一般社団法人国産生ハム協会主催による「国産生ハムフェスティバル in 軽井沢」が6月16日、会員制リゾートホテル「グランドエクシブ軽井沢」(長野県北佐久郡軽井沢町追分)の本館2階コンベンションホールで開催された。イタリアの「プロシュット・ディ・パルマ」やスペインの「ハモン・イベリコ」などヨーロッパの著名ブランドに匹敵するような品質の長期熟成生ハムが日本国内でも生産され始めているが、その多くが小規模な工房であることから国内の製造者同士の交流とマーケット拡大をねらって開催したもの。初参加の2工房を含め全国18工房の国産生ハムが軽井沢に集結し、販促プロモーションを繰り広げた。
このフェスティバルは2017年と2018年に秋田県仙北市、2019年に長野県軽井沢町で開催されたのに続いて、2021年と2022年に山形県鶴岡市、2023年北海道札幌市、今回が実質7回目(2020年はコロナ禍のため中止)、軽井沢町では2度目の開催。今回は地元長野県の生ハム工房「ジャンボン・ド・ヒメキ」代表の藤原伸彦さんを実行委員長に、リゾートホテル「グランドエクシブ軽井沢」やチーズ、ワイン、ビールなど地場産品生産者らの強力なバックアップのもとでの催行となった。
主催者の国産生ハム協会は国産長期熟成生ハムの普及活動や正しい知識の啓蒙活動を通じて生ハム市場を拡大させようと任意団体として2012年に設立された。2017年2月一般社団法人に改組し、①国内に点在する国産生ハム生産者ネットワークの構築と情報発信、②国産生ハムの普及セミナー・イベント事業、③国産生ハムの認証事業、④国産生ハムを活用した地域活性事業、⑤国産生ハムと国産農産物の消費拡大を目指し、販売ネットワークの構築、などの事業を行っている。
愛知県岡崎市で群生する竹を資源として活用する「オクオカ竹プロジェクト」から生まれた銘柄豚「岡崎竹千代ポーク」が発表以来、注目を集めている。
プロジェクトに参加するのは岡崎森林組合、岡崎市ぬかた商工会などさまざまな団体や企業。伐採された竹は乾燥させ、チップ状にして処理するのが一般的であったが、プロジェクトに参加した(株)深瀬畜産代表取締役の深瀬政幸氏は、竹を豚の飼料として利用することを発案。この提案に、岡崎市の養豚場である(株)矢作畜産が賛同し、「岡崎竹千代ポーク」の開発がスタートした。
当初は乳酸発酵した竹粉を飼料に添加する計画であったが、発酵が難しく、何より豚熱(CSF)のリスクを考慮し断念。しかしプロジェクトを通じて活性炭を製造する企業と出会い、竹を炭にしても腸内環境を整える効果や、人が口にしても問題ないことなどをアドバイスしてもらい、竹炭を飼料に添加することとした。
その後も、深瀬氏を通じて岡崎市内の精肉店や量販店、JAあいち経済連などの協力を得ることができ、食味試験や肉質の分析を行い、通常の国産豚肉に比べてオレイン酸が多く含まれているとの試験結果も得られた。こうして流通販路などスムーズに準備が整い、令和5年3月に「岡崎竹千代ポーク」の発表に漕ぎつけた。
矢作畜産の山本氏は「においが少なく、クセのない肉で、甘味がある。しゃぶしゃぶにした時に出るアクが少ない豚肉です。自分たちがこだわって生産したものを食べてほしいですね」と仕上がりに自信を見せる。また深瀬氏は「多くの人の協力のおかげで「岡崎竹千代ポーク」をスムーズに販売開始することができましたし、この銘柄豚の生産が続くことで、竹の活用とともに、養豚業への注目が高まることを期待しています」としている。
京都府京丹波町の養豚場である(株)岸本畜産が生産する「京丹波ぽーく」は、誕生以来、その美味しさが人気を呼び、地元である京丹波町や京都市内の飲食店を中心に流通している。同社では「美味しい豚肉」「一人でも多くの方に食べてもらうこと」をモットーに、先代である岸本和雄さんが築いたノウハウを、息子で現代表取締役の大地さんが引き継ぎ、母豚120頭の一貫経営を行っている。
「京丹波ぽーく」は甘くやわらかい脂身がいちばんの特徴で、品種によってPREMIUMとBASICに分けられる。PREMIUMはデュロック純粋種で、肥育後期、仕上げ期に大麦、パン粉、小麦を40%以上添加した自家配合のエコフィードを60日以上給与し、出荷日齢190日以上、出荷体重目安110kと生産から出荷までの条件を定めている。BASICはLWD種で、PREMIUMと同様の飼料を給与し育てられている。
生産の基盤となる種豚は自家更新で、原種豚には独立行政法人家畜改良センターのデュロック種「ユメサクラエース」を導入。また農事組合法人富士農場サービスからも導入しているという。
