(株)堀江ファーム(千葉県富里市)は現在、代表取締役の堀江光洋さん夫妻と娘さん夫妻が切り盛りし母豚80頭の一貫経営を行っている。母豚80頭のうち30頭が中ヨークシャー種(以下、中ヨーク)で、エコフィードを積極的に利用しながら、希少価値が高く肉質・味に優れた中ヨークのブランド豚「ダイヤモンドポーク」を生産・販売するほか、都内の有名老舗豚カツ店「とんかつまい泉」向けの独自ブランドも生産している。
千葉県の養豚は、「天保年間(1830年代)に上総国山邊郡上武射田、下武射田、豊成の三村においてこれを飼養せる者あり」という記録があるが、産業としての養豚の成立は明治期に入ってからと考えられている。
堀江ファームがある富里市は北総台地のほぼ中央にある畑作地帯で、サツマイモの産地でもある。宮内省の御料牧場があったことから畜産も盛んで、堀江家が養豚を始めた昭和30 年代は「残飯養豚」が主流で、食品残渣を活用し中ヨークを飼っていた。
中ヨークについては、昭和30年代から40年代にかけて、特に千葉県の中ヨークが全国的に評価が高かった。それが次第に、発育が良く病気にも強い、そして産子数が多く生産効率の高い大型品種に切り替わっていった。堀江さんも大型品種を飼育しながら日本種豚登録協会の指定種豚場の認定を受けたり、千葉県の系統豚増殖農場としてランドレース(L)の「ボウソウL」の増殖にも携わり、ランドレース、大ヨーク(W)、デュロック(D)の三元交配の肉豚を生産・出荷。その頃から単味原料としてふすまや脱脂大豆を使いながら、コストと肥育成績を見比べながら、独自に配合に工夫を凝らしてきた。
一般社団法人国産生ハム普及協会(野崎美江会長)は10月9日、 山形県鶴岡市のJR鶴岡駅前の情報発信拠点「つるおか食文化市場 FOODEVER」で「第6回国産生ハムフェスティバル」を開催した。
さまざまな可能性を秘めたJクラフト生ハムを広く知ってもらい、味わってもらう普及活動の一環として、 2017年より日本各地の生産者が自慢の個性豊かな生ハムを自らカットし提供する「国産生ハムフェスティバル」を開催しているもので、昨年に引き続き国内で唯一「ユネスコ食文化創造都市」の認定を受けている山形県鶴岡市に集結して販売促進プロモーションを繰り広げた。通算6回目(4回目はコロナ禍で中止)の今回はこれまで最多の15の J クラフト生ハム工房がエントリーした。
同協会はイタリアやスペイン等の伝統的製法を応用し日本独自の製法により日本で生まれ育った新鮮な豚もも肉と塩のみ、 添加物は一切加えず長期熟成(12カ月以上)させた生ハム(Jクラフト生ハム)の普及活動をしている生産者団体。2012年に設立、2017年に一般社団法人化し、現在に至る。
名古屋市食肉市場(株)(名古屋市港区船見町、窪田正直社長)は9月6日、名古屋市中央卸売市場南部市場において、南部市場第14回肉豚枝肉共励会を開催した。当日は東海地方を中心とした養豚農家や団体が選りすぐった、雌100頭、去勢99頭の計199頭が上場された。
共励会では枝肉の肉質の張りなどが精査され、名古屋市長賞には(有)鈴八商店の出品した枝肉が選ばれ、2,012円の値がついた。また、愛知県内の生産農家から選ばれる愛知県知事賞には(株)知多ピッグ美浜農場の枝肉が選ばれ、1,517円の値がついた。
表彰式では窪田社長があいさつに立ち、「本共励会に丹精込めて作られた豚をご出品いただき、心より御礼申し上げる。昨今、皆様もご承知のとおり、飼料代の値上がり、また燃料費等の高騰で、大変厳しい状況が続いている。このような中、愛知県、岐阜県、長野県から、日ごろ私どもを大変ご贔屓いただいている生産者の皆様にたくさんの豚を出品いただいたこと、また日頃から大変お世話になっていること、この場をお借りして、厚く御礼申し上げる」と感謝を述べるとともに、「生産者の方々、来賓でお見えの買参者の方々、私ども市場関係者の三位一体となって、皆でこのような状況を乗り切っていかなければならないと痛切に感じている。引き続きご協力をお願い申し上げる」と今後の一致団結を呼びかけた。
