食提供も行い、銘柄豚の美味しさを消費者へPRし続けている。
TOKYO X-Association(会長・植村光一郎(株)ミートコンパニオン常務執行役員)は5月21日、東京・芝公園の東京プリンスホテルで平成26年度の通常総会を開き、25年度事業報告、26年度事業計画、役員改選などを原案通り可決・承認した。今回は設立15周年を記念した交流会も行われ、TOKYO Xにゆかりのある消費者ら約200人を招待、総勢350人にも及ぶ盛大な式典となった。
総会の開会に当たりあいさつを述べた植村会長は、25年度は目標にしていた出荷頭数9000頭を下回る8247頭だったことを報告し、その原因について夏場の暑さなどによる繁殖成績の悪化などを挙げた。しかし、会員農場においては現在日本中を震撼させているPED(豚流行性下痢)の影響は出ておらず、26年度は1万頭出荷を目標としていることを強調。さらに専用飼料の配合設計を変更し、飼料用米を15%添加。このことで脂肪融点が2%ほど低くなり、柔らかく、甘い香りが強調されてきていることなどを説明し、「TOKYO X - Associationが20周年を迎える5年後、東京オリンピックの1年前を目途に、青梅畜産センターの母豚供給の増強、世界への情報発信、オリンピック指定食材認定に向けての活動などを実現し、年間2万頭の出荷体制を目指し、生産・販売の充実を図っていきたい」と意欲を見せた。
来賓には、東京都都議会議員の清水孝治氏、東京都産業労働局農林水産部農業振興課課長の平野直彦氏が招かれ、平野氏は「TOKYO Xのうまさには舛添要一都知事も感動しており、東京オリンピック開催に向けさらに振興を図りたい」とあいさつ。公益財団法人東京都農林水産振興財団理事長の松本義憲氏は、「TPP交渉などによる今後の国際化の激化で、さらに高品質な豚肉が求められるが、その点ではTOKYO Xは時代を先取りしたトップレベルの豚。青梅畜産センターでも母豚配布増強などに努め、TOKYO Xの増産を図りたい」と述べた。
総会では、25年度の事業報告で活動実績が報告され、26年度事業計画では、トレーサビリティ検討委員会会議、食育事業参加、アグリネイチャー事業参加、地産地消支援事業の参加、農場HACCP研究会参加、東京オリンピック対策協議委員会の実施などが予定されている。その他の議案として、植村会長から飼料用米を15%配合した専用飼料の内容などを説明するとともに、TOKYO X-Association設立20周年を迎える2019年が東京オリンピック開催1年前に当たるということで、さらなるブランド認知活動、世界への広報活動、(2万頭出荷計画に向けての)青梅畜産センターの母豚供給体制増強、オリンピックの指定食材認定に向けての活動などに取り組んでいくことが提起された。
総会の最後には、これまでTOKYO Xの発展に貢献した人たちの功績をたたえる表彰式が行われ、元TOKYO X生産組合長で現在顧問の榎戸武司氏に東京都知事賞が、同じく元TOKYO X生産組合長の青木清氏とTOKYO Xの生みの親である兵頭勲農学博士に東京都農林水産振興財団理事長賞が贈られた。
(株)食品化学新聞社が主催する「ifia JAPAN (第19回国際食品素材/添加物展・会議)/HFE JAPAN(第12回ヘルスフードエキスポ)」が5月21~23日の3日間、東京・江東区の東京ビッグサイトで開催された。同展示会には食品素材、添加物、機能性食品素材関係のメーカーだけではなく、サニテーション資材や分析・検査機器、食品包装、ITソリューションなどの展示も多く見られた。また、ifia JAPANのテーマ企画である「食の安全・科学ゾーン」には、食の安心・安全に係わる分析測定装置、検査装置、受託分析機関、コンサルティング機関などが展示とプレゼンを展開。
アヅマックス(株)(東京営業所:東京都中央区八丁堀)では、食品表示法に対応した測定キットなどを展示。「食品中のホルモン剤および成長促進剤(肥育ホルモン剤)の分析」「酵素法による食品および飼料の成分分析」「食品・飼料・医薬品中のビタミン分析およびアミノ酸分析」「食品・飼料中のマイコトキシン分析」など測定による分析手法の紹介を行った。
