2026年5月25日号
◎(株)加美鳥(兵庫県多可町加美区)
シリーズ進化するブランド225
臭みがなく甘みのある白身の「播州地卵」
豊かな自然とこだわり飼料の平飼い有精卵
兵庫県多可町で約40年の歴史を持つ「播州地卵」は、後継者不足で存続が危ぶまれていた。鶏卵事業は農協から多可町の第三セクターに引き継がれたが、平成31年3月に公社が解散。「どうにかしてこの播州地卵で地域活性化をしていきたい」という思いから、銘柄鶏「播州百日どり」の生産者である石塚竜司氏が(株)加美鳥(兵庫県多可町加美区)を立ち上げ、令和元年4月から播州地卵の生産を開始した。
自然豊かで名水の流れる多可町で平飼い有精卵を生産し、飼料にはにんにくパウダー、牡蠣殻、炭の灰を配合。滋養強壮や栄養補給、カルシウムとミネラルに加えて、鶏の体質をアルカリ性にするなど飼料にこだわることで、播州地卵は卵独特の臭さがなく、甘味のある白身が特徴になっている。
肉用鶏から採卵鶏に参入し、現状は「知識と経験が浅く、課題ばかり」(石塚氏)。コロナ禍の際には主要取引先が軒並み営業を停止し、大量の卵を廃棄せざるを得ない日々が続いたが販路は徐々に回復。「外資系のホテルを中心に平飼いの需要は伸びている」という。
「播州百日どり」は「硬すぎずやわらかすぎない程よい食感の肉質で、甘味が強い」。概ね100日齢まで育てるので出荷体重は4キログラムを超え、「肉厚で、ジューシーなムネ肉が美味しい」のも特徴になっている。
「卵と鶏肉の聖地に」という思いからスタートした自社アンテナショップ「鳥、マルシェ。多可町」は今年で4年目。「鳥、まるごと。」をコンセプトに「播州地卵」や「播州百日どり」、地野菜や土産の販売のほか、原材料を生かしたメニューを提供。
2026年4月25日号
◎(株)一條(宮城県角田市)
シリーズ進化するブランド224
甘み(旨み)とコクがある「蔵王の芽ぶき卵」
自然豊かな農場でこだわり飼料の「蔵王地養卵」
1960年に卵の卸売業として創業した(株)一條(宮城県角田市、一條憲一社長)。しかし、1985年に憲一氏が友人から「最近卵かけご飯を食べてないなぁ。昔はよく庭先で飼っていた鶏の卵で食べたもんだ。今の卵では食べられないなぁ」と言われたのを契機に、「ないのなら、美味しくて安全な卵を自分で創ろう」と決意。「良い環境が良い卵をつくる」という信念のもと、蔵王の自然環境で湧き水を与え、よもぎや木酢液、天然自家飼料等の工夫を重ねた末、満足行く卵として誕生したのが「蔵王地養卵」だった。
「良い卵をつくるには健康な雛が必要」として、飼料にはトウモロコシ、大豆油かす、なたね油かす、魚粉、米ぬかの他、ヨモギ、海藻、木酢液等、独自の原料を配合。「良い環境を与えることで雛たちは健康に育ち、美味しい卵を産む」という考えのもと、360日齢までに限定した若鶏たまご「蔵王の芽ぶき卵」とともに、「蔵王地養卵」は甘み(旨み)とコクがあるたまごになっている。
同社の最大の特徴は、2001年8月にオープンし、宮城県内で11店舗を展開する「森の芽ぶき たまご舎」。「自慢のたまごの良さを伝えるためには、この卵のみで作ったスイーツを製造し、レストランではオムライスなどを提供して、独自のたまご専門店を作りたかった」としてスタートした。看板商品の「蔵王のたまごぷりん」は、たまご舎の新鮮な卵と宮城蔵王産のミルクを使用。スチームコンベクションで時間をかけて熱伝導を全体にまんべんなく伝えることで、自慢の濃厚で滑らかな味を実現した。
2026年3月25日号
◎農事組合法人樽見内耕新農場(秋田県横手市)
シリーズ進化するブランド223
濃厚なコクと甘みが特徴の「あやめ卵」