「京丹波ぽーく」の名称は平成24年11月に商標登録証を取得し、岸本畜産の自社ブランドとして誕生。京丹波ぽーくPREMIUMは平成30年に開催された「食肉産業展2018 第16回銘柄ポーク好感度コンテスト」で最優秀賞を受賞し、全国的に注目を集めた。
また、同社では以前より、京都府のブランド畜産物である「京都ぽーく」の生産に取り組んでおり、地域の特産品としての養豚生産の一翼を担ってきた。
生産規模について大地さんは「現在の生産規模だからこそ作れる品質ですし、この規模を維持していきたい」としている。
公益社団法人中央畜産会が主催する「国際養鶏養豚総合展(IPPS)2024」が4月24~26日、愛知県名古屋市・ポートメッセなごや第1展示館で開催された。
第10回迎えた本展示会は、新型コロナウイルス収束後の初開催となり、今回は「広げよう畜産の未来 養鶏養豚産業の未来を動かす三日間。」をテーマに、海外企業も含め216社・団体が出展し、会期中の来場者は23,298人に上った。
会場の一部には特別企画ゾーンとして、スマート畜産についての機器や技術を集め紹介する「スマート畜産ゾーン」、生活衛生、家畜衛生などさまざまなウイルス対策に効果的な製品や機器を集めた「衛生対策ゾーン」に加えて、環境に配慮した最新の施設・機械、成果を紹介する「SDGsゾーン」が新設された。また養鶏・養豚業界に参入後3年以内の企業を対象とした「スタートアップ企画」コーナーや、屋外では製品・機器の仕組みや効果、特性を直接確認できる「デモンストレーションエリア」が設けられ注目を集めた。
フードコーナーでは、銘柄豚や地鶏を使ったお弁当や唐揚げ、ピザやデザートの販売が連日好評を博したほか、銘柄豚のしゃぶしゃぶ食べ比べなど試食を展開するブースも多く見られた。
24日には、一般社団法人日本養豚協会(JPPA、香川雅彦会長)青年部会(服部清太部会長)による「「俺たちの豚肉を食ってくれ!」IPPS特別企画」として、青年部会の活動紹介、1月に発生した能登半島沖地震の復興支援を目的としたチャリティーオークションが開催された。オークションでは、同青年部役員が持ち寄った豚の置物や絵画、また各農場で生産された豚肉や加工品のギフトセットなどが出品され、落札価格の合計40万円以上となるなど、大きな盛り上がりを見せた。オークションの売上は全額寄付される。
「折爪三元豚 佐助」(通称:佐助豚)のブランド豚でお馴染みの久慈ファーム(有)(岩手県二戸市、久慈剛志社長)は、母豚400頭の一貫経営を行うとともに、自社の食肉加工場も有し、豚肉の加工販売も行っている。
久慈ファームの養豚経営は現社長、久慈剛志さんは三代目。「佐助豚」の評判が広まり、現在ではレストランやホテル、飲食店などから銘柄指定で注文が入るようになり、今では岩手県内・関東をはじめ全国約500店舗で「佐助豚」が使われている。
さらに久慈ファームでは、「佐助豚」とは異なった肉質を持つ、新ブランド「おそ咲きノ豚」を立ち上げた。通常流通している豚肉となる豚の出荷日齢は180日前後だが、「おそ咲きノ豚」は大貫豚であるため飼育期間は3年半ほどで、体重も大きく、ほとんどがテーブルミートではなく、食肉加工品や惣菜などの原料として流通することが多い。それゆえに希少性の高さも魅力の一つだが、通常の豚枝肉格付規格では「等外」となり、上物、中物、並物に比べて価格が安い。
しかし久慈ファームでは、養豚生産から加工・販売までの一貫生産体制を武器に、「飼育期間の長い親豚(大貫豚)は体重が肉豚の約2倍。しかも食べ応えがあり、歯応え、強い旨味が特徴で、何十年と日の目を見なかった豚肉に光があたり、日本初のブランド化でやっと華を咲かせます」と剛志さんはブランド大貫豚の特長を強調する。
「第16回全日本大学対抗ミートジャッジング競技会」(主催:日本ICMJ実行委員会、河原聡実行委員長)が2月28日〜3月1日にかけて、東京都中央卸売市場食肉市場(東京・港区)、国立オリンピック記念青少年総合センター(東京・渋谷区)の都内2会場で開催された。今年は、初参加となる宮城大学など13大学から合計45名の学生がエントリーし、うち42名が競技に参加。コロナ禍を経て、完全な対面での競技会開催は5年ぶりとなった。
全日本大学対抗ミートジャッジング競技会は、全国の農学系学部で畜産学を学ぶ学生を対象として、食肉格付に関する体験的な学習および同じ分野を志す学生相互の学術的な交流を通じて畜産業や食肉産業の将来を担う人材の育成などを目的としている。