エヌエス環境(株)(東京都港区西新橋)では、工場や厨房、調理室などの衛生管理・環境管理をサポートする食品衛生コンサルティング、放射能測定や排水分析、悪臭分析といった環境コンサルティングなど、総合的な支援・コンサルティングの展開について、長年の実績ならびにノウハウを生かした立場から提案を行った。
また、(株)ピィアイシィ・バイオはHFE JAPANならびにifia JAPANのテーマ企画である「食の安全・科学ゾーン」に出展。「食の安全・科学ゾーン」には次亜塩素酸ナトリウムを希釈・調整して、ヒトに安全なソリューションウォーター(R)を生成する高性能調整装置「solution2000 useful」を展示。PRを行った。
次回は2015年5月20~22日までの3日間、東京ビッグサイトで開催される予定。
(株)G・ファーム(愛知県豊橋市)の鈴木美仁氏が代表を務める三河トコ豚極め隊は3月23日、「第2回 三河トコトン豚祭り~豚とふれ合い、豚を学んで、豚を味わう~」を愛知県豊橋市・こども未来館ここにこで開催した。
この催しは、三河地方が全国有数の養豚生産地であることを地元消費者にPRするとともに、「豚と触れ合い楽しんで、豚について体験しながら知ってもらう」ことを目的に開かれたもの。当日は、同隊員が生産した豚肉を元に作られた骨付きハムの試食、枝肉の解体ショーや親子参加でのソーセージ作り体験、生産から食卓に並ぶまでの一連の流れを詳細に記録したビデオ上映のほか、豚の生産に関わるクイズ大会、隊員の生産する銘柄豚を使ったフランクフルトやラーメンなどの販売店舗の出店といった幅広い内容で参加者を楽しませた。
PEDの流行もあり、当初は開催も危ぶまれたが、事務局を務める(有)環境テクシスの高橋慶氏らは「ここで中止にしてしまうと、消費者に病気に対しての誤解を抱かれるおそれがある。こういう時こそ豚肉の品質などをアピールしていきたい」という強い思いのもと、イベント内容に若干の変更があったものの、予定通り開催した。
昨年の開催でも好評だったという豚の解体ショーでは、鈴木氏が提供した田原ポークの半頭分を使用。鳥一精肉店の市川勝丸氏らが、部位ごとの特徴などを説明しながら素早い包丁さばきを見せ、参加者から驚嘆の声が上がった。解体後には、参加した子どもたちが肉の塊を持ちあげ重さを確かめる場面も。終了後には、解体した肉のロース部位をさらに小さくカットし、屋外でバーベーキューを実施。できたて・焼きたての肉の美味しさを楽しんだ。
クイズでは、豊橋市のご当地アイドル「ぐるめいど隊」と「穂の国娘。」のメンバーがステージ進行を担当し、子供たちに「豚は煮干しを食べている?」「出荷体重は110kg?」といった○×クイズを開催。優勝者には精肉パックがプレゼントされた。
市川氏は「スーパーに売っている肉がどのようなプロセスを経て、あの形になるのか知ってもらいたいという思いがある。農業もそうだが、知ってもらわないと食文化も衰退してしまう。地道な活動を続けることで、食材に対する理解を少しでも深めて頂ければありがたい」と話している。
岐阜県養豚協会(水野良則会長)は2月22日、「第7回地産地消運動 安全・安心・新鮮を追究して 岐阜県産ポークの集い」を、岐阜県各務原市・東海学院大学短期大学部 給食経営管理実習室において開催した。2013年に開催された同イベントは、豚肉をふんだんに使った親子料理教室がメインであったが、今回のイベントでは、会場である東海学院大学で講師を務める大西周氏らが調理した豚肉料理の試食と勉強会が行われた。
開会に当たり水野会長は「今回で第7回となる地産地消運動であるが、この岐阜県で育った新鮮な豚肉を使って、堪能していただきたい。本日は『瑞浪ボーノポーク』という豚肉を食べていただく。これを機会に岐阜県産豚肉を利用していただきたい」とあいさつを述べ、試食に移った。
