鶏卵肉情報 進化するブランド

2024年9月25日号

◎(株)ビンショク(広島県竹原市)
シリーズ進化するブランド206
CF16、濃厚で甘い「王様の赤たまご」
どんぐり配合の「どんぐりの赤たまご」


高級品として知られるイベリコ豚が食べるどんぐりには、不飽和脂肪酸であるオレイン酸が豊富に含まれ、血液中の悪玉コレステロールを減少させて動脈硬化や高血圧、心疾患などの生活習慣病を予防・改善する効果があるとされている。

そのどんぐりを飼料に配合し、専用農場に生産を委託した「どんぐり牛」、「どんぐり黒豚」、「どんぐり豚」と並んで「どんぐりの赤たまご」を販売しているのは(株)ビンショク(広島県竹原市、新田和秋社長)。

脂肪がやわらかく仕上がり、甘みを持つ「どんぐり牛」や、肉質がやわらかく脂身も甘い「どんぐり豚」と同じく、どんぐりは鶏の内臓にも好影響を与えるため、「どんぐりの赤たまご」は卵臭さが少なく、旨みとコクの強い卵になっている。また、「食を楽しむことの観点から味覚・視覚を強調する」として、赤パプリカを配合してカラーファン(CF)を14以上に設定している。

「どんぐりの赤たまご」よりさらに視覚を強調したのが「王様の赤たまご」で、CFは16に近い。新田氏が「卵の王様になりたい」という思いから命名した卵は「白身も黄身も赤く濃く、黄身は濃厚で白身は加熱してもプリプリしている」といい、「ぜひ卵かけご飯でほかの卵と食べ比べてほしい」と話す。

どんぐりは、東広島ブランド地鶏開発振興協議会と広島大学が令和3年に開発した「東広島こい地鶏」にも広がっている。新田氏は「地鶏を含め、今後もどんぐりを広げていければ」と話している。



2024年8月25日号

◎(株)タケノファームあかね農場(福岡県飯塚市)
シリーズ進化するブランド205
深く濃厚で白身も強い「あかねの虜」
無公害鶏舎で自由な環境の平飼い飼育


「子どもたちに安全で美味しいものを食べさせたい」という想いからできた「あかねの虜」。生産する(株)タケノファームあかね農場(福岡県飯塚市、山﨑登希代農場長)は鶏舎床面に20センチメートルの盛り土をし、その上にモミガラを5~10センチ敷いて、さらさらの床面とすることで好気性土壌菌が鶏ふんを分解しやすいようにしている。その上を鶏が自由に歩き回ることで空気が入り込んで鶏ふんが分解され、悪臭がしない。

あかね農場は生産性よりも鶏にストレスを与えないことを最優先に考え、無公害鶏舎で平飼い飼育をしている。1坪当たりの羽数は一般的な平飼いで約40羽なのに対し、わずか11羽。

飼料は安全・安心を徹底。山﨑氏は養鶏家になる前から自宅で8羽の鶏を飼い、競走馬の飼料や野菜、おから、細かくしたミミズ、きなこ、乳酸菌飲料、菜種油など幅広く研究してきた。現在はnon–GMOでPHFのトウモロコシを中心に、魚粉と海藻とEMぼかしなど加え、魚粉も無添加のものを使っている。

無公害鶏舎で広々とした平飼い、安全・安心の飼料と水から生まれる「あかねの虜」は、深く濃厚で生臭さがなく、白身が強く卵殻も固いという。amazonのレビューには「濃厚でとろとろ!」「卵かけごはん最高」「味が濃くてとても美味しかった」などの高評価が並んでいる。



2024年7月25日号

◎(有)高島産業(香川県高松市)
シリーズ進化するブランド204
日本初のルテインが豊富な卵「あらん」
含有量が10倍、吸収率はサプリの3倍


「これから、ルテインは卵で摂る時代!」のキャッチコピーで、ルテインの含有量が一般的な卵の10倍、吸収率はサプリメントの3倍という『あらん』は、「日本初のルテインが豊富な卵」として機能性表示食品に届出されている。

ルテインは、「光の刺激から目を保護するとされる網膜(黄斑部)色素を増加させる」と報告されており、体内で作ることができないため食品などから摂取する必要がある。生産・販売する(有)高島産業(高松市)の高嶋浩司社長は「『あらん』は、目の機能を改善する可能性があり、対症療法ではなく目の体質改善に役だつ」と話す。

1992年創業の同社は、2020年から「次の100年プロジェクト」をスタート。『あらん』はその象徴だが、完成までは紆余曲折があった。2005年から「ルテイン3倍卵」を作っていて、そのノウハウの延長でルテイン10倍を目指したが、目標にまったく届かず試作しては失敗を繰り返し「このままでは100周年の2022年に間に合わない」という事態に。社員も飼料メーカーも諦めかけていたが、高嶋氏が消化酵素などの配合設計を一から検討し直した結果、2年余りでルテイン10倍を達成。ついに2022年4月21日に機能性表示食品として届出された。

