鶏卵肉情報 進化するブランド

2019年12月25日号

◎JA全農たまご(株)
シリーズ進化するブランド150
ぷちっ、じゅわっ。ぱくっ、うま〜。
おかずが嫉妬するたまご「とくたま」


昭和56年発売の「全農特選卵G」からスタートしたJA全農たまご(株)(本社東京、小島勝社長)のブランド卵戦略は、「しんたまご」、「QCたまご」、「ふつうのたまご」などを経て、開発から販売まで7年の歳月をかけて「とくたま」に昇華した。

とくたまは同社のホームページに「一口に『たまご』と言っても、人と同じく種類があります。そりゃあやっぱりモテるのは健康的で、濃厚なやつでしょう。もっと言えば、たまごかけご飯のためだけに生み出されたような、とっても一途なやつとか…。我々が開発した『とくたま』は、ごはんに合うたまごをとことん追求し、作られています」とあるように、「最もおいしいたまごかけご飯ができる卵」を目指して開発された。

「理想のたまごかけご飯ができる卵」の追究に当たっては、全農グループ一丸となって進められ、20種類以上の飼料で比較検討が進められた。試食会や食味試験を通して、香りや味、ごはんとの相性などで総合的な評価をした結果、糖蜜、米油、魚粉を“黄金比率”で配合することで、「キミをください!」――ご飯のそんな熱烈なラブコールが聞こえてきそうな、たまごかけご飯に合う濃厚でコクのある卵が完成した。



2019年11月25日号

◎(有)坂本養鶏
シリーズ進化するブランド149
ミネラル豊富な「さかもとのたまご」
大山の地下水と貝化石で鶏を元気に


大山のふもとでストレスの少ない環境で育った鶏が生む「さかもとのたまご」。生産している(有)坂本養鶏(神奈川県伊勢原市)は「鶏も人間も同じ、元気な体を作る」をテーマに飼養管理している。

同社では大雛を100日齢で導入し生み始めまでの間に環境に慣れさせるほか、給餌を1日6〜8回に分けて行うことで選り好みをなくし飼料効率を最大化するなど、飼養管理に力を入れている。 ワクモ対策も「以前は薬剤を使っていたが、卵を扱うのに薬剤は使いたくない」という思いから、ワクモの隠れ家を減らして洗浄をしやすくする方法に切り替えた。

綿密な飼養管理に加え、大山の地下水と貝化石を給与した元気な鶏が生む「さかもとのたまご」は「日本遺産のまち 伊勢原うまいものセレクト」にも認定され、伊勢原市のふるさと納税の返礼品にもなっている。顧客からは「ケーキの膨らみがほかの卵と違う」と言われるなど評判を呼んでいる。



2019年10月25日号

◎(有)イヨエッグ
飼料も鶏もすべて国産の「米っ娘たまご」
インスタ映えする真っ白なロールケーキも


真っ白な見た目がインパクト抜群のロールケーキ「白壁ロール」。使っている卵は飼料も鶏もすべて国産の「米っ娘たまご」だ。

「飼料用米を扱うことで循環環境保全型農業を目指す」として米っ娘たまごを生産している(有)イヨエッグ(愛媛県内子町、佐々木寛治社長)は、「地元はもともと農業が盛んな地域だったのに、最近は耕作放棄地が増えてしまった。何とか地域に貢献できないか」という思いから、8年前から米っ娘たまごの生産を開始した。飼料は愛媛県産の米だけでなく、動物性タンパクもすべて植物性に置き換えた。その結果、オレイン酸とリノレン酸の含有量が増えリノール酸が減少するなど、栄養価にも変化が生じたという。鶏種は純国産鶏の岡崎おうはんだ。

その米っ娘たまごを使って、パティシエに依頼して5年ほど前に開発された白壁ロールは、小麦粉の代わりに米粉を使用することで食料自給率の向上にも貢献している。生地もクリームも真っ白というインスタ映えする見た目のロールケーキは、特に女性に人気だという。



2019年9月25日号

◎(株)飛来幸鶏ファーム
箸で切れる「だまって食べて魅卵ね」
黄身も白身も濃厚で臭みのない卵


霧島山麓の裾野の地鶏料理専門店「宮崎小林 地鶏の里」で提供している飛来幸(ひらこ)地鶏。小林地鶏の里の地名は「平川」と書いて「ひらこ」と読むが、読める人はほとんどいないため、地鶏の里に来ておいしい地鶏を食べた皆様に幸せが飛んで来ますようにと「飛来幸地鶏」と命名した。

生産している(株)飛来幸鶏ファーム(宮崎県小林市)の岩寿志社長によると、ブランド卵「だまって食べて魅卵(みらん)ね」は「地鶏のための副産物」扱い。しかし、濃厚でまろやか、爽やかな旨味の卵で、最大の特徴は「卵独特の臭みがまったくない」こと。岩氏は「液体の黄身を箸で切って分解できるのはこの卵くらいではないか」と自信を示す。