瑞浪ボーノポークは岐阜県瑞浪市(有)カタノピッグファーム(肩野宏俊代表取締役)で生産されている豚肉で、岐阜県畜産研究所で開発された『ボーノブラウン』を種豚に用い、脂肪交雑が一般豚の約2倍入り、肉の旨み、脂の甘みが特徴だ。この豚肉を使って調理されたのは「豚ヒレ肉のサルティンボッカ」、「豚ロースのグリルわさび味噌ソース」、「豚もも肉の季節野菜巻き焼き はちみつ粒マスタードソース」、「豚内臓のトマト煮」、「豚バラ肉のしょうが焼き」の5品。各テーブルには参加者とともに生産者が加わり、料理を堪能した。消費者と生産者が直接話ができる数少ない機会ということもあり、消費者からは「養豚の仕事は普段どんなことをしているのか」「仕事をしていて大変なことは何か」といった質問や、生産者からは「どのような肉がおいしそうに見えるのか」「家庭料理で豚肉が登場する頻度は」といった話題を中心に会話が弾んだ。
試食後は豚肉に関する勉強会として、大西氏から料理の内容や部位別のお勧め料理、また豚肉の栄養に関する解説や、事務局からは豚肉が生産されるまでの農場の様子や交配に用いられる系統、豚肉の部位の説明などが行われた。
観音池ポークは都城市高城町内の養豚農家4戸で生産される、LWD三元交配の豚肉。出荷まで195~200日と長い時間をかけて育てられ、指定配合による飼料の統一、エコフィード(パン粉)の統一給与、混合飼料「ネッカリッチ」の添加といった飼料面での統一だけでなく、抗生物質残留検査の定期的実施を行い安全面でも努力を重ねている。また、生産農家4戸の出荷調整会議を毎月開催し、定時定量出荷体制を確立している。
肉質は保水性が良くドリップがほとんど出ないため、やわらかく、豚肉特有の臭みがない。また脂肪に甘味がある。調理時では、アクや肉縮みが少ない。
平成25年度の出荷肉豚頭数は8000頭で、1割が精肉、惣菜等として直売店販売。9割はJAへ卸され、うち6割が関西方面ほか、九州管内で販売されている。
平成13年の直売店開設以来、販売実績は右肩上がりが続く人気。精肉に加えて、最近ではメンチカツを中心に惣菜商品のリピーターが増え、地元だけでなく県外からも根強い支持を得ている。
観音池ポークの歴史は古く、その誕生は1987年(昭和62年)まで遡る。現在(有)観音池ポーク生産農家の代表を務める、馬場農場の馬場通社長によれば、当時は、比較的安価な輸入豚肉について、抗生物質残留など消費者から不安の声が上がっていたという。そのような情勢の中、馬場氏は「生産者の顔が見え、豚肉の素性が明確で安全安心」「豚肉に付加価値をもたせ差別化商品」づくりが今後の国内養豚の生き残りであると確信したという。現在も行っている抗生物質残留検査の定期的実施は、この経験から来ており、銘柄豚を生産する上でのこだわりのひとつである。
平成6年に地元都城市内の精肉店でも販売が開始され、徐々に販売地域を広げる中、平成12年には念願であった生産者直売店を開設。平成13年には生産農家が集まり(有)とんとん百姓村(平成24年4月より、(有)観音池ポークに社名変更)を設立し、高城町観音池公園近くに直売店を移転した。
馬場氏は「小規模経営農家での銘柄確立は厳しいと感じていたため、グループで取り組み、前向きな取り組みを継続的に実施してきたが、行政をはじめ関係機関の協力があってここまで進むことができたと考えている。また、一元集荷、一元販売の作り手の見えない当時の流通体系の中で、自分たちが生産し名前をつけた豚肉に対して消費者から直接評価が聞け、また、生産者の考えを直接伝えられる体制を築きたい、という強い思いを持って、ここまでくることができました」と話している。
また、養豚生産農家として地域に貢献していきたいという考えのもと、地産地消の推進、食べ物の大切さや尊さを知ってもらいたいと、小・中・高校生等に「出張手作りウインナー教室」や、現在の畜産物生産の現状や豚肉の生産から食卓に並ぶまでを説明する「とんとん教室」を開催するなど、消費者と生産者の垣根を越えた交流を積極的に図っている。
愛知県豊橋市、豊川市、新城市の生産農家16戸が参加する宝飯豊橋養豚青年研究会は昨年11月30日、「第13回若手養豚農家と消費者の交流会」を愛知県農業総合試験場東三河農業研究所研修館で開催した。
この取り組みは、地元消費者と養豚生産農家との交流を深め、地元産豚肉の安全性を一般消費者にPR、消費拡大を図ることを目的としたもの。