「周辺住民からの悪臭苦情が発生している。ニオイを監視できるセンサーはないか?」
ニオイ監視システム導入のきっかけは(株)ジャパンファーム様(以下お客様)よりこのようなご相談を受けたことでした。
本事業所では、長い期間にわたり養豚・堆肥化施設の漏洩臭気により地域住民からの悪臭苦情が発生していました。もちろんお客様側でも、設備の改善や稼働工程の見直しといったさまざまな脱臭施策を既に実施されていましたが、引き続き継続的に臭気の漏洩を監視していき、地域へ臭気対策の前向きな姿勢を示したいというご希望から臭気対策の一環としてニオイセンサーによる測定監視も計画されておりました。また、事業所固有のニオイに対してセンサーが有効に機能するようであれば、日々の測定・管理は自動化し管理人員の負担を増やしたくないというご希望もありました。
そこで弊社((株)カルモア)のニオイ監視システムLIMOS(リモス)でデモテストを実施いたしました。
昭和30年代、シラス台地で収穫されたサツマイモ(甘藷)を給与された黒豚は列車で生きたまま東京に運ばれ、その黒豚肉の美味しさは東京の人々を魅了し、日本で最初の豚肉のブランドになった(1)。「かごしま黒豚」(図1)は、鹿児島県黒豚生産者協議会により「かごしま黒豚ブランド産地指定基準」が定められている。鹿児島県で生まれ育ったバークシャー種に、甘藷10~20%を含む餌を60日以上肥育後期に給与し、出荷日齢が概ね230~270日齢の豚を「かごしま黒豚」としている。
かごしま黒豚は白豚より背脂肪が厚く、特に去勢雄は背脂肪が厚くなりやすい。上物規格を超える背脂肪厚は枝肉評価を下げて売上の減少を招き、経営上の大きな問題となる。そのため黒豚生産農家は上物率を上げるために、去勢雄と雌を別飼し、去勢雄群の給餌量を調整するなどの厚脂対策を講じている。また、「かごしま黒豚ブランド産地指定基準」において、かごしま黒豚の出荷日齢は概ね230日以上とされていることから、出荷日齢も厚脂対策とともに考慮する必要がある。
環境保全と再資源化をテーマに「2022NEW環境展」と「2022地球温暖化防止展」が5月25〜27日の3日間、東京・有明の東京ビッグサイトで開催された。展示会は3年ぶりの大規模開催となり、棄物処理、リサイクル、環境保全などの関連企業が環境展に394社・1,457小間、地球温暖化防止展に68社・91小間が出展し、3日間で67,402人が来場した。
今回のNEW環境展は、「環境ビジネスの展開」をテーマに国内外で潮流となっている循環経済(サーキュラー・エコノミー)を実現するための高効率リサイクル関連機器やソフトウェア、国連が提唱しているSDGsに沿った環境保全システムが揃い、現場や事務の作業の効率を大幅に向上させるAI(人工知能)活用による選別機、IoTによる回収ボックス、テレワーク対応の廃棄物管理システムなどが集まった。現在、国際的にも求められているプラスチック再資源化のための高機能な破砕機や樹脂選別機、再生ペレット加工機(押出機)、リサイクル製品なども多数出品された。
地球温暖化防止展では、「CO₂削減と新エネ・省エネビジネスの推進」をテーマに脱炭素の切り札となる再生可能エネルギーと省エネ関連商材が集結。新エネ・再エネブースでは、地域活用電源として需要が高まる小水力発電やバイナリー発電機、バイオガス発電システムといった小型機器が揃い、大規模施設での利用も広がる地中熱、次世代ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)やCO₂回収・貯留(CCS)といった革新的環境イノベーションも登場。節電・省エネ関連では、エネルギーの節減とコストメリットが同時に実現する節水、遮熱、空調などの機器・サービスなどの出展があった。
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け開催が延期されていた「国際養鶏養豚総合展(IPPS)2022」( 主催:国際養鶏養豚総合展運営協議会)が4月27 ~29日までの3日間、愛知・名古屋市のポートメッセなごや(名古屋市国際展示場)の第2・第3展示館で開催された。今回は、「本物との出会い。世界に誇る養鶏・養豚の未来がここに」をテーマに、フードコーナーを含めて229社・団体(929小間)が出展。3日間合計で、およそ23,000人が来場した。
