国内の生ハム製造者同士の交流とマーケット拡大を目的とした一般社団法人国産生ハム協会(野崎美江会長)主催の第7回 国産生ハムフェスティバルが9月17日北一ミート(株)本社ビル(札幌市東区東雁来6条2丁目2-2)で開催された。初参加の2工房を含め全国14工房の長期熟成国産生ハム(Jクラフト生ハム)が札幌に集い、製造者自ら自慢の生ハムを原木よりカットし来場者に提供、熱く語るなど販促プロモーションを繰り広げた。「会場の規模は縮小したが、今までで一番中身の濃いフェスだった」(事務局)という。
同協会は欧州の伝統的製法を応用し日本独自の製法で、日本で生まれ育った新鮮な豚もも肉と塩のみ、食品添加物は一切加えず長期熟成(12カ月以上)させた生ハムの生産者(製造者)団体。日本でしか出来ない、個性豊かな味わいの生ハムを消費者に味わってほしいと2012年に設立、2017年に法人化し、一定の普及活動が成果をあげたことから今春、名称を現在の国産生ハム協会に変更している。
DLG(ドイツ農業協会)食品品質品評会(通称:DLGコンテスト)が9月23〜25日の3日間にわたり、神奈川県相模原市の麻布大学を会場に行われた。世界でもっとも歴史と権威のある食品コンテストとして評価されている同品評会だが、日本大会は2012年に欧州以外では初めて開催されて以降、2年から3年に1回のペースで行われ、今回で5回目。2012年、2022年にも開催に向けて準備を進めていたが、新型コロナウイルス感染症の蔓延により審査員とスタッフの来日が困難であったため延期、4年ぶりの開催となった。今回は81社から457品のハム・ソーセージ、食肉惣菜が出品された。
2011年の福島第一原子力発電所事故の影響で日本製品のドイツへの搬入手続きが煩雑になったため、ドイツアルプスの岩塩を輸入販売するSKWイーストアジア(株)(本社:東京都千代田区)が事務局となって特別に日本で実施することにした経緯がある。今回も前回に続き伊藤ハム米久グループ、プリマハム(株)、日本ハム系列の食肉製品会社、(株)東北ハムなどのメーカー、養豚業を母体として食肉加工・販売にも手がける(株)サイボク、(株)フリーデン、ドイツ製法の手作り工房の(有)シュマンケルステューベ、クロイツェルなど大企業から手作り工房まで幅広い経営体がエントリーした。
名古屋食肉市場(株)(名古屋市港区船見町、窪田正直社長)は9月5日、名古屋市中央卸売市場南部市場において、南部市場第15回肉豚枝肉共励会を開催した。当日は愛知・岐阜・三重など東海地方を中心とした養豚農家や団体が選りすぐった、雌102頭、去勢98頭の計200頭が上場された。
共励会では枝肉の肉質の張りなどが精査され、名古屋市長賞(最優秀賞)には(有)大西畜産の出品した枝肉が選ばれ、2,413円の値がついた。また、愛知県内の生産農家から選ばれる愛知県知事賞には(株)知多ピッグ美浜農場の枝肉が選ばれ、2,012円の値がついた。
表彰式であいさつに立った窪田社長は、「表彰式に多数の方の参加と日頃から当南部市場のご利用、心より御礼申し上げる。昨今、豚熱の発生やコロナは落ち着いたが、戦争により、食肉業界を取り巻く環境は飼料代の値上がり、燃料費等の高騰で、大変厳しい状況が続いている。また、今後も2024年問題、世界的な一大消費地である中国のバブル崩壊により団体客が増えないかもしれない状況で、解決すべき課題も多い。当南部市場を利用する方やここに集まる買参者の方々とより密に連絡をしながらこの難局を乗り切りたい。今後もご指導、ご鞭撻をお願い申し上げる」と日頃の厚情などに感謝を述べつつ、今後の一致団結を呼びかけた。
三重県志摩市の(有)河井ファーム肉よしでは、銘柄豚「パールパークほろよい」を生産し、地元で愛され続けている。同社は第52回「日本農業賞」(主催:NHK、全国農業協同組合中央会(JA全中)、都道府県農業協同組合中央会)個別経営の部において優秀賞を受賞、その取り組みに注目が集まった。
河井ファームは1966年にスタートし、2000年には現在の代表である河井金昭氏が経営を引き継いだ。同氏がこだわるのは地元での消費。「パールポークほろよい」は子どもたちに安心して食べさせてあげられる安全・安心な豚肉を作りたいという思いから誕生した銘柄豚肉。適度な“さし”が入り、柔らかく臭みがないのが特長。口どけがよくさっぱりとした脂肪には、ほのかな甘みがありしつこくないので、女性や年配者にも好評だ。