当日は愛知県養豚協会、JAあいち経済連の協賛のもと、公募から抽選で選ばれた愛知県豊橋市の親子連れの消費者56名が参加し、生産農家らとともにソーセージの手作り体験を楽しんだほか、養豚生産現場の紹介として「豚の飼育過程と豚肉の豆知識」と題して、養豚生産農場の取り組みや、出荷され精肉になるまでの一連の流れを紹介する学習会も行われた。
ソーセージ手作り体験では、地元産の豚ひき肉を材料に、腸詰器を使って人工腸の肉詰めや整形に挑戦。できあがったソーセージは調理され、交流会終了後にお土産として渡された。
昼食時には、事前にボイルされたソーセージと、会員農家提供のロース肉ステーキの試食が振る舞われたほか、学習会では、「豚の飼育過程と豚肉の豆知識」と題し、農場での種付けの様子や、出生時の体重、出荷日齢、分娩から肥育、市場出荷までの一連の流れがスライドで紹介されたほか、農場防疫の取り組みや、ふん尿の堆肥利用といった取り組みについても解説が行われた。
平成25年11月9日、10日の2日間、東京・千代田区の日比谷公園で農林水産省、(財)日本農林漁業振興会共催による「第52回農林水産祭『実りのフェスティバル』」が開催され、併催の「食と農林漁業の祭典」の一環として開催された「第4回ファーマーズ&キッズフェスタ2013」(ファーマーズ&キッズフェスタ実行委員会主催)に出展する形で、一般社団法人日本養豚協会(JPPA、志澤勝会長)青年部会(阿部秀顕部会長)主催で通算7回目となる「国産豚肉消費拡大イベント『俺たちの豚肉を食ってくれ!』(略称:俺豚)を開催し、訪れた大勢の家族連れなどに国産豚肉のしゃぶしゃぶなどを振る舞った。
初日の朝礼では、阿部青年部会長が「来場者に国産豚肉をおいしく食べて、楽しんでいただきたい。国産豚肉のファンを作ることが目標です」と呼びかけた。また志澤会長も「皆さんの力で国産豚肉のアピールをしてもらえることに感謝している」と述べ、「養豚を国益に結びつくような産業としての位置付けにしたい。今回のような日にしっかりと訴えながら、国民一人ひとりに存在意義を訴えたい」と国産豚肉の重要性を訴えた。
試食提供された豚肉は全国各地の16銘柄で、「道産豚」((株)ほべつすわいん、北海道)、「こめっこ地養豚」((有)みのる養豚、青森県)、「八幡平ポークあい」((農)八幡平ファーム、岩手県)、「蓮根豚」(廣原畜産、茨城県)、「ほそやのまる豚」((有)ほそや、群馬県)、「赤城ポーク」(赤城ポーク生産者組合、群馬県)、「房総なるかポーク」(椎名畜産、千葉県)、「いさむポーク」(いさむポーク、愛知県)、「大山ルビー」(鳥取県産ブランド豚振興会、鳥取県)、「讃岐もち豚」((株)STPF、香川県)、「まるみ豚」((有)協同ファーム、宮崎県)、「パイナップルポーク・アグープレミアム」(神谷ファーム、沖縄県)の12銘柄がしゃぶしゃぶ用として180㎏、「つがる豚」((株)木村牧場、青森県)、「岩崎さん家の豚肉」((有)岩徹養豚、青森県)、「香り豚」((有)松村牧場、埼玉県)、「むさし麦豚(R)」((有)長島養豚、埼玉県)の4銘柄が焼肉用として120㎏が提供された。
催しとしては、JPPA恒例となった国産豚肉ソーセージを使用した特大ホットドッグの早食い競争や養豚○×クイズ大会などが行われ会場を沸かせた。
また、特設ステージでは自農場産のブランド豚肉のPRも行われ、廣原畜産(茨城県)の廣原賢さんはミネラル豊富な茨城県産の生の蓮根を約15%混ぜた飼料を与え仕上げた「蓮根豚」を、いさむポーク(愛知県)の磯貝勇さんは抗生物質を使わず自家製発酵飼料を与え育てた「いさむポーク」を、(有)松村牧場(埼玉県)の松村淳さんは極めてクリーンな環境のSPF豚農場でこだわりの飼料を与え生産している「香り豚」をそれぞれPRした。
阿部会長は「若手経営者を中心に豚肉のブランド化や直売、6次産業化への取り組みなどが目立ってきたことはとてもすばらしいことです。食材の偽装問題が取りざたされている中、我々養豚生産者自らが正真正銘のおいしく安全な国産豚肉を販売していくことがもっと注目されるようになると思います」と養豚業界の新たな展開に大きな期待を寄せていた。
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