3月1日に行われた表彰式では、河原氏が「競技を通して食肉のことに関心を持ってもらいたい、勉強のきっかけにしてもらいたいという思いがある。食肉に限らず、食に関わる業界が広範にわたること、さまざまな仕事があり、それで世の中が動いていることを学んでほしい。食肉産業について幅広く勉強してもらい、将来この業界を盛り上げていく人材に育ってほしい」と参加者らに呼びかけた。
第63回農林水産祭参加「令和5年度第8回東京食肉市場豚枝肉共励会」(主催:一般社団法人東京食肉市場協会)が2月7〜9日の3日間、東京・港区の東京都中央卸売市場食肉市場で開催された。
全国各地から出品された1,000頭の中から、栄えある名誉賞に選ばれたのは、(有)ケイアイファウム北上の出品豚(極上、雌、枝肉重量81.0kg)。9日の競りでは同共励会の史上最高値となるキロ当たり20,027円で購買された。
審査講評によると、同社の出品豚は「筋肉に細かいサシもあり、肉色も良く、いずれも厚みがありバランスの優れた豚肉」だった点などが評価され名誉賞受賞につながった。
2度目の名誉賞受賞となったケイアイファウムの宮地博史社長は大変うれしいと話し、「肉質向上に向けて取り組みよいものを作っていこうと皆で頑張ってきた。職員に感謝したい」と受賞の喜びを述べた。
伊藤忠飼料(株)(東京都江東区、正好邦彦代表取締役社長)の国産穀物給与豚「みちのくの心意気」が環境省主催の第11回グッドライフアワード実行委員会特別賞を受賞した。
“環境と社会によい暮らし”を表彰する第11回グッドライフアワードでは、実行委員会での審査を踏まえ、環境大臣賞として最優秀賞(1件)、優秀賞(3件)、各部門賞(6件)を決定。その他の優れた取り組みを実行委員会特別賞(30件)として選定し、2023年12月2日に表彰式が開催された。この中で、伊藤忠飼料のブランド豚肉「みちのくの心意気」とその生産プロジェクトが、実行委員会特別賞「EXPO2025 いのち動的平衡賞」を受賞した。
グッドライフアワードは、環境省が提唱する「地域循環共生圏」の理念を具現化する取り組みを表彰し認知を広げることを目的とした、環境と社会によい活動を応援するプロジェクトで、2023年で11回目を迎えた。実行委員会特別賞である「EXPO2025 いのち動的平衡賞」は、いのちやモノが循環し、常に入れ替わり続けることを前提とした「利他的」な取り組みを表彰する特別賞で、実行委員である福岡伸一氏が2025年の大阪・関西万博においてプロデュースするシグネチャーパビリオン「いのち動的平衡館」に関連した賞である。
「みちのくの心意気」は肥育期に国産穀物(トウモロコシ、飼料米)100%の飼料を給与した、SDGsに配慮した豚肉で、①食料自給率の向上:東北地方で生産されたトウモロコシを中心とした国産穀物100%の飼料を給与②休耕田問題の解消:東北地方の水田を利用してトウモロコシを生産③地域循環の創出:養豚生産の過程で発生した堆肥は地域の圃場で有効利用④食育への貢献:生産された豚肉は地域の学校給食にも提供――といった特徴を有する。
豚肉消費拡大イベント「俺たちの豚肉を食ってくれ!」(通称:俺豚)が2023年11月18日、東京・JR有楽町駅前広場で開催された。
俺豚は、一般社団法人日本養豚協会(JPPA)青年部会(服部清太青年部会長)が2007年から行っている消費拡大イベント。全国の若手養豚従事者や業界関係者の間をつなぐネットワークづくりの場としても発展してきた。
新型コロナ禍では感染拡大防止の観点からSNS上でのデジタル開催が続いていたものの、今回は取り組みの原点に回帰。会場型開催で行うのは4年ぶりとなった。全国から若手養豚生産者や業界関係者が集結し、しゃぶしゃぶ試食提供などを通して、日本産豚肉の消費拡大に向けたPRを行った。
開会式では、服部青年部会長が「青年部会として4年ぶりの俺豚の開催となる。皆で協力して、この有楽町から美味しい豚肉をPRできたらと思っている。皆さんの熱い思いを豚肉なりしゃぶしゃぶに乗せて届けていきたい」とあいさつ。会場内に設置されたキッチンカーでは1日3回に分け、茨城県・(有)石上ファーム、北海道・(有)ビィクトリーポーク、山形県・成澤養豚(株)、香川県・(株)STPF、長野県・(株)あずみ野エコファーム、宮崎県・(有)香川畜産の豚肉を使ったしゃぶしゃぶの試食提供を行ったほか、生産者それぞれが特設ステージに上がり生産のこだわりなどをPRした。また恒例の「養豚○×クイズ大会」や福島めっけ〜ずによるPR・トークショーも展開。場内では福島県産豚焼肉セット(1kg)やご当地豚肉加工品といった豚肉製品やグッズなどが当たる抽選会が行われ、大勢の来場者で賑わった。
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