鶏卵肉情報 進化するブランド

2020年12月25日号

◎農事組合法人宮澤農産(千葉県旭市)
シリーズ進化するブランド162
環型農業を目指す「こめたまご」
non-GMOの「はぐくむたまご」


国の飼料用米政策が始まる前から自給飼料に取り組んできた農事組合法人宮澤農産(千葉県旭市、宮澤哲雄代表理事)。旭市は農業産出額が千葉県で1位、全国でも5位の581.9億円(農林水産省「農林水産統計」平成31年3月19日)と農業が盛んな地域だが、減反政策の影響も受けてきた。宮澤氏は約15年前、自社の肥育牛用にホールクロップサイレージ(WCS)を給与して減反に協力してきたが、「保有する水田は湿田のためWCSを扱うと重量が重く機械がはまってしまう。また牛に給与するにしてもビタミンコントロールが難しかった」。

そこで、「水田転作のために特別な機械を必要としない、作業工程も同じ」飼料用米への取り組みを開始した。「米を鶏に、わらを牛に」という利用の仕方が、稲の無理のない最大の有効活用法だと考えた。また、「自社では自家配設備もなく、商品の販売ルートもない。稲作を守るため、飼料用米の取り扱い量を劇的に増やして米価下落を防ぐ」には、飼料メーカーの協力が必須と考え、昭和産業(株)に畜産農家と耕種農家で作った旭市飼料用米利用者協議会への参加を呼びかけ、「こめたまご」の商品化に努めてきた。「こめたまご」は飼料用米を10%配合。昭和鶏卵(株)の「こめたまご」シリーズの草分け的存在になっている。

宮澤氏は「鶏の飼料はほとんどを輸入に頼っているが、国産飼料用米を少しでも多く利用することで水田を減らすことなく、消費者の安心にもつなげたい」と、自社で10町歩ずつの水田と畑を取得して飼料用米と飼料用トウモロコシなどを生産。鶏ふん堆肥はすべて地元の耕種農家と自社で活用するなど循環型農業に取り組み、「飼料用米を軸にした地域づくりを目指し、耕種農家と連携できれば」と話す。

「CO・OP産直のはぐくむたまご」はコープのガイドラインの下、non-GMOでPHF、減農薬のトウモロコシを使用している。



2020年11月25日号

◎(株)たまごの里農園(愛知県常滑市)
シリーズ進化するブランド161
別配合飼料で年間通して安定の品質
絶品「尾張の純系名古屋コーチン」


一般には知られていないが、愛知県常滑市は名古屋コーチン卵の生産量が日本一。国内の卵用名古屋コーチンの飼養羽数の約半数を占める「ごんの会」の中心的存在といえるのが(株)たまごの里農園(本社常滑市、中村友哉社長)だ。

同社の殻付卵の主力商品は「尾張の純系名古屋コーチン」。関東のデパートを中心に好評を博している。県外への販売比率は50%で、北は北海道から南は鹿児島県まで日本全国の飲食店にも販売している。名古屋コーチンは卵重が伸びにくく、小玉が多いため、ラーメン店での煮卵用に引き合いがあるという。地場での販売はパッケージを簡素化したものを農協系の店舗に卸している。

名古屋コーチン卵以外では「とこなめのポパイちゃん」も販売している。赤玉と白玉のラインナップでパッケージにはかわいいイラストがある。中村社長は「娘が小学3年生の時に描いたイラストを元にしたキャラクターを載せてある。親バカですけどね(笑)。これも名古屋コーチン卵と同様の飼料で生産しており、味でリピーターが付いている」と話す。



2020年10月25日号

◎(株)ハコニワ・ファーム
シリーズ進化するブランド160
コクと濃厚な味わいの「箱庭たまご茜」
しあわせなニワトリのしあわせなたまご


殻を割ると、まるで夕焼けのような茜色をした濃厚な卵黄が現れる。「箱庭たまご茜」を生産・販売している(株)ハコニワ・ファーム(栃木県真岡市、島田利枝社長)は「障害児者支援事業所わらくや」との協働で2018年から養鶏事業をスタート。「『しあわせなニワトリ』から産まれる『しあわせなたまご』」を目指し、今は23人の障がい者が農場で働いている。