品種はWLDで、種豚は自家更新を行っている。2005年からは県の協力のもと、農場HACCPの管理手法を導入し防疫体制の構築に取り組んでいるほか、愛知県三河地方の養豚生産農家が中心となって活動する「やまびこ会」((有)マルミファーム・稲吉弘之会長)に参加し、同会独自の配合飼料の共同購入をはじめ、一般社団法人日本養豚協会の活動や勉強会へも参加している。
誕生当初の銘柄名は「パールポーク」で生産地の名産品である真珠にちなんで名づけられたものだったが、2016年5月に開催された伊勢志摩サミットに合わせて、さらなる特徴づけを図り、三重県の協力のもと、アコヤ貝(真珠貝とも呼ばれる)の粉末を飼料に加える試験が三重県畜産研究所で2015年に開始。供給に問題ないことが確かめられてから、2016年より粉末を子豚期の飼料に添加し、カルシウム源として供給している。
さらに、2020年からは同じく三重県にある県立明野高校と、伊勢角屋麦酒としてビールなどを製造・販売する(有)二軒茶屋餅角屋本店が取り組む食品循環資源の飼料化研究に賛同し、エコフィードとして利用を開始。これは伊勢角屋麦酒でビール製造の際に排出されるモルト粕を乳酸菌により発酵させて飼料として利用することで、①肥育成績の向上・・・増体率が向上し肥育日数が短縮された、②肉質の変化・・・不飽和脂肪酸であるリノール酸、α-リノレン酸の含有量が増加することで、脂の融点が下がりくちどけの良い脂身になるといった特徴がみられた。こうした経緯を経て、銘柄を「パールポークほろよい」に改めた。同社が経営する販売店「肉よし」をはじめ、地元スーパーなどで流通している。
養豚から豚肉の加工・流通をはじめ飲食までを一貫経営で展開する(株)フリーデン(本社:神奈川県平塚市、小俣勝彦代表取締役社長)が、世界中の食品や飲料の味覚を審査し、広く国際的に認められているITI(International Taste Institute:国際味覚審査機構)2023年度審査会に国内自社農場で生産した「やまと豚」をエントリー。世界の一流シェフやソムリエの中から厳選された審査グループによる目隠し方式官能分析の結果、2015年度より9年連続でSuperior Taste Award (優秀味覚賞)「三ツ星」を受賞した。厳しい審査基準の中でおいしさに直結する「味覚評価」において、100点満点中95.6 点という高スコアを獲得、総合評価でも 91.5 点を得た。
同時にエントリーした「やまと豚 骨付ハム」も「三ツ星」を7年連続で受賞。ITI 最高峰の「ダイヤモンド味覚賞」に輝いた。骨付ハムは「やまと豚」1頭から2本しか取れない希少なハムで、自社のハム工場で1つずつていねいに、約1カ月かけて仕上げている。同賞の受賞は、国産ハムとして日本初の快挙である。
近畿大学生物理工学部(和歌山県紀の川市)食品安全工学科の白木琢磨准教授らの研究グループは5月31日、肉豚(三元豚)を効果的に霜降りにする「アミノ酸比率法」を用いた飼養技術を改良し、汎用性の高い配合飼料での開発に成功したことを発表した。
「アミノ酸比率法」は、元近畿大学生物理工学部教授の入江正和氏(現独立行政法人家畜改良センター理事長)らにより、平成15年(2003年)に、廃棄パンを利用したエコフィードが食味の優れた霜降り豚肉を生み出すことが見出された。その後、近畿大学が平成27年(2015年)から平成29年(2017年)に主導して行った農林水産省の「農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業(課題番号:27005B)」(研究代表者:入江正和、白木琢磨)により、飼料に含まれるリジンの量と粗タンパク質量(CP)の配合比が霜降り豚肉の作出に重要な要素であることがわかり、その効果的な配合による飼養技術を「アミノ酸比率法」と命名した。
なお近年、エコフィードの利用が進んでいるが、安定的な入手が困難なこともあるため、今回の事業では飼料の安定性と試験の精度を高めるために、エコフィードよりも入手しやすい配合飼料を用い、より効果的なアミノ酸比率法を確立している。