高嶋氏は、「先行事例がないと、認められるまでが大変。機能性表示食品の届出も3回目でやっと通った。」というが、今ではスーパーのバイヤーから「この卵を必要としている人がいるので欠品は絶対にダメ」と評価されるまでになった。高松三越をはじめ徐々に販路を広げ、「年内には全国で販売できるようにしたい」としている。



2024年6月25日号

◎(有)風沢舎(長野県松本市)
シリーズ進化するブランド203
ノニを給与した「信州ノニタマゴ」
生でも加熱でも旨味が強く濃厚な卵


南国の果実で、ミネラルや炭水化物・タンパク質・20種類のアミノ酸・ビタミン・脂肪酸などの栄養成分を豊富に含み、「ハーブの女王」とも言われているノニを飲水で給与している「信州ノニタマゴ」。

販売する(有)風沢舎(長野県松本市)の三島将揮社長は「現会長の父はより良い高品質の卵にするため常に研究を重ねていた。そうした中、両親は健康食品としてノニジュースを飲んでいたが、人に良ければ鶏にもいいだろうと考えて与えたところ、1週間ほどで鶏ふんの状態が驚くほど良くなり、お客様からも卵が美味しくなったと言われることが明らかに増えた」と話す。飼料は、とうがらし、シナモン、オレガノなどの抽出成分を加えた自社専用の特殊配合飼料としている。

これらの飼料と水で鶏が健康になり、「信州ノニタマゴ」は「生食はもちろんのこと、半熟卵など少し熱を通すことで卵黄がさらに美味しさを増す。白身は、甘みが強く後味もスッキリしている」という。

同社では信州ノニタマゴだけでなく、タマゴソムリエである三島氏が監修した卵料理に合うオリジナル七味のほか、削りたてをすぐに真空保存したソフト削り、和食処のだし巻き卵なども販売している。



2024年5月25日号

◎(株)籠谷(兵庫県高砂市)
シリーズ進化するブランド202
自然な甘みの「たまごの郷 奥丹波」
カラーファン15以上の「高砂の夕日」


卵の新しい可能性を探す情報発信基地「yellow」を(株)籠谷(兵庫県高砂市、小畑成久社長)が高砂市にオープンしたのは2019年7月。2021年4月には2店舗目の神戸元町店も開いた。自然な甘みと濃厚なコクの「たまごの郷 奥丹波」と鮮やかな卵黄色の「高砂の夕日」という自社のブランド卵を使って、卵の風味を生かした加工品を製造・販売している。

店舗開発に携わった企画開発室の湯谷綾那氏によると、それまでの直売所は「小さな店舗で卵だけを扱っていた」が、「卵だけでなく、当社が作っている加工品を若い世代にも知ってほしい」という思いからアンテナショップをグレードアップすることとし、卵の味を生かしたジェラートの開発にも乗り出した。

現在、ジェラートは「自社養鶏場のたまごの郷 奥丹波農場で採れた『奥丹波の卵』と丹波乳業さんの低温殺菌牛乳をたっぷり使用した濃厚カスタード」の「たまごやさんのカスタード」など定番5種を含む10種のフレーバーのほか、毎月、新しいフレーバーを提供している。地産地消を目指し兵庫県の丹波乳業(株)と連携するほか、ジェラートにも丹波産の黒大豆きな粉や兵庫県産のブルーベリーなども使用している。



2024年4月25日号

◎(株)みやぎ農園(沖縄県南城市)
シリーズ進化するブランド201
微生物の力を借りた「EM平飼い卵」
安心でおいしいと思う人たちとのシェアを


微生物の力を借りて「EM平飼い卵」を生産・販売している(株)みやぎ農園(沖縄県南城市、小田哲也社長)は飼料の配合を鶏自身に任せ、床を20年以上変えずに鶏ふんを取り除かないなど、独特の飼養方法を実践している。

小田氏は「創業者の宮城盛彦は、ひん死のヒナをバナナ畑に放置せざるを得なかったが、餌も薬も与えず消毒もしないのにヒナは逆に元気になっていた。死体を解剖してみると、鶏の体内には土と草と枯れ葉しかなく、配合飼料の類は何もなかった。そこから今の飼い方がヒナにとって本当に良いのかをもう一度考え直した結果として、現在の平飼いにつながっている」という。

「山の枯れ葉や腐葉土を混ぜると鶏がよく食べ、体調も良くなった」ため、鶏が食べるものは鶏に任せることにした。現在はトウモロコシ、ヨモギ粉末、海藻粉末、木酢液、山土を配合し、有用微生物ぼかしを加えたオリジナル飼料とし、セラミック(多孔管)でろ過した水を給与することで、「EM平飼い卵」は白身の味がすっきりとし、雑味のない卵になっている。

また、発酵有機物や青草を含んだ飼料(青草と微生物の効果で鶏の内臓はよく機能する)→通常イメージする鶏のふんよりも水分が絞られた鶏ふんになる→微生物で管理された発酵床(ふんの掃除はいらない)→微生物によって分解され、臭いの少ない良質な堆肥(鶏ふん)となり、ふわふわと柔らかい腐葉土のような床になっている。