地鶏の名古屋コーチンにクローバーなどの腐葉土を配合した飼料を給与し、「環境、飼育方法、飼料をすべて含めたものが管理」と管理を徹底しているが、岩氏はブランド名について「理屈はいいから食べてみて、という思いを九州の方言で込めている」という。そのため、今はカラーファンなどをまったく気にしていない。岩氏は「カラーファンと味は関係ない。味や鶏種、飼い方、飼料などについて理想を追求する人は多いけれど、お客さんが食べておいしいと思うかどうかがすべて」として、「お客さんが何を求めているのかを常に考えている」。



2019年8月25日号

◎(有)霜島畜産
ビタミンEたっぷりの「元気卵E」
生命力の強い鶏が生む臭みのない卵


大山丹沢国定公園の大山のふもとでオランダ原産のボバンスネラを平飼いし、有精卵「元気卵E」を生産している(有)霜島畜産(神奈川県厚木市、霜島誠代表)。元気卵Eの最大の特徴は、ビタミンEの豊富な含有量にある。一般的な卵には可食部100グラム当たり1.1ミリグラムしか含まれていないビタミンEが、35ミリグラムも含まれている。霜島氏は「ビタミンEを強化した卵でも15〜18ミリグラム程度だが、ネラはもともと15は出る。そこへ特別配合の飼料でさらに強化している」と話す。

飼料は特別仕様の「霜島マッシュ」。霜島氏は「8年前に卵の粘度が下がってサラサラするなど品質が落ちたことがあったが、米を入れたら改善した。卵黄色は白っぽくなるけれど、全体のバランスを考えれば今の配合がいい」という。



2019年7月25日号

◎(有)東康夫養鶏場
九州宮崎えびののこだわり卵「康卵」
張りがあり、コクと甘みの強い卵に


飼料と水に電子でイオンをチャージし、体内にマイナスイオンを取り込ませることで鶏を健康にするという(有)東康夫養鶏場(宮崎県えびの市、東康夫社長)。昭和48年に山の中腹を切り開いて創業した当時は「農薬や抗生剤の使用が普通で、危険性を指摘する声もなかった」(東社長)という。しかし、どれだけ薬を使って消毒しても病気がなくならない状況に疑問を抱き、「農家がなによりも食品の安全性を考えなければ将来を担う子どもたちの未来はない」として、「いかに化学物質に頼らず、安全でおいしい卵を提供できるか」をテーマに試行錯誤を重ね、たどり着いたのが電子チャージだった。

さらに、「卵の76%は水分なので水が良くなければいけない」と霧島山麓の地下150メートルから汲み上げたミネラル豊富な地下水を使用。飼料には枯草菌や乳酸菌などを含むEM菌を配合し、鶏の腸内細菌を活発にすることで飼料の吸収率を上げるとともに鶏舎の悪臭も軽減させている。



2019年6月25日号

◎卵ラン農場ムラタ
健康な鶏が生む「卵ラン農場の平飼い有精卵」
雛を環境に慣れさせ北海道産飼料を自家配合


長沼町の道の駅「マオイの丘公園」から脇道に入ると、広大な丘陵の一面にクローバーが生え揃い、ヤギがのんびりと散歩をしている。これぞまさに北海道という雄大な景色の中に、卵ラン農場ムラタ(村田博美代表)がある。

ぜいたくな密度の平飼い、道産の小麦と生米ぬかを主体とした飼料の自家配合といったより自然に近い飼養法は、実は綿密な理論に裏打ちされている。 冬はマイナス15〜20 °Cという厳しい冷え込みになる地域性を考慮し、鶏は「初生雛で導入して寒さに慣れさせる」(村田氏)。雛はオガクズと米ぬかを使った発酵床で育て、最初の3日は玄米を、その後は笹の葉を細かく粉砕して給与することで内臓を鍛えるという。

成鶏舎は手作りのビニールハウスで、重視しているのは「床を湿らせないこと」。ここでポイントになるのが薄飼いだ。「密飼いは病気の元で悪臭の原因にもなる」ため1坪当たり10〜12羽しか入れず、鶏がのびのびと歩き回る。 初生雛の段階から環境に慣れさせ、ストレスのない環境でコストの掛かる飼料を給与した結果として鶏が健康になり、自然な色の卵黄を持った卵が生まれる。卵白の盛り上がり方も強力だ。添加物等は一切使っていない。

こうして生まれた「卵ラン農場の平飼い有精卵」は2008年の洞爺湖サミットでも紹介されたほか、札幌のホテルや有名レストランなどでも使われている。



2019年5月25日号

◎(有)柿沼商店
甘みとコクが段違いの「かきぬまさんちのたまご」
オリジナルブレンドの飼料で腸内細菌叢を整える


創業64年の(有)柿沼商店(栃木県栃木市、寺内実社長)が生産する「かきぬまさんちのたまご」は、飼料に黒ゴマと白ゴマ、乳酸菌、微生物などをオリジナルブレンドして加えている。この飼料は鶏が選り好みをしないよう、3回に分けて給餌している。鶏の腸内細菌層を整えることで、「かきぬまさんちのたまご」は甘みとコクの強い卵になっている。