麹を使った機能性飼料を開発・製造している(株)源麹研究所(本社:鹿児島県霧島市)がこのほど、採卵養鶏場で大量に発生する破砕卵(ひび割れなどで廃棄する鶏卵)を黒麹で発酵させることで高栄養価飼料として蘇らせることに成功。それを餌として与えた豚を「黒麹たまご豚」として生産を開始した。
「たまご麹」は吸収率が高い高栄養価の飼料で嗜好性も非常に良く、この「たまご麹」を食べて育った豚の肉質は柔らかく、ほのかな甘みを持つ美味しい豚肉になるのが特徴。
特に飼料価格が高騰している昨今、養豚農家の飼料コスト削減は喫緊の課題。またSDGs (持続可能な開発目標)にも貢献できると源麹研究所では期待しつつ、国産資源を活用した「黒麴たまご豚」として商品化を目指す。
全日本大学対抗ミートジャッジング競技会実行委員会(日本ICMJ、河原聡会長:宮崎大学農学部教授)は、東京・港区の東京中央卸売市場食肉市場ならびに東京・渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターで「第15回全日本大学対抗ミートジャッジング競技会」を開催した。
日本ICMJは、畜産を学ぶ大学生に食肉格付の理論および評価技術に関する体験的学習の機会を提供するとともに、大学間そして学生間の交流を促進し、我が国の畜産・食肉業界の将来を担う人材の養成に資することを目的に、2009年より開催。2020年からは新型コロナウイルス感染症拡大の影響で対面開催が見送られていたが、今回は4年ぶりに対面での競技開催が行われた。
今大会には、全国各地の11大学から40名の学生がエントリーし、うち36名が競技に参加。2月27日の食肉産業セミナーなどのオンライン企画に続き、3月1 〜 2日にかけてグループディスカッションや競技会が行われた。また、最終日の3月2日には、競技の解説やグループディスカッション発表が行われた他、表彰式が開かれた。
(競技写真提供:全日本大学対抗ミートジャッジング競技会実行委員会)
(株)ユーチカ(本社:高知県安芸郡奈半利町448-7、近森毅代表取締役)が開発・販売する「ステンレスすのこ『きれい』」が、養豚・養鶏(ブロイラー)業界でその威力を発揮し高い評価を得ている。
ステンレスは病原菌やウイルス、寄生虫卵などの浸潤がないのが特長で、さらに「ステンレスすのこ『きれい』」は、側面と底面に汚物が付着しない構造(国際特許申請中)となっているため、スノコをひっくり返して洗浄するなどの手間が不要。表面の汚れなども楽に洗浄できるため、洗浄水は従来の20分の1程度で済み、洗浄作業の労力が激減できる。加えてスノコ幅がわずか65 mmと狭く、スノコ空間が全体の40%にもなり糞尿落下がスムーズで、スノコ全体が常に清潔な状態が保たれる。材質はNSSC2120(日鉄ステンレス)を採用しているため、強度・耐久性が非常に高い。
こうした「ステンレスすのこ『きれい』」の特長により、豚舎環境が改善し、豚の事故率低下、発育向上がもたらされ、確実に養豚経営の利益が増大する。
シミュレーションでは、コンクリートスノコを使用していた時と、「ステンレスすのこ『きれい』」に変更して1年後の農場成績を比較。肥育日数145日(生後170日)だったものが141日に短縮。農場要求率は3.27から3.18に改善、出荷不良豚は200頭から50頭に減少、年間出荷頭数は14,903頭から15,482頭に増加。さらに、洗浄経費が378,000円から75,000円に減少、出荷不良豚処理費用も600,000円から150,000円に減少し、年間売上高からそれらを差し引いた合計金額がコンクリートスノコの時には624,948,000円だったものが650,019,000円と、収益が25,071,000円も増えた。
こうした結果からユーチカ代表取締役の近森毅さんは、「「ステンレスすのこ『きれい』」は、汚物の付着が少なく洗浄が早くでき、耐久力に優れ、豚舎内の粉塵がなくなることなどもすぐに実感できますが、それにも増して収益差に驚かれます。単価的には高いスノコですが、1年で元が取れ、その後の利益の差には目を見張るものがあります」と、「ステンレスすのこ『きれい』」が養豚分野において高い経済性をもたらしている事実を説明する。
ほかにはない商品で食肉小売店の経営力アップを目指す―全国食肉事業協同組合連合会(全肉連、河原光雄会長)主催の「令和4年度食肉加工製造技術研修会」が1月23〜24日、静岡県富士市の手作りハム・ソーセージ専門店・グロースヴァルトSANOで開催された。