アスタキサンチンとビタミンEを強化
卵価の変動が大きく生産コストに見合わないため、平成7年にブランド卵「あやめ卵」の生産を開始した農事組合法人樽見内耕新農場(秋田県横手市、小松凌代表理事)。当時は見た目のインパクトを重視し、飼料にパプリカを添加しカラーファンが「おそらく18に近かった」(小松氏)というが、その後、「卵の機能性を重視」し、アスタキサンチンとビタミンEを強化。バージョンアップした新しい「あやめ卵」の生産が平成15年から始まった。
奥羽山脈の伏流水と、必要な栄養を効率よく摂取できる餌を使用し、鶏にとってストレスの少ない清潔な環境づくりを行い、飼育衛生基準を徹底することで産まれる「あやめ卵」は濃厚なコクと甘みが感じられ、鮮やかなオレンジ色の卵黄が特徴になっている。現在のカラーファンは15以上に設定。地元のスーパーや卸問屋、菓子店などに冷蔵車で配送販売をしている。
樽見内耕新農場は昭和35年に稲作の共同組織として始まり、現在は16.5万羽を飼養しながら、圃場を委託している営農組合などにペレット鶏ふんの販売も行っている。2020年に農場HACCP認証を取得。2022年にはJGAP認証も取得している。
2026年2月25日号
◎いたか自然農園(愛知県豊田市)
シリーズ進化するブランド222
濃厚でやさしい味わいの「こだわり新鮮たまご」
臭みが少なく黄身のコクと白身の弾力が特徴
いたか自然農園(愛知県豊田市、井高健一代表)は「鶏が健康でなければ、良い卵は産まれない」と考え、鶏たちが安全に快適に過ごせる鶏舎を設計し、長年、無農薬栽培をしていた農地を探して鶏舎を新築するところから養鶏をスタートした。
農園を運営するのは井高建築(株)(同)で、鶏舎は井高氏自身が「YouTubeを見て自分で作った」というが、鶏たちは「毎日元気にのびのびと、そして楽しそうに過ごしている」という。飼料は地元産の米や小豆、季節の野菜や果物など、安全で自然な食材だけを与えている。
平飼いの環境とこだわりの飼料で育った鶏から生まれる「こだわり新鮮たまご」は濃厚でやさしい味わいで、臭みが少なく、黄身のコクと白身弾力が特徴。卵黄の色は、季節によって与える野菜が違うため異なるものの自然で鮮やかな黄色。白身の強さについては、パティシエから「メレンゲを作るのに最高」と言われている。
卵は直売所や産直店、高速道路からも一般道からも利用できるレジャーエリア「刈谷ハイウェイオアシス」などで販売。自社のネット通販では地元農家とコラボした愛知県産の米と卵のセットも用意している。
2026年1月25日号
◎(株)たむらのタマゴ(徳島県阿南市)
シリーズ進化するブランド221
昔ながらの風味とコクの「たむらのタマゴ」
濃厚な味わいの「濃密」、白い黄身の「地米」
(株)たむらのタマゴ(徳島県阿南市、田村智照社長)のプライベートブランド名「たむらのタマゴ」はPHF、遺伝子組換混入防止管理済みトウモロコシと大豆粕の配合飼料に、EM発酵飼料、炭、海藻、牡蠣殻、パプリカを加えることで、昔ながらの風味とコクが特徴になっている。
「たむらのタマゴ」の基本飼料にアスタキサンチンを加えて食欲をそそる濃い卵黄色にした「濃密」は、「より健康的でおいしさを実感できる卵を作りたい」という想いから生まれた卵で、加熱しても退色しないのが特徴。
地産地消と地域貢献を追求し、徳島産の飼料用米を使った自家配合飼料の「地米」(じまい)は黄身が白く、あっさりとしつつ米の甘みと旨味が感じられるという。
田村社長は「新しい飼料原料を試す時は社長が自分で食べてみてから」という探求心で、「今も試行錯誤は続いている」という。