鶏卵肉情報 進化するブランド

2014年12月25日号

◎(株)ナカデケイラン
葉酸を一般卵の3倍含む「葉酸たまご」
老若男女すべてに役立つ「栄養機能食品」


栄養と機能性に富んだブランド卵ながら、阪急百貨店での発売当初は「一日3パックしか売れなかった」日もあったという「葉酸たまご」。そこで、生産・販売する(株)ナカデケイラン(京都市)の桑山直希社長は「自分で売り場に立って直接お客さんと触れ合うことで特徴をていねいに説明するとともに、百貨店側の販売員にも商品の特性を理解してもらうよう」行動した。

葉酸は水溶性のビタミンB群の一種で、赤血球の形成を助け、胎児の正常な発育に寄与する栄養素として知られている。その葉酸を抽出し、プレミックスとして開発したのは京都市の(株)ファーマフーズ。同社とともに開発した葉酸たまごは一般卵の3倍の葉酸を含み「妊娠中の女性だけでなく、老若男女すべての人に役立つ栄養機能食品」だという。

ただ、葉酸はヒトの身体に吸収されにくく、ビタミンB12やビタミンC、鉄分と一緒に摂取すると取り込みやすいという特徴があることから、ナカデケイランはホームページで「トマトチーズオムレツ」や「ほうれん草とベーコンと玉子のオリーブオイル炒め」といった、葉酸をより身体に吸収しやすくするようなレシピも紹介している。

昭和34年に鶏卵卸「中出鶏卵」として創業した同社はその後、農場を設立して生産・販売一貫体制を構築した。桑山氏自身は、異業種から転身して社長就任3年目になる。

自社と業界の改善のため、多くの若手同業者や異業種との話し合いを重ね「各地の事例を視察すればするほど、当社の15万羽のような規模は今後、最も苦しくなるだろう」として、これまでとは異なる取り組みも進めてきた。

「異業種と話しているといろいろなアイデアを持っている人がいるし、困っている人同士をマッチングする人脈を持っている人もいる。横のつながりを今後も大切にしていきたい」と桑山氏は今日も笑顔で話す。



2014年11月25日号

◎(有)卵明舎
ふんわり感が40%増の「麿宝卵GOLD」
特許技術を基に洋菓子の製造・販売も


「焼いた時にふっくらした卵を」という料理人のリクエストを基に開発された「麿宝卵GOLD」(まほうらんゴールド)。生産する(有)卵明舎(栃木県宇都宮市)の寺内昌文社長は「生で食べておいしいという卵はたくさんあるが、焼いても味が損なわれないというコンセプトの卵はそれまでなかったはず」と、平成元年から「ふんわりとおいしい卵」の開発に着手した。

以来、寺内氏は飼料に30数種類の原料を配合することで「焼いた時にふんわりとふくらむ卵」を実現。シフォンケーキにした時のふくらみ度は一般卵よりも40%向上するという。さらに、「後引くコク」は一般卵と比較して生では2.33倍、卵焼きでは2.20倍というデータも。2008年には「ヤシ油を含ませた鶏用飼料及びその飼料で育った鶏の卵で調整するパンまたはケーキの生地」で特許も取得、都内各店の有名シェフにも絶賛される卵になった。また、6次産業化法の施行より10年以上も前の2000年には直売所を、06年には洋菓子店「パティスリー メルシー」をオープン。生臭くなくコクと甘みのある麿宝卵GOLDは、直売所でも人気を博している。

卵は6個や10個などのパック販売が一般的だが、卵明舎では数ではなくグラムいくらという重量によるバラ売りをメインにしている。パックの代わりに使うのは、段ボールを切って貼って作った箱。その箱を作るのは、市内の障害者。これは「地域とのつながりを大切に」という寺内氏の思いからで、障害者には農場の草むしりも手伝ってもらっている。その箱に本来のインパックラベルを封入したら、あとはビニールを張るだけという簡易版だ。寺内氏は「お客さんもキロ単位で買っていく人が多いし、その方がパックより安いから」と笑う。