会場では施設、機械、システムなどの展示の他、鶏卵・鶏肉・豚肉等の展示・試食・販売コーナーも併催。生産者の担い手(後継者)不足問題、生産効率化、防犯対策、労働負担の軽減といった多くの課題を解決に注目される機器や技術を集めたスマート畜産ゾーン、生活衛生、家畜衛生などさまざまなウイルス対策に効果的な製品や機器を集めた衛生対策ゾーンの展開や、6名の専門家を迎えた特別講演会、出展各社による最新情報・技術についての企業プレゼンテーションが行われた。また、SDGs、DXといった新たなキーワードとともに最先端技術や、最新情報を共有することで新しい養鶏、養豚業の姿を描き出した。
4月13〜15日までの3日間、東京・江東区の東京ビッグサイトで「ファベックス2022」(主催:日本食糧新聞社、同時・合同開催展:「デザート・スイーツ&ベーカリー展」「第59回麺産業展」「お米未来展2022」「食品&飲料OEMマッチングEXPO」「プレミアム・フードショー2022」)が開催された。会場には、昨年を上回る585社(同時・合同開催展含む)が出展、35,000人を超える来場者が訪れた。
会場では企業展示の他、食品業界の最新動向や商品開発に向けた取り組みなどをテーマとした主催者特別セミナー、ファベックスイベントゾーンでは日本各地で発売されている惣菜・弁当の中から、商品力・販売力・アイデア力のある製品を表彰する惣菜・べんとうグランプリの表彰式と展示が行われた。
豚関連の出展では、ヨーロッパ産豚肉のPRを目的に、全イタリア養豚業者の12%を傘下に収めるイタリア最大の豚肉生産者団体「OPAS」がEUと共同出資し、広報プロモーション・キャンペーンを2023年5月まで展開する「Eat and Think Pink」、高知県のブランド豚「四万十ポーク」の加工品の商品提案を行う「デュロックファーム加工直売所」などが出展した他、栃木県のハムカツ専業メーカー・ハガフーズ(株)が提案する「宇都宮ハムカツ」など、さまざまな商品が集結した。
アジア最大級の国際食品・飲料展「FOODEX JAPAN2022(第47回国際食品・飲料展)」が3月8~11日までの4日間、千葉市の幕張メッセで開催され、3万人超える来場者が訪れた。
第47回となる今回は、コロナ禍を経て大きく変化した食品業界に向けて新たな提案をするべく、41カ国・地域から1,461社/1,787小間(2022年2月22日現在)が出展した。会場内では、まだ海外に知られていない日本の逸品を紹介する「日本食輸出展」、「全国食品博」といったエリアのほか、付加価値の広がりを見せる「フローズンフーズ」、SDGsの観点からも注目されている「代替食品」、最新のテクノロジーを駆使し、新しい形での食品開発や調理を行う技術で近年注目を集める「フードテック」など、幅広い視点から食に関する情報提供と課題解決に向けた提案が行われた。
FOODEX JAPAN2022と同時開催となった「第46回食肉産業展2022」(主催:食肉産業展実行委員会)では、「これからの食ビジネスがここにある」をテーマに掲げ、食肉関連製品および食肉処理・加工・流通・販売にかかわる機器・システム・資材を取り扱う企業が出展を行った。
本稿では、HACCP International認証資材の紹介として、HACCP International、Managing Director日本韓国代表である淺井伸宏氏の協力を得て、コールドストレージ・ジャパンのHACCP Internationalの認証取得のきっかけや目的、今後の事業構想などについて、同社代表取締役の後藤大悟氏にお聞きした。