ただ、島田氏が「事業である以上、儲けを出さないと継続できない」と話すように、品質には妥協がない。飼料はnon-GMOとポストハーベストフリーの穀物を中心に20種類以上の原材料を組み合わせ、飲水には鬼怒川近くの地下約60メートルから汲み上げた地下水を使用。純国産鶏のもみじを「アニマルウェルフェアの考え方に対応した採卵鶏の飼養管理指針」が定める目安の3倍という極めて密度の低い平飼いにしている。さらに、IoTシステムを導入しさまざまな環境データを集積するなど、鶏にも人にも快適な環境をつくっている。徹底した管理と最大限の愛情から生まれた「茜」は、コクがあって濃厚な味わいで、カラーチャートでは計測不能なほど濃い卵黄色が特徴になっている。



2020年9月25日号

◎(有)カイシン
シリーズ進化するブランド159
乳酸菌と玄米アミノ酸配合の「ハーモニー」
n-GMO飼料とマイナスイオン水で健康に


先代の小倉睦夫氏が「卵アレルギーの出やすい多くの人たちに食べていただくために飼料の配合を決めた」という「小倉さんの卵 ハーモニー」。生産する(有)カイシン(千葉県香取市、小倉伸人社長)は長年の研究の結果、純国産鶏のもみじにnon-GMOの飼料を基に、米ヌカに乳酸菌と玄米アミノ酸を入れて発酵させたものなどを独自に配合し、飲水には抗菌・消臭効果のあるマイナスイオン水を給与。鶏を健康にすることで「緑豊かな環境のもと、健康な鶏から生まれた安心・安全なおいしい卵」を実現している。

3000羽と規模は小さいものの、1つずつ検品しながらパック詰めするなど、ていねいな飼養管理に努めている。開放鶏舎内でファンを回して空気の流れをつくり、鶏舎や倉庫などに光触媒を塗装して滅菌・消臭し衛生環境を整備。鶏舎に特有の臭気問題の解決に取り組むことで「鶏にも人にも良い環境」とするなど、昨年4月に代表に就いた小倉伸人氏も、そのやり方を引き継いでいる。

こうした環境から生まれるハーモニーは、一般の卵に比べ脂質とコレステロール値が低く、ミネラル成分を豊富に含んだ、濃厚なコクと旨み、甘みのある卵になっている。アレルギーの原因物質とされるヒスタミンが検出されていない(一般財団法人千葉県薬剤師会検査センター調べ)こともあって、安心・安全を求める層を中心に、都内の飲食店などでも使われている。



2020年8月25日号

◎岡本自然農園
シリーズ進化するブランド158
健康と安全性を追求した「平飼い自然卵」
四方開放鶏舎で密度の低い平飼いを実践


「平飼い自然卵」を生産・販売する岡本自然農園(埼玉県小川町・岡本守夫園主)は、「卵以前にまず健康な鶏を育てること」に重点を置いている。岡本氏は「無理やり生ませるのではなく、鶏をのびのびと健康に育てている。健康な鶏から生まれる卵は、生命力が強く日持ちがいい。白身の粘土が高く黄身が盛り上がっている。コクがあって殻が固く安全でおいしい」と話す。

鶏の健康と安全性を追求する姿勢の原点は、自身の経験にある。「学校卒業後にゴルフ場で勤務していたが、当時は農薬の使用量が問題視されていた。そこで、農薬から離れたいと考え、自分で農場を手作りした」。

そんな岡本氏は、採卵養鶏を「自然循環型農業の一環」と位置づけている。「自由に動き回り、運動量の多い鶏たちはストレスも少なく健康に育つ」として、6坪に30羽という極めて密度の低い平飼いを実践。四方開放型の鶏舎には自然な空気が流れ、日の光が注ぐ。飼料は主に地元産のヌカやクズ米などを自家配合。地元の造り酒屋から出る酒ヌカも活用し、小川町の「ナンバーワンだと誇れる創意工夫や努力に取組む、地域資源を活用した『こだわり』の飼育を実践する畜産農家の認証」である「おがわんナンバーワン」にも認証されている。



2020年7月25日号

◎石黒たまご園(茨城県常陸大宮市)
シリーズ進化するブランド157
プリっとした石黒たまご園の平飼い有精卵
「よいヒナ、よいエサ、よい飼い方」心掛け


おいしい卵には「よいヒナ、よいエサ、よい飼い方」の3つがそろっていることが必要として、手づくりの鶏舎で平飼い有精卵を生産・販売している石黒たまご園(茨城県常陸大宮市、石黒昌太代表)。

