2013年4月25日号
◎(農)会田共同養鶏組合
ゴトウさくらにモミ米20%の「米たまご」
国産のエサ米で食料自給率の向上を図る
「自分でエサまで作らないとほんとうに健康な鶏にはならない」という考えに基づき、昭和56年から第一種承認飼料工場で自家配合を続けている会田共同養鶏組合(長野県松本市)。
その工場内に掲げられている中島学会長の理念「遺伝子組換え原料を拒否した純粋なエサを使います」「国産のエサ米で自給率向上を目指す」の通り、NON-GMOとポストハーベストフリーの飼料原料を使用し、平成20年からは飼料米の利活用の実証試験を開始、23年にはモミ米を20%配合した「あいだの米たまご」を発表した。
中島会長は「荒れ地になっている所を本来の美しい水田の姿に戻すことで食料自給率が上がれば素晴らしいし、鶏の健康にも卵の品質にもいい」とその取り組みを説明する。
飼料米の導入に当たっては「耕畜連携で循環型社会をつくるため」、納入先である生活クラブ生協や生産農家とも勉強会を重ねて、さまざまな試験も行った。
組合からは米農家に1ヘクタール当たり450キログラムの鶏ふんを無償で提供、その肥料を使ったモミ米で育った国産鶏・ゴトウさくらが卵を生むという型は、まさに「再生可能な循環型農業を確立する」という創業の精神を現実化したもので、現代のアニマルウェルフェアの考え方とも合致する。
飼料米専用サイロの新設や飼料設計システムの組み替えなど、手間とコストも掛かったが、その結果として生まれた米たまごは、各種の科学分析でオレイン酸やビタミンEを多く含むことが証明され、「お客さんからもおいしくなったと言われる」と、今や「平飼いたまご」と並ぶ看板商品になっている。
その平飼いたまごは、飼料に乳酸菌とオリゴ糖、カキ殻などをバランス良く組み合わせて配合するなど、鶏の健康に配慮した飼養法を続けている。さらに牧草を使った「牧草たまご」や「健やか」など多くのブランド卵をそろえるが、飼料はそれぞれ異なる設計がされており、自家配合の強みを生かしている。こうした中でも現在、特に力を入れているのが飼料米だ。
中島会長は飼料米の利用促進に向けた今後の取り組みについて「米たまごの良さが広まることで飼料米の良さも広まって、将来的には反収1トンの多収穫米など専用種の開発につながっていけば」と期待を寄せている。
卵かけご飯を食べてほしい
昨年11月には農場HACCP認証を取得。「組合組織に特有の苦労もあった」が、「絶えず改善していこうという姿勢が生まれてきたのはプラス」と前向きにとらえている。
こうしたこれまでの品質や生産性、衛生管理面への取り組みに加えて、今春は安曇野市に直売所をオープンさせる。これは「利益率が低い生産の1次産業だけではなく、加工や販売まで含めた6次産業化によって農業を発展させたい」という思いから。昨年は農水省の6次産業化法で総合化事業計画の認定を受け、親鶏の加工処理施設もつくった。
直売所では親鶏を使った300グラム入りの「味付け肉」のほか、地元農家が生産した野菜も販売する。さらに「卵かけご飯はぜひ食べてもらいたい」と試食コーナーを設けて、新たなファン層の開拓も図る。
「直売所で加工品の手応えをつかんで、ゆくゆくは新しい事業の柱にしたい」という中島会長の目は、常に前を向いている。
|