コールドチェーンプラットフォーム構築による物流の効率化・販売促進提案、物流資材の開発・用途開発、貿易・物流コンサルティングなどを手掛けるコールドストレージ・ジャパン(株)(本社:神戸市中央区、後藤大悟代表取締役)が、(株)コンテナハウス2040.jp(横浜市)、(株)イワタニ(山梨県笛吹市)と開発した建築確認申請対応型冷蔵コンテナ「コールドストレージボックス©」がこのほど、オーストラリアに本社を置き、欧州、米国、アジア、日本(東京)を拠点とし食品安全機器、製品、サービスといったNon-Food領域の認証を専門とする国際的な認証機関であるHACCP Internationalの認証を取得し、世界の隅々まで小回りを利かせた冷蔵・冷凍の貨物輸送網(次世代コールドチェーン)を構築する第一歩を歩みはじめた。
焼肉業界と肉料理を扱う外食・飲食業界を対象とした専門展示会「第14回~ミートフードEXPO ~焼肉ビジネスフェア2022in 東京」(主催:焼肉ビジネスフェア実行委員会、同時開催:「第7回~居酒屋の未来を創造する~居酒屋JAPAN2022in東京」)が1月19 ~ 20日の2日間、東京・豊島区の池袋サンシャインシティ文化会館展示ホールで開催され、1万人を超える来場者が訪れた。
長引く新型コロナウイルスの影響を受けて、店舗向けに付加価値を付けた「ニューノーマル時代」に対応した新たなメニュー提案を行う姿が多くみられ、これまでの業態や新業態への参入などを目的とした農畜産物やサイドメニュー、アルコールやソフトドリンクの他、たれ・調味料、店舗施設設計など様々な商材提案が行われた。
なお、大坂会場は今年7月5 ~ 6日に大阪南港ATCホールで開催される予定。
公益社団法人中央畜産会は2021年11月26日、東京・千代田区の都市センターホテルで「令和3年度 全国優良畜産経営管理技術発表会」を開催した。なお、昨年に引き続き新型コロナウイルスの拡大防止対策のため、一般参加者はウェブ配信での視聴となった。
同発表会は中央畜産会の会員(188組織)などが行う支援活動を通じて明らかとなった優秀な実績を収めている畜産経営を表彰し、経営の成果などを広く紹介するとともに全国の畜産経営の経営改善に資することが目的。35回目の開催となる今回も各会員から推薦を受けた推薦事例の中より、書類審査および現地審査を通過した8事例の発表が行われ、審査委員会(審査委員長:山陽学園大学・横溝功教授)によって決定された最優秀賞4事例、優秀賞4事例の表彰が行われた。
開会に当たり、中央畜産会の井手道雄副会長は、「全国優良畜産経営管理技術発表会は経営改善を図り、優秀な実績を収めている畜産経営の成果を発表され、経営管理技術の普及拡大を図ることを目的に昭和61年から開催している。本日は全国から書類審査および現地審査を通過した8事例の経営者の皆さまに経営の内容や取り組みについてご発表いただくが、北は北海道から南は九州まで、いずれも特色ある優秀な事例である。これらの優秀な経営事例の発表が経営改善や経営指導により良い参考となり、ひいてはわが国畜産がますます発展するよう祈念する」とあいさつした。続いて、各事例の発表が行われ、最優秀賞には宮崎県の農事組合法人萩原養豚生産組合(養豚)の他、3事例が選ばれた。
横溝審査委員長の講評によると、最優秀賞に選ばれた萩原養豚生産組合の経営は、共同利用から共同経営への転換を図り①平成28年に大規模投資を行い2サイト方式に転換、オールイン・オールアウト方式、ウィークリー管理を導入②構成員3人、従業員12人が適材適所に配置され、定期的な内部検討会や支援機関との現地検討会、宮崎県畜産協会による経営診断を実施③ネッカリッチ、エコフィード、笹サイレージの給与④1頭当たり年間平均分娩回数2.53回、1頭当たり年間肉豚出荷頭数19.6頭、子豚出荷頭数8.2頭、肥育豚事故率5.2%、枝肉上物率75.1%を実現⑤観音池ポークの商標登録も行い、豚肉の6割は観音池ポークのブランドで販売。(有)観音池ポークを展開し6次産業化に乗り出している⑥「みやこのじょう こども宅食」に豚肉や加工品を提供――といった取り組みが評価された。
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