2024年3月25日号

◎長崎県養鶏農業協同組合(長崎県諫早市)
シリーズ進化するブランド200
加熱後も褪色しない風味豊かな「クイーン卵」
苦みと雑味が少なく強い甘みの「枇杷たまご」


長崎県養鶏農業協同組合(長崎県諫早市、深沢晃代表理事組合長)が生産する「クイーン卵」は、主要取引先であるララコープとの取り決めで指定配合飼料を直営農場と組合員農場で給与し、さらに寒暖差による影響を避けるため季節ごとに配合・栄養成分を調整している。

また、植物性天然原料のマリーゴールドをふんだんに使用することで卵黄色が濃く、加熱後も濃い橙色が保持される。深沢氏は「長崎はカステラが名物なので、加熱しても褪色しない、冷めてもしっとりしていることが重要なポイント」と話す。厳選した原料のみを使用したクイーン卵は、風味が豊かでしっとりしており、苦みが少なく卵本来の旨味を濃厚に感じるという。

クイーン卵と同じ飼料をベースに、長崎県特産の枇杷の葉を添加した「枇杷たまご」は、一般的な卵と比較して苦みと雑味が少なく、強い旨味を感じることができる。「自然環境に恵まれ、おいしい地下水があるという立地から、直営の1農場に限定して生産している」という枇杷たまごは、地元では「甘味があって味が濃い」と評価されている。

銘柄鶏の「長崎ばってん鶏」は環境抜群の開放鶏舎で坪羽数を少なくし、長期無薬飼料体系を採用、鶏へのストレスを緩和し腸内菌叢を整えるというハーブ他を配合している。研究機関による肉質評価試験では、長崎ばってん鶏は一般鶏と比較して明らかにジューシーでやわらかいことが示された。さらに「モモ肉は味に濃厚感があり、旨味の余韻が続く」という特長も示されている。

同組合は給与飼料、農場、GPセンターなど生産方式全般に関わる生協の審査を受けており、これがブランドの信頼性や品質の安定に貢献しているという。



2024年2月25日号

◎比良利助(滋賀県大津市)
シリーズ進化するブランド199
国産鶏と国産飼料を使用した
「利助のたまご」と「天使のたまご」


琵琶湖の西側、比良山のふもとにある養鶏場「比良利助」。京阪神への交通の便が良く、手頃な自然が感じられるため、季節を問わず多くの観光客が訪れる。そんな自然豊かな環境に農場がある。

同農場代表の中村耕氏の祖父が養鶏業をはじめ、養鶏農家としては三代目となる。

同農場の卵の特徴は純国産鶏種「もみじ」と「さくら」にふんだんに国産原料の発酵飼料を使用していること。

特に「天使のたまご」はトウモロコシの全量を飼料用米に置き換えた飼料原料もほぼ国産の卵。

開発経緯について中村代表は「飼料用米を試験的に使用割合を増やしていったところ、産卵成績も落ちず、鶏の健康にも悪影響は出なかったので商品化した。味わいは極めて淡白で味の面でも色の面でも良くも悪くもほかの食材や調味料に染まる。生産量は100羽分程度。飼料成分の90%以上が国産となるということも強みの一つだと思う。見た目のインパクトが大きいが認知度はまだまだ。今後ますます拡大していけたら」と話した。



2024年1月25日号

◎(株)レパコ(福島県福島市)
シリーズ進化するブランド198
パティシエが作った「フルーツエッグ」
臭みが少なくコクと甘みがある安全な卵


福島県を中心に全国で13店舗を展開する洋菓子店「レパコ」。運営する(株)レパコ(福島県福島市、佐藤純啓社長)は「材料にこだわるパティシエが自ら納得のいく卵を」と果樹王国・福島県にレパコエッグファームを設立。自家製フルーツ酵母飼料で育てた鶏が生むのが「フルーツエッグ」だ。同社では、スイーツ作りに使う卵は「臭みが少ない」「コクと甘味がある」「安全なたまご」の3つが重要と考えている。洋菓子にはすべてフルーツエッグを使用している。

フルーツ酵母と太陽の下で育ったフルーツエッグは、「本物志向から生まれた平飼いたまご」。

もともとパン屋からスタートした同社には酵母の技術がある。果実を嫌気性発酵させ2年間熟成したフルーツ酵母に、桃や林檎、苺などの果実と、おからやワインの絞り粕、米ぬかなどを好機発酵したものを加えたフルーツ酵母飼料で鶏の腸内環境を整えることで、フルーツエッグは臭みが少なく、コクと甘みがある卵になっている。卵白の弾力も強く、卵のコクが牛乳、バター、生クリームなどと非常に相性も良く、素材の風味を引き立てているという。

山口昌宏常務は「本当にいい卵とは、ストレスをかけない鶏、健康な鶏が生んだ卵」として、土の上にもみ殻を敷いた平飼いとしている。

また、スイーツに使う卵の品質を揃えるため、生み始めから10カ月以内の若鶏の卵のみとしている。



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