初生雛を導入して環境に慣れさせ、「鶏の健康、卵の栄養価、卵のおいしさ」を考え、飼料はトウモロコシや小麦、米ぬか、魚粉、煎り大豆などを自家配合。食下量が落ちる夏場には発酵飼料の割合を上げ、逆に冬場にはすり潰したゴマを給与してカロリーを補う。ヒヨコにはタンパク質、若鶏にはカルシウム、成鶏にはエネルギー。鶏の成長段階や季節に合わせて原料や配合を変えるなど、きめ細かな管理をしている。

土の上での平飼いで自由に動き回ると、その分、鶏はエサをたくさん食べる。エサをたくさん食べると鶏はさらに運動し、より健康になる。そうした好循環が続く、鶏を第一に考えた飼い方をしている。

平飼いは疾病やツツキの懸念といったリスクもあり、技術的に簡単ではない。石黒たまご園でも猛暑の際の産卵率の低下など「対応が難しいこともあった」という。そうした中でも、「うちのやり方を理解してくれるお客さんが毎日食べられる値段で」という石黒氏の思いの下、コストは掛かるものの売価を極力抑え、試行錯誤を重ねてきた。

そうした飼い方から生まれた有精卵は白身がプリっと盛り上がり、石黒氏は「まず卵かけご飯や半熟の温泉卵などで食べてほしい」と話す。ネット上には、ユーザーからの「あっさり、ほんのり甘い。また食べたくなる卵」「生臭さがなく、あっさりとした中にもコクのある味わい」「黄身が黄色い上に、白身がモチモチしておいしい」といった声が上がっている。



2020年6月25日号

◎(有)ヤマト養鶏(愛知県常滑市)
シリーズ進化するブランド156
飼料用米10%配合「ヤマトの米たまご」
耕畜連携のさきがけとして取り組む


(有)ヤマト養鶏(本社常滑市、平野耕二社長)は古くから養鶏の盛んな愛知県常滑市で、半世紀以上にわたり養鶏業を営んできた。

同社が10年ほど前から飼料用米にも取り組み、世に出したのが「ヤマトの米たまご」。2010年に地元の営農集団が飼料用米を作るということで、耕畜連携のさきがけとして始まった。

平野社長によると「開始当初は地元の稲作農家と年間5トンから始まり、現在では岐阜県産なども使用して年間使用量は200トン。飼料用米の配合割合は10%。設計飼料ではなく、農場に納入された配合飼料に自社で飼料用米を添加する方式だ。飼料用米は「ヤマトの米たまご」だけでなく、育成時の飼料にも使用している。販路も農産物の直売所や自動販売機などと限られており、原卵として出荷することもあるためカラーファンがあまり落とさないように調整している」という。



2020年5月25日号

◎(有)安田養鶏場
シリーズ進化するブランド155
鉄分2倍で栄養たっぷりの「アトムくん」
特徴の異なる3種類のブランド卵を生産


東京湾と相模湾に挟まれた三浦半島の西海岸。国道134号を曲がった狭い坂道を上ると、(有)安田養鶏場(神奈川県横須賀市)の素朴な直売所が現れる。そこはまるで、地域の人たちの憩いの場だ。取材時にも来店客が途切れることはなく、しかも皆が皆、世間話に花を咲かせていく。

「平成になった頃から」(安田養鶏場の安田和子氏)続けているという直売所は、地域住民の情報交換の場でもある。「コロナの影響でスーパーが混んでいるので初めて来たというお客さんもいる」など、今の世相でも客足は落ちていない。

ブランド卵はソニアの「しおさい」、ボリスブラウンの「アトムくん」、アローカナの「タフラン」の3種類。JAよこすか葉山が運営する大型農産物直売所「すかなごっそ」では、3種の卵を詰め合わせて「ヨコスカ西海岸」の名で販売している。「しおさい」は三浦半島の新鮮な風と太陽の光をイメージ。「アトムくん」に含まれる鉄分は一般的な卵の2倍で栄養たっぷり。「タフラン」は飼料にシイタケや魚のDHAなど天然素材を加え、まろやかな味になっている。



2020年4月25日号

◎(有)サンクトファーム
シリーズ進化するブランド154
生でおいしい濃厚な「まことのたまご」
加熱すると鮮やかな黄色になる「煌黄」


「創業以来、安心を第一に考えている」という(有)サンクトファーム(千葉県山武市、豊村彰治社長)は、「飼料にこだわる」「人の手にこだわる」「清潔にこだわる」を掲げ、ブランド卵「まことのたまご」と「煌黄(きらめき)」を生産している。