食味検査と成分分析では「口に入れてから食べた後まで長く旨味が持続し、余韻がある味わいの卵」や「ミネラルバランスに由来する隠し味を含んだしっかりした味」などと分析された。「大量に割卵するお菓子屋さんには、小麦粉と合わせて撹拌する際の風味が全然違うと言われる」(寺内氏)ほか、サブレ、玉子焼き、茶碗蒸しなど、和食・洋食のプロからも高い評価を得ている。



2019年4月25日号

◎(有)花井養鶏場
発酵飼料のプロバイオティクスを採用
元気な鶏が生む「野菜たまご元気くん」


約30年に渡り地元・愛知県大府市で「野菜たまご元気くん」を生産している(有)花井養鶏場(花井千治社長)は「安心安全のこだわり5か条」として、安全で清潔な卵や元気な鶏などを追求している。

中でも「元気な鶏」については、早くからプロバイオティクス健康法を採用。かつお節や地元産の飼料用米、小豆、菓子パンなどを自社の発酵機によって60 °Cで48時間発酵(酵母菌)させ飼料に5〜10 %程添加し、鶏の腸内環境を整えている。かつお節は、そのままでは餌としては水分含有量が多すぎるが、発酵させ水分量を減らすことで飼料化している。

発酵飼料を給与することで人間が毎日納豆を食べるとの同じように消化吸収が改善され、鶏が健康になることで卵の味と品質が良くなり、卵の生臭さがなくなり、鶏ふんのにおいが軽減する効果もあるという。



2019年3月25日号

◎ヤマサキ農場
高知特産のゆずを添加した「ゆずたま」
電子イオン水やn-GMOで鶏を健康に


特殊卵をつくる時に飼料から考える生産者は多いが、ヤマサキ農場(高知県南国市、山崎吉恭社長)は「卵は75%が水分で生成されている」として、まず水に着目。上水に一定の特殊な微弱電流(電子)を加えた電子イオン水を給与している。電子イオン水は体内に吸収されやすく新陳代謝を活発にするため、鶏と人の健康につながるという。さらに一部には高知県室戸沖で取れるミネラル豊富な海洋深層水も添加している。

「ゆずたま」は馬路村産のゆずを最大限に生かすため、飼料や水に添加する一般的な方法とはまったく異なる方法で、さわやかなゆずの香りをまとわせた(製法は特許出願中)。飼料と水を徹底的に吟味しているため「卵臭さはまったくない」(山崎氏)。

「ユズがほのかに香る卵『ゆずたま』の取組」は、フード・アクション・ニッポンアワード2015の商品部門〔農林水産業分野〕で入賞を果たした。山崎専務は「卵は好きだけど生は卵臭いので食べられないという人も、うちの卵なら食べられるという人が多い。卵かけご飯は塩で食べてほしい」という。



2019年2月25日号

◎(有)向台ポートリー
まったり濃厚な黄身の「あかひご」
卵屋らしさあふれるプリンも人気に


千葉県柏市で農場から車で5分ほどの直売所「むこたま」を運営する(有)向台ポートリー(森山次夫社長)。純国産鶏のもみじなど「生みたてホヤホヤ」の卵や加工品を販売し、加工品の中でも一番人気は濃厚プリンの「むこたま Creamy Egg」。多い時は一日500〜600個が売れるという。地元産の野菜も販売しているが、同社の森山豪志氏は「うちは道の駅ではなく、あくまで卵屋」として、卵と加工品に注力している。

ブランド卵「あかひご」はカラーファン(CF)が17〜18という濃厚な黄身が最大の特徴。飼料にアスタキサンチンを含むファフィア酵母を添加することでこの濃厚さを出している。レギュラー扱いの「農場たまご」には地養素を添加し臭みがない卵になっている。ネット上には、購入した人たちの「黄身はとてもまったりと濃厚で美味しい」や「濃厚で美味しかった」、「割った時の黄身のオレンジ色は鮮烈」といった声が上がっている。



2019年1月25日号

◎伊藤養鶏場
たまごかけごはん専用の烏骨鶏たまご
飼料設計を見直し玉ひでのメニューに


東京・人形町の老舗鳥料理専門店・玉ひで(山田耕之亮代表)が、催事で伊藤養鶏場(東京都立川市、伊藤彰代表)の東京烏骨鶏を使った”なま掛け”親子丼を出品した。普段は6種類の卵を使い分け、東京しゃもなどの鶏肉を使った親子丼を提供する玉ひでにとっては異色の試みといえる。

山田氏は「卵は生か加熱か、その目的によって向き不向きがある。それも茹でる、煮る、蒸す、焼くなど、調理によって使い分ける必要がある。同じすき焼きでも牛肉なら黄身の大きなしっかりした卵の方が合うし、鶏肉なら味の薄い方が合う」など、鳥料理の専門家として卵には一家言を持っている。その山田氏が「今の伊藤養鶏場の烏骨鶏は生食に向く卵になった。次のメニュー変更の際はトッピング用の生卵として出そうと思っている」と評価する。その声を反映してか、パックラベルには「たまごかけごはん専用」としっかり明記されている。



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