料理人のリクエストやお客さんの声など、ニーズに対応した商品開発と販売法が支持されて、直売所には平日でも230〜240人が来店するという。



2014年10月25日号

◎(有)九頭龍
焼き色が鮮やかな「奥富のたまご」
黄味の色が濃厚でコクのある味わい


飼料に天然ミネラルやマリーゴールド、ウコン末、乳酸菌、酵母菌など20種類を配合した「奥富のたまご」は、生産する(有)九頭龍(埼玉県狭山市、栗原猛社長)の栗原忠寿専務が「卵焼きやオムレツにすると鮮やかな色に焼き上がる」というように、黄味の色が濃厚でコクのある味わいが特徴になっている。

オープン2年目の直売所「くずりゅう」は、外壁だけでなく内装にも小学校の机や椅子など木を効果的に配置し、奥富のたまごや名古屋コーチン、烏骨鶏の卵のほか、名古屋コーチンの肉も販売。ピンク卵、二黄卵、極端な大玉などのB卵は「アウトレットコーナー」で格安販売することで、行列もできる人気になった。

直売はこれからの課題だが、飼養管理と環境対策には先端技術を積極的に取り入れている。

近年は異常気象の影響で猛暑が続き、昨年夏前から「鶏舎飲料水冷却システム」を導入し「このシステムを取り入れた鶏舎では去年も今年も斃死がなかった」という効果を上げている。

平成16年から鶏ふんの臭気対策と減容化を図るため「急速発酵処理機」を導入した。21年からは2号機も稼働させている。忠寿氏は「これで臭気も鶏ふんも完全になくなるわけではないが、一括排気なので対策も取りやすいし、なにより農場のスペースが限られている中で鶏ふんが増えないのはありがたい。害虫の発生も抑制できた」と手応えを感じている。



2014年9月25日号

◎上原養鶏場
発酵飼料の自家配合が生む「緑葉卵」
吸収力を高め「鶏を元気に育てる」


上原養鶏場(宮崎県都城市)では「鶏を元気に育てるのが第一」をモットーに、独自に研究を重ねた発酵飼料を自家配合している。その原料になるのがニラを中心とした野菜などの緑餌で、この発酵飼料を季節ごとに異なる材料で配合する。

原点になっているのは、自らの体験だ。「私の子が幼い頃、アレルギーで卵が食べられなかった。せっかく養鶏をしているのでなんとかできないかと考えて」始めたのが、飼料の研究だった。それ以来、「子どもに『おいしい』といってもらえる卵を目指してきた。手間ひまかけた今の飼料を使うようになってから、同じ悩みを持つお客さんからも『この卵なら大丈夫だった』といってもらえるようになった」と、徐々にファンを増やしている。

飼料にはさらに、発酵させたノコクズも配合する。発酵させることによって「ノコクズの繊維が鶏の吸収力を高めて、健康を増進する」。

上原養鶏場ではヒナを初生で導入し、これらの飼料を5日齢から給与している。これも「ノコクズはたとえ発酵させても初生ヒナには害になる」という研究に基づいている。

上原氏は「健康な鶏はふんのにおいも少ない」という。たしかに、取材した昔ながらの高床式鶏舎は、においがほとんどない。においが少なければ鶏舎内のアンモニアも抑制されるため、鶏はますます健康になる。元気で健康に育った鶏はアミノ酸に富んだおいしい卵を生む。その循環こそが、「緑葉卵」のおいしさにつながっている。

上原氏は自らの取り組みについて、「大手にとっては効率的なやり方ではないかもしれないが、今後も手を抜かず、気を抜かずに、手間ひまかけてでも地道にいい卵をつくっていきたい」と話している。