飼料は穀物やミネラルにゴマやウコンなどを独自に配合。農場では作業員が鶏の健康状態をつぶさにチェック。鶏舎内を清潔に保ち、ていねいな除ふんを心掛けている。こうした飼養管理で鶏を健康にすることで「生臭さや味のクセがない卵本来の味を楽しめる」(豊村義彰専務)という。豊村専務は「まことのたまごは生用に、煌黄は焼く用にと提案している。直売店のお客様も、卵かけご飯にはまことのたまご、お弁当の玉子焼きには煌黄と、用途によって使い分けている人も多数いる」と話す。



2020年3月25日号

◎五頭山麓ひよころ鶏園
シリーズ進化するブランド153
個性豊かな「地鶏たまごセット」
地鶏と純国産鶏6鶏種を自家育成


「四つ足は全部ダメ。卵も鶏もアレルギーがあってダメ」という川内寛之氏が、新潟県の旧笹神村(現・阿賀野市)の原野に鶏舎を手づくりして五頭山麓ひよころ鶏園を開いたのは2008年。開園前の研修等を通じて「岡崎おうはんの卵は一般的な卵と比べて臭みがなく、濃厚でおいしいと思っていた」ため、岡崎おうはん300羽、烏骨鶏100羽からスタートした。

川内氏は自身の体質を「きっとエサ由来」と考え、鶏園では人工添加物やビタミン剤などを一切使用せず、市販の配合飼料も使っていない。現在は9割以上の飼料原料を国産とし、新潟県産米やかつお節、ヨーグルトなど12〜18種類の原料を自家配合。純国産の赤鶏あずさのほか、岡崎おうはん、名古屋コーチン、にいがた地鶏といった地鶏や烏骨鶏などを初生雛で導入し、自家育成。雪のない時は放し飼い、積雪時は平飼いとしている。

これらの卵は新潟県内の直売所や首都圏の飲食店などでも取り扱われるようになり、「一昨年辺りからようやく経営が安定してきた」という。



2020年2月25日号

◎(有)水野谷鶏卵店
シリーズ進化するブランド152
深いコクと自然の甘みのある「黒鶏の卵」
オランダ原産のネラに指定配合飼料を給与


「卵肉兼用種に近い」というオランダ原産のネラで「黒鶏の卵」を生産・販売する(有)水野谷鶏卵店(福島県中島村、水野谷和美社長)。野性味にあふれ卵の味は世界的に定評がありながら、産卵成績があまり良くないため国内での羽数は多くない。しかし1970年頃、「差別化したブランド卵を」と考えていた先代の水野谷薫氏(現会長)がネラの卵の味に惚れ込み、「お客さんも付いてきた」ことから、今ではネラ一本にした。

「黒鶏の卵」は指定配合飼料に木酢液や海藻、ヨモギなどが含まれる地養素などを加えた独自の設計で、年間を通じて品質にバラツキが出ないようチェックを欠かさない。飲水には地下33メートルから汲み上げた地下水を使用し、夏場でも冷たい水を飲むことで鶏の体温が上がらないようにしている。さらに、昨年新設したウインドウレス鶏舎での綿密な飼養管理もあって、深いコクと自然の甘みのある卵になっているという。



2020年1月25日号

◎(株)ひたち農園
シリーズ進化するブランド151
鮮やかで美しい黄身を持つ「奥久慈卵」
うまみたっぷりの飼料でおいしさ凝縮


「昔の庭先で飼われていた鶏が生むコクのある味を蘇らせたい」をコンセプトに、平成5年に発売された「奥久慈卵」は、飼料に海藻や魚粉、牧草成分などを配合することで、コクのある黄身、濃厚な風味と凝縮されたうまみが特徴になっている。食のプロであるシェフからも「黄身の濃厚さが当店の味噌タレのすき焼きに大変合う」や「こんなに味も濃くて、美味しい卵があるんだな」など、高く評価されている。厚焼き玉子「厳選奥久慈」はモンドセレクション銀賞を受賞するなど、奥久慈卵を使った加工品も伸びている。

しかし、生産・販売する(株)ひたち農園(茨城県常陸大宮市、根本茂幸社長)は、現状にとどまることを良しとしない。今も2カ月に1度、専門業者とともに勉強会を開き、飼料設計などについて鶏の育種改良に合わせたバージョンアップを常に行っている。品質管理も厳しく、格外卵の設定基準は他社よりもかなり高い。

根本社長は「商品化率が高いに越したことはないけれど、格外が出ても玉子焼きに回せるので設定基準が厳しくても構わない。それよりもお客様に喜んでもらえるものをつくり続けることが第一」と話す。



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