全肉連が独立行政法人農畜産業振興機構の助成を受け、食肉小売機能高度化推進事業(小売機能高度化の推進)として道府県肉連組合員を対象に平成19年度から行っているもの。食肉の低需要部位を有効利用し、高付加価値製品を開発、販売品目の多様化を通じ、食肉小売店の経営強化を図ることを目的としている。コロナ禍により中断を余儀なくされたため3年ぶりの開催となった今年度の研修会には全国から20人が参加した。
2日間にわたり腸詰めソーセージ、アウフシュニッツ(太物のソーセージ)、フライッシュケーゼ(ソーセージ生地のオーブン焼き)、コーンドビーフなど24品目のカッティング、充填作業、乾燥・燻煙・加熱工程のコツを学んだ。カッターへの原料肉や氷を投入するタイミング、スパイスなどの調味料を入れる順番、製品温度のコントロール、刃の回転数の切り替え時など教科書では分からない微妙な技術を目の当たりにした。また、腸詰めソーセージひねりなどの作業を実際に体験した。
サラヤ(株)(本社:大阪市東住吉区、更家悠介代表取締役社長)は、100%子会社である(株)Cotof(本社:大阪市東住吉区、脇本邦裕代表取締役社長)を2022年12月12日に設立した。
サラヤは1952年の創業当時より、食品衛生の分野でさまざまな商品とサービスを提供してきたが、昨今の飲食業界におけるフードロスや人手不足など、食を取り巻く課題が深刻化している状況に対し、液体急速凍結機「ラピッドフリーザー」をはじめとした新チルド冷凍調理システムを使用したアイドルタイムの活用や産地支援など通して、これらの課題解決に取り組んでいる。その具体的な取り組みの一環として、Cotofはサラヤが提供する商品とサービスを活用したモデル事業を体現する企業としてフードロスや人手不足などの課題解決に貢献し、「持続可能な次世代の“食”のカタチを創造」する企業を目指し設立された。
またテスト店舗として、大阪市東住吉区に「美味しく」「楽しく」「健康に」をテーマにしたヘルシー惣菜量り売りと冷凍食品などの販売を行う店舗 「コトフ マルシェ」を2023年1月11日にオープン。「コトフ マルシェ」では、ヘルシー惣菜、冷凍食品、スムージーなどプロの料理人や管理栄養士が監修・企画開発した商品を販売する。サラヤが製造販売する液体急速凍結機「ラピッドフリーザー」導入先の全国生産者や加工業者の冷凍食品の販売支援も行う。
カナダ産ブランド豚肉「ハイライフポーク」を展開する(株)HyLife Pork Japan(本社:東京都渋谷区猿楽町、舩越直之社長執行役員兼CBDO, Asia)が11月28日、同社が運営するブランドレストラン「代官山ハイライフポークテーフル」(東京都渋谷区猿楽町)のリニューアルオープン(2023年10月)に合わせ、ハイライフポークの生産管理システムや今後の日本市場におけるマーケティング戦略などを説明するプレスセミナーを行った。
カナダのマニトバ州ラ・ブローケリーに本社を置く「ハイライフ社」(HyLife Ltd.)で生産される「ハイライフポーク」の国内マーケティング活動を推進するHyLife Pork Japanは2016年に設立され、今回のセミナーでは同社社長執行役員兼CBDO, Asiaの舩越直之氏が北米マーケットの最新動向に関するレポートや、生産量のほとんどを日本向けとしている「ハイライフポーク」のDX(デジタルトランスフォーメーション)技術により品種改良から生産・加工輸送までを自社で行う「自社一貫生産」システムをはじめとするHyLife社独自の徹底したスマート畜産システムの導入状況などについて解説した。また、HyLife 社と資本関係にある伊藤忠商事(株)の食料カンパニー生鮮食品部門生鮮食品第二部畜産ビジネス課課長の宇田創(はじめ)氏からは、今後のハイライフポークの日本市場での展開などについて説明があった。
セミナー終了後には、ハイライフポークの試食会が行われ、代官山ハイライフポークテーブルのメインシェフである篠嵜司氏が、リニューアルのポイントに加え、昨今のレシピに関するニーズやハイライフポークのおいしさの秘訣について説明。また家庭で気軽に楽しめる秋冬のおすすめメニューや時短・節約などのポイントについても解説した。
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