2014年8月25日号

◎中島養鶏場
しっかりした卵黄の「信州のたまご」
卵と親鶏とシャモで飲食店の経営も


ご飯と味噌汁お代わり無料、漬物取り放題に夏はスイカも食べ放題という太っ腹な店「生産者直営食堂 ご飯屋」が昨年11月1日、松本駅ビル内にオープンした。経営しているのは長野県の野菜生産者、卵と親鶏と信州黄金シャモを提供し出資もしているのは中島養鶏場(松本市)と、正真正銘「生産者直営」の飲食店だ。中島昌志代表が15年前、JA松本ハイランドの畜種横断型勉強会「畜志会」(ちくしかい)で長野県の野菜生産者・横水貴幸さん(フェローズ(株)社長)と知り合い、「親鶏を使って親子丼の店をやろう」と意気投合したのが「ご飯屋」開店のきっかけだった。

つくねや親子丼は親鶏を使うことで独特の食感を生み出し、他店との差別化を図る。親鶏肉は毎月モモ5〜10キロ、ムネ15〜20キロが使われる。

卵はタンパク質やカルシウムのほか、カロチンやビタミンEが豊富な牧草とパプリカを加えた専用飼料と、特殊な酵素を添加した飲水を給与。これによって臭いを抑え、しっかりした卵黄に仕上げたJAブランドの「信州のたまご」と「信州産赤玉」のほか、独自ブランド「信州米あわせ」の規格外品なども活用している。

さらに、軍鶏と名古屋の交配で県が普及を図る地鶏「信州黄金シャモ」の生産も手掛けているが、これも「信州産の食材の良さを伝えたい」という思いから。「卵も野菜も新鮮でおいしいし、親鶏の独特の食感も味わえる。生産者直営だからシャモも安く提供できるし、規格外のスイカはカットして食べ放題にすればお客さんにも喜んでもらえる」という狙いは当たった。オープンして1年弱だが、今では地元テレビ局などからの取材も多く、売上げも着実に伸びているという。



2014年7月25日号

◎マルイ食品(株)
グループの輪が生む「マルイの輪」
ヒナの育成、飼料生産から販売まで


ヒナの育成から飼料の生産、農場、GPセンター、流通まで、すべてマルイ農協グループの一貫体制の「輪」の中で生産・販売される「マルイの輪」。自前の思想を原点に設立されたマルイ農協グループでは、ヒナはマルイファーム(株)で、飼料はマルイ飼料(株)で生産し、鶏卵・鶏肉の処理・販売をマルイ食品(株)(鹿児島県出水市)が担う。さらに、生産過程で排出される鶏ふんはマルイファームが地元・鹿児島の焼酎粕を添加して肥料として販売し、循環型農業を実践している。

マルイ食品の上須田清社長は飼料用米の普及に力を入れており、国産飼料用米を10%配合し生産しているのが「マルイ元気米たまご」。農林水産省が平成26年度の飼料政策として飼料用米とエコフィードを2本柱に据えているように、飼料用米は循環型農業で重要な役割を担っているが、上須田社長の視線はさらにその先を行く。「飼料原料を海外から買い付けるということは、日本の資産が海外に流出していることを意味している。飼料原料を国内で自給することができれば、モノだけでなくお金も地域で循環することになる」と、作物の循環による農業と地域経済の振興まで視野に入れている。

また徹底した衛生・品質管理体制で、すべての農場ですべての鶏に対して定期的に血液検査を行うほか、鶏舎の床面は増菌法によって細菌数をシビアにチェック。さらに、水溶した消石灰で鶏舎床面をコーティングする「白ぬりくん」など疾病対策を講じている。



2014年6月25日号

◎(有)野村たまご
旨味や甘味が強く、まろやかな味わいの卵
健康管理を徹底した国産鶏もみじとさくら


「野村たまごのゴトウさくらともみじは一般的な白卵と比較して旨味が強く、濃厚な味わい」――。(株)味香り戦略研究所の味覚センサーによる味分析でそう評価された(有)野村たまご。野村明夫会長はこれまで一貫して「臭いとホコリとハエを発生させない、地域に絶対迷惑を掛けない農場」を目指し、さまざまな研究を行ってきた。

昭和58年には欧米の農場を視察、平成元年にはフロリダで出会ったクーリングパドを取り入れた独・ファーマーオートマチック社のインラインシステム鶏舎を導入。さらに、鶏舎内の鶏ふん処理「ワンタッチ反転スノコ」や、タイマーを使ったふんベルトの管理によるモーターの負荷の軽減、集卵ラインの破卵防止装置「たまご番」、「野村たまご方式」など、斬新なアイデアの数々は今も現役として業界に貢献している。

中でも野村会長が「効果が高い」として活用しているのが、特殊な鉄分を含んだ水「FCCウォーター」で、「噴霧器で鶏舎内に噴霧することで鶏が健康になり、産卵成績も向上した」という。

育成舎はマンションに隣接する立地にも関わらず苦情はほとんどなく、「地域に迷惑を掛けない農場」を実現させたのは、こうした創意工夫の成果だ。

ゴトウのもみじとさくらに、季節ごとに異なる配合の飼料を給与。さらにきな粉やオリゴ糖、酵母米粒、海藻などを配合する。「鶏種とエサと水と環境を大切に」してきた結果として、卵の品質も向上。手間暇かけた飼養管理の工程を経て、「旨味が強く、濃厚な味わい」が誕生した。

平成17年には、直売所に喫茶店「チャンス」を併設。店名は「健康に出会えるチャンス」にちなんでいる。



2014年5月25日号

◎キムラファーム
甘くまろやかな8種類の「五泉の五卵」
卵は味で勝負。「エサ代はケチらない」


水と空気に恵まれた農場でカラフルな卵殻色の8種類の卵を生産・販売するキムラファーム(新潟県五泉市)。

「おいしい卵は健康な鶏から、健康な鶏は高品質のエサと恵まれた環境から」という木村道雄副代表の考えの下、飼料には海藻粉末や木酢精製液、ゼオライトなどから成る地養素を加え、さらに卵殻質の強化と鶏の腸内環境のためにオリゴ糖や貝のカルシウムに由来するビタミンミネラル・プレミツクスも配合している。

これらの混合飼料と添加材に加えて、水と空気に恵まれた飼養環境の効果で鶏の健康状態が保たれているため、農場と同じ敷地に直売所がありながら臭いはほとんど感じられない。新潟県が食の安全・安心の一環として認定している「畜産安心ブランド推進農場」で「クリーンエッグ生産農場」の第一号認証を受けているのも、衛生管理体制に加えて鶏の健康状態の良さが評価されたもの。また、鶏種の異なる8種類の卵を販売、それぞれ1個からバラ売りをしている。

販路は直売所のほか、阿賀野市の角屋旅館、個人経営の洋菓子店などで、それぞれの店主が素材としての卵の良さを自ら宣伝するなど、顧客の側が広報をしてくれるという。飼料と環境に支えられた卵の品質だけでなく、木村氏の顧客重視の姿勢が受け入れられているからだろう。



2014年4月25日号

◎(有)三喜鶏園
色と味と栄養を強化した「こだわり雅味」
4種類のブランドで消費者ニーズに対応


「もちはだ卵」、「黄味恋し」、「ちゃめっけ卵」…。まさに「ちゃめっけ」たっぷりでユニークなネーミングの特殊卵を生産・販売する(有)三喜鶏園(群馬県高崎市)。

ボリスブラウンとジュリアを計30万羽飼養、銘柄ごとに異なる指定配合飼料はNON−GMOトウモロコシが中心。標高600メートルに位置する農場は、鶏舎に夏場の冷涼な空気と自然光を取り入れ、ロットごとに毎日の飼料摂取量や飲水量、成績などを細かくチェックする。

トップブランドの「こだわり雅味」(みやびあじ)は、飼料にパプリカエキスを加えることでカラーファン15の濃い黄味と濃厚な味を生み出すほか、ビタミンEをレギュラー卵の30倍、ビタミンDを4・5倍含むなど、味と栄養の両面を強化している。

富澤太郎社長は「卵価に左右されない安定経営のためには、消費者ニーズにきめ細かく対応したブランド力の強い卵が必要」として、細かい管理によって各銘柄の特徴を打ち出す。

現在では「こだわり雅味」に加えて、黄味の盛り上がりと色を強調した白玉の「黄味恋し」、ビタミンEを強化した赤玉「ちゃめっけ卵」、いわゆるレギュラー卵的な位置付けの「もちはだ卵」という4種類のブランド卵を生産し、それぞれに異なる消費者ニーズに対応している。

同社の取り組みのもう一つの特徴は、殻付卵に加えて20種類以上の鶏卵加工品をそろえた直売所「たまご市場 卵太郎」(らんたろう)だ。

2003年のオープン当初は殻付卵のみの販売だったが、専門店で技術を学んで菓子工房を設置し、加工品の生産・販売を始めたところ、「こだわり雅味」をふんだんに使ったシュークリームが「多い日で300個以上売れた」(富澤社長)というほどの評判を呼んだ。

また、4種類の殻付卵の特徴を来店客にわかりやすく表現するため、それぞれの卵を割って中身を展示している。

卵太郎は12年9月に拡張リニューアル。古民家風に改装された店は脱力系の卵の歌が客を出迎え、お手製の巨大なポップが店内を彩る。同じく拡大した菓子工房で加工品を作る様子が見学できる作りなど、来店客を飽きさせない工夫が随所に散りばめられている。

数々の意欲的な取り組みについて、富澤社長は「今後とも独自のブランド力を持った卵と加工品の開発・販売に力を入れていきたい」と話している。



2014年3月25日号

◎(有)浅沼養鶏場
森林浴と運動たっぷりの「放し飼い卵」
純国産鶏と飼料の追求で「おいしい卵」に


「見栄えよりも大切なのは食べておいしいかどうか」

純国産鶏のもみじなど8万羽を飼養し、ブランド卵「放し飼い卵」を生産・販売する(有)浅沼養鶏場(岩手県紫波町)の浅沼克男社長はそう断言する。直売店「たまご家」の隣にある農場で放し飼いにしたもみじが産んだもので、「森林浴たっぷり、運動たっぷり」を掲げている。

浅沼社長は「卵のおいしさには何といってもエサが重要」と、飼料には海藻やヨモギ、木酢などの天然由来成分から成る地養素を混合。これによって卵の甘みとコクを強め、生臭さも抑えている。純国産鶏の放し飼いや地養素といったコストの掛かる飼養法も、すべては「おいしい卵」のため。

こうしてできた「放し飼い卵」は、安心・安全なもの、こだわりのあるもの、作り手の顔が見えるもの――を商品コンセプトとする地元・紫波町のネットショップ「紫波にぎわい市場」で「そのまま生で食べるのがオススメ」として、紫波産のひとめぼれ、卵かけご飯専用醤油とともに「農場直営たまご家 卵かけご飯セット」として販売されている。

「たまご家」では卵のほか、プリンやシフォンケーキといった卵の加工品に加えて、つみれやハンバーグなど親鶏の加工品も販売する。しかし、最大の特徴はなんといっても生卵の試食コーナーだ。浅沼社長は「生卵を試食は生まれたての新鮮な卵だからできること」と、手間暇かけた飼養法から生まれた卵に自信を抱いている。

循環型農業の実践に向けて飼料用米も10%配合。また、鶏ふんを利用した有機質肥料「マイティソイル エース」の製造・販売。マイティソイルは「窒素とリン酸とカリウムをバランス良く含んでおり、さらに鶏ふんを生石灰でコーティングしているので効き目が徐々に表れてくる。増収はもちろん、作物の甘みが増す」と耕種農家に好評で、浅沼社長自身も6町歩の畑でマイティソイルを使用し小麦を生産、その一部を鶏の飼料にしている。




2014年2月25日号

◎(株)オクノ
TKG2連覇中の「オクノのたまご」
米とトウモロコシで飼料の国産化図る


都市型養鶏の革新的な経営で数々の受賞歴を誇る(株)オクノ(兵庫県加古川市)。その「オクノのたまご」が昨年、「国産米と国産トウモロコシにこだわった『オクノの卵』」でフード・アクション・ニッポンアワード2013商品部門の優秀賞を受賞した。

都市近郊の農場で全量自家配合を続けてきた奥野克哉社長は「食料自給率の向上と地産池消の推進」を掲げ、平成21年に地元・加古川のコメ農家と生産者組合を設立。飼料用米への取り組みを始め、飼料中の17・5%を地元産の飼料用米に切り替えた。成鶏舎の高床式開放鶏舎のほか、全量を自家配合するために飼料給与試験用の鶏舎を設置し、成分や栄養などの研究も重ねている。その結果を踏まえた上で、飼料にはさらに米ヌカや北海道釧路産のサンマ魚粉、赤穂の塩など、国産材をふんだんに使用し、地産池消を徹底している。TKGチャンピオンシップ2連覇中の卵かけごはんはオクノが経営する加古川農家食堂の看板メニューで、コメは加古川産のヒノヒカリ、薬味のネギとノリも加古川産だ。

「鮮度と飼養環境と飼料を重視」して、リノール酸やオレイン酸を多く含んだ飼料用米を給与された卵の味は、「昔ながらの味がする」「自家配合なので飼料が明確」などと食べた人の口コミで広がり、ネット通販では30個1400円という高価格ながら評判を呼んでいる。

国産化への取り組みはさらに進展。23年からは北海道長沼町の(有)柳原農場に委託し、飼料の主力原料であるトウモロコシの国産化にも着手した。奥野社長は「今までは日本国内で飼料用トウモロコシを生産するのは難しいとされていたが、柳原さんと会って話を聞いて可能性がある」と判断、まずは飼料中の6%を国産トウモロコシに置き換えた。価格面や流通面では課題も残る国産トウモロコシだが、今後も飼料の100%国産化への取り組みを続けていく方針だ。




2014年1月25日号

◎(有)阪本鶏卵
発酵飼料と動物性タンパクの「星の里たまご」
栄養強化ではなく、トータルでおいしい卵を


「今の卵は市場に出しても価値がない」。岡山県美星町の農場で「星の里たまご」を生産する(有)阪本鶏卵の阪本安弘社長はそう断言する。

「星の里たまご」の最大の特徴は、配合飼料に自社製の発酵飼料と動物性タンパク質を配合した、アミノ酸の豊富な飼料。米ヌカ、おから、昆布、カツオ節などに自社培養の発酵菌を添加することで発酵飼料に。動物性タンパク質にはGPセンターで出た破卵や汚卵を活用、その殻も発酵させて吸収力の高いカルシウムとして給与している。

発酵飼料の効果は一目瞭然。7月に採卵して12月まで常温で放置した卵は腐食も腐臭もないチーズ様で、「このまま食べてもまったく問題ない」状態。また、猛暑で多くの鶏が熱死した昨年夏でも同社の鶏に影響はない。

卵殻は洗卵せずに表面のタンパクを保ったまま粉砕することで、高タンパクの原料に。食品残さは防腐剤の入った物は使わないなど、徹底した研究の成果が「星の里たまご」に生かされている。

10個パック200円という販売価格、豊富なアミノ酸で卵の旨みとコクを向上させ、「ビタミンなどの栄養強化に特化するのではなく、トータルでおいしい卵」の商品価値は、8万羽で年間売上高10億円という市場の評価がすべてを物語っている。

1981年創業の同社はもともと、玉子焼きや玉子とうふなど、鶏卵加工品の製造・販売が本業だった。卵をたっぷりと使用した玉子とうふはまるでプリンのような濃厚な味と色合いで、冷やしてももちろん、鍋に入れると香りが引き立つという。「加工品には、卵の良し悪しがダイレクトに反映される。おいしい物をおいしいと思える舌の能力がないと、加工品は作れない」という阪本社長は、その経験を「トータルでおいしい卵」の生産にも